【第05回】「GEAR戦士電童」20周年記念連載

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 「スーパーミニプラ」シリーズも大好評!! ますます盛り上がる『GEAR戦士電童』20周年企画。
 前回に引き続き、電童のコンセプトデザインを手掛けた野中剛さんと、メカデザインを手掛けたアストレイズの阿久津潤一さん、新谷学さんにお話を聞いていきたいと思います。

◆第5回


――実際の商品を想定して詰めていくところはいかがでしたか?

野中 最初のコンセプトデザインは出しましたけど、僕は当時管理職でしたので、実際の現場の担当は、エンディングにも名前が出ている井上剛さんにお願いしました。企画の最初だけ一緒に動かして、その後は彼にお任せするという形です。
 企画を進めていく内に、何か今風な要素を入れないといけないという話が出てきました。そこで『デジタルモンスター』のデジヴァイスみたいなものを使ってプログラムとかをインストールして遊ばせようということになり、ギアコマンダーが追加されました。ギアコマンダーも青と黒の2種類が発売されたのも、それぞれ電童用と凰牙用を想定していたからなんですね。

新谷 プログラムでモーターの動きを制御させようということになり、中に基盤を入れたり、モーターが増えたりして、結果、価格設定が上がってしまいましたね。

――デザインの制約などはありましたか?

阿久津 自分は指示どおりに描いていただけですから(苦笑)。でも、「胸を薄くして」言われたのは覚えてますね。寝かせて回転させるときに、出っ張ってると回転しないので…。
 でも、電童の基本的なデザインとしては、もう最初に野中さんが描かれたもので出来上がっているので、このままでいいと思っていましたよ。
 当時はデザイナーとして野中さんの名前が表に出ることはあまりありませんでしたけど、当時から野中さんは企画者であり開発者でもあるけど、絵がメチャクチャうまくて、デザインもできる。とにかく何でもできちゃう人でしたから。ホントこの業界は絵のうまい人が多くて、僕なんかデザイナーと名乗ってますけど、周りに泳がされている場合が多いですから(笑)。

野中 今思うと、手脚のタービンを太くすれば、もっといろいろな遊び方もできたかなと思いますね(苦笑)。

新谷 電童本体はそんなに大変ではなかったですね。足にモーターの正逆転スイッチを付けるとか、そのくらいですかね。データウェポンの方が大変でした。夏の合宿の時に出てきたアイデアでしたが、阿久津がラフを描いている横で、私が図面を引いて詰めていくという感じでした。

野中 別売りで売る武装を詰めていく段階で、やはりメカの塊だけのパッケージだと売りづらいという話になって、キャラ付けをしようということになりました。そこで、定番の動物モチーフという話になったと思いますね。
 本当は、動物の全身が変形して武器になればいいんだけど、複雑に変形したものを装着してギアで動かすことになると、回転している最中にバラバラになってしまうこともあるので、頭部だけという判断をしました。頭部と武器だけにした方が、画面的にも目立つので、インパクトがあるよねということだったと思います。まさか、その時は1000円になるとは思っていなかったので(苦笑)。

電童
▲動物の頭部と武器のみで構成されたデータウェポンのデザイン案。回転や射出といったギミックを想定して提案されている。

阿久津 僕はデータウェポンのデザインがいまいちまとめられなかったのですが、担当の井上さんがラフを描いてくれて、それを参考にキャラ付けをして描いていきましたね。データウェポンの手足にもタービンを付けているんですが、これは井上さんのアイデアです。井上さんもまた絵の非常にうまい方でした。

新谷 武器に動物モチーフを入れようという話から、動物の全身も出そうということになり、全身をデザインしてもらいましたね。でも、武器を装着した時に胴体が余ってしまうので、変形させてサポートメカにしようということになったんです。それでラフを描いたのですが、結局商品は武器形態の頭部のみになったので、胴体の変形はオミットしてクリーンナップしました。
 結局、データウェポンは武器形態の頭部のみで発売することになったのですが、当時電池メーカーとタイアップするという話もあったんですよ。そこでデータウェポンを乗せる台車に電池を乗せられるようにしているんです。電池を大切にということで。でも、放送がズレて、そのタイアップの話もなくなったので、電池をバンバン交換するようになっちゃいましたね(苦笑)。

野中 井上さんはデータウェポン全身を商品化したかったんだと思いますが、そうすると高額商品を何点も出すことになるので、せめぎあいがあったんです。でも、映像を見ると全身も欲しくなりますよね。

電童
▲動物の全身をデータウェポンとし、その頭部が電童に合体する想定で描かれたデザイン案。これが決定デザインのベースとなっている。

新谷 そこでメテオファイルですね。

野中 あの頃は、塩ビ製の彩色済みフィギュアは、比較的コストをかけずに作れた時代だったので、最後の頼みの綱という感じで出していたアイテムですね。その後、発想を切り替えて考え出されたのが輝刃ですね。最初はユニコーンやレオの全身を変形させて作り直そうという話でしたが、やはりそんなに種類が出せないということで1アイテムになりました。

新谷 ユニコーン、レオ、ドラゴンの3体はパワーアップデザインを進めていたのですが、それが2アイテムになり、最後には1アイテムになりと…。でも、主人公は銀河と北斗の二人なので、どちらかだけがパワーアップするのもバランスが悪いしと悩んでいたら、井上さんから「ジョグレス進化だ!!」と(笑)。ユニコーンとレオを合体させて進化させましょうということになりました。
 阿久津にもいくつか合体した状態の動物デザインを描いてもらって、後から辻褄を合わせて武器形態を考えました。スケジュールが2週間しかなかったですから(苦笑)。

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▲超獣王輝刃の初期デザイン案のひとつ。ユニコーンドリルを主した武器形態、レオサークルを主にした武器形態と、2タイプの合体形態を持っている。

――凰牙はどのタイミングで出てきたのですか?

野中 ロボット1体だけだと売り場が持たないので、メイン商品を増やそうということですかね。でも、それによってデータウェポンの奪い合いという展開を作っていただけて盛り上がりましたので、良かったですね。今回の配信で改めて見直して、そう思いました。でも、凰牙のデザインがどうしてああなったかは覚えてないですね(苦笑)。基本的には電童と大部分の金型(頭部と胸以外)を共有する前程はありましたが。

新谷 ライバルロボということで、最初はとりあえずアメリカから来たロボットのイメージで描いてますね(苦笑)。でも、バイザーを付けることが決まって、凰牙にもバイザーを付けようとなった時、電童がマイナスだから凰牙はプラスにしようとあのデザインが出てきたんじゃないかと思います。

阿久津 野中さんが描かれた最初の画稿の段階で、腰のところに「-」のモールドがあるんですよ。だから、電童はマイナスで凰牙はプラスなのかなという話になったと思いますね。

野中 アルテアのラフは描いているんですよね。凰牙に乗るライバルってどんな人かと、福田監督から電話をいただいたんですね。その時には、凰牙のデザインはもうあったので、こういうのかなというのを提出させていただきました。
 玩具メーカーの立場としては、やっぱり男の子がカッコいいと思うようなキャラでないと困るので、あざといと思われるかもしれないけどイケメンとかにしてくださいとお願いしましたね。とにかく主人公の格が下がらないように、強いライバルを設定できたらいいなと思いましたね。

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▲野中氏によるライバルキャラのイメージスケッチ。肉体を強化した屈強な男や、神経とGEARをケーブルでつないで操縦するアイデアなども提案されている。

(つづく)


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