【第08回】「GEAR戦士電童」20周年記念連載

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 「スーパーミニプラ」シリーズも大好評!! ますます盛り上がる『GEAR戦士電童』20周年企画。
 今回も、キャラクターデザイン、総作画監督を手掛けられた久行宏和さんと、総メカ作画監督を手掛けられた重田 智さんに当時のお話を聞いていきます。

◆第8回「電童」のキャラクターデザインについて!

――キャラクターデザインについては、いかがですか?

久行 銀河は、最初からほぼ変わってないですね。実は、『黄金勇者ゴルドラン』のキャラクターコンペの時に提出したデザインを基に描いているんです。北斗は、最初もうちょっと影のある感じで描いていたのですが、福田監督からの要望を入れてちょっと修正したというくらいです。ですから銀河は5年間寝かせていたデザインで、北斗は15分で描いたデザインです(苦笑)。

重田 銀河も北斗も、どっちも主役を張れるデザインだよね。ダブル主人公の場合、どちらかがサブになりがちだけど、電童はそうじゃないのかなと思っていました。

久行 僕は、銀河がメインの主人公で考えてましたけどね。時代的にも今はこっちのタイプかなと。北斗はブッチャケ正太郎君なので、70年代以前の主人公のデザインだと思ってたんですよね。だから、こんな古いデザインでいいのかなって思って描いてました。デザイン的に一番難産だったのはベガさんですかね。僕はレオタードにはしたくなかったんですよ。でも、織絵さんの髪型を福田さんが嫌がっていたので、レオタードは福田さんの案に譲るので、髪型はコレにさせてという感じで、押し切っちゃいまいました。メインヒロインにはならないだろうと思ってたんですけど、結局なっちゃいましたね(苦笑)。

重田 でも、そういう所が今までのロボットアニメと違っていて、視聴者の方に何らかしらの引っかかりになったのかも。防衛組織があって、ロボットがあって、子供が乗り込むっていうロボットアニメの王道なんだけど、そういう普通から外れたところも何かあるとね。

久行 そこは抵抗していたんですけどね(苦笑)。あと、スバルが最初女の子という設定だったというデマが流れているようですが、最初から男の子でしたからね。銀河と北斗のライバルになる立ち位置の子ですし。もしかしたら、エリスも途中で追加になったキャラクターなので、それとゴッチャになっているんですかね? 

重田 学校の教室内の席の設定でも、最初エリスは描いてなかったよね?

久行 そう。エリスは企画当初いなかったので、クラスメイトよりも後にデザインを作っているんですよ。

重田 クラスメイトの設定も全部作っていて、席順まで決めていたよね。ほとんど画面に出ないものまで作ってスゴいなって思ってました。

久行 ただこれは『サイバーフォーミュラ』をやっていた時の経験で、モブを完全にお任せしてしまうと、結局最後に自分で直さなくちゃいけなくなるからなんです。でも、もうちょっと学校の話はあってもよかったなとは思いましたね(苦笑)。

重田 どうしてもロボット中心の話になっちゃうから、なかなか学園の話にならなかった。どちらかというとそれぞれの家庭の描写の方が多かったかも知れないですね。最初は、もっと「勇者シリーズ」っぽくなるのかなと思っていたけど、意外と大人目線が多かったですよね。

久行 もうちょっと子供たち中心の話を作りたかったけど、大人が出過ぎちゃいましたよね。当時は『エヴァンゲリオン』や『ガオガイガー』の放送後ということもあって、ああいうのが当たり前といった空気があったので、年齢層を下げようという意識はあっても、なかなか下げきれていなかったですよね(苦笑)。下げすぎても『スーパー戦隊』とバッティングしてしまうから、そこも微妙なバランスだったんでしょうね。でも、子供向けにしては敵をちょっと怖くしすぎちゃったのが僕の失敗ですね。

重田 いや、でも敵の三幹部のチップたちは、人間形態もあって、コミカルで非常に子供向け番組の敵って感じで個人的には好きでしたよ。

久行 あの三幹部、ラフでは4体描いて提出したんですけど、一番のお気に入りが没になって、その他の3体がOKになったんですよ(苦笑)。

重田 よくあるよね、そういうこと(笑)。

久行 放送開始がズレなければ、アイツらが活躍する時期も長かったはずなんですよ。アルテアが早々に登場することになって、活躍の場がなくなってしまいました。 

重田 トリオで活動してたけど、本当だったらそれぞれ1話ずつ活躍する話とかもあったかもと思うと不憫ですね。

久行 でも、アルテアを再登場させる際にデザインを変えましたので、ズレなかったらアルテアの後半の姿はなかったかも知れないです。

――ゼロはいかがでしたか?

久行 3クール目から登場する最後の敵ということでしたけど、12話で顔出しをするので、デザインはその段階で考えていました。後で再登場する時も同じ姿じゃ絵が持たないだろうと思っていたので、その段階でベクターと合体してベクターゼロになるというラフも描いていました。電童が武器を換装するというタイプのパワーアップなので、敵のゼロは全身が一回り大きくなるようなパワーアップにしようと…もともと『勇者エクスカイザー』の合体バンクも監督の福田さんが絵コンテ、演出をやっていたものなので、そのオマージュ的な感じで「フォームアップ」と落書きみたいな感じで描いていました。声も速水奨さんでしたし(笑)。このゼロもスーパーミニプラとかで出してくれれば、描いた本人が喜びます。

▲スムーズにデザインも決定したという主人公の出雲銀河と草薙北斗。久行氏によると銀河が90年~00年代の主人公タイプで、北斗が70年代の主人公タイプとのこと。

(つづく)


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