【第09回】「GEAR戦士電童」20周年記念連載

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 「スーパーミニプラ」シリーズも大好評!! ますます盛り上がる『GEAR戦士電童』20周年企画。
 今回も、キャラクターデザイン、総作画監督を手掛けられた久行宏和さんと、総メカ作画監督を手掛けられた重田 智さんに当時のお話を聞いていきます。

◆第9回「電童」の見せ方、演出について!

――電童の見せ方、演出などはいかがでしたか?

重田 これまでのサンライズのロボットアニメにないデザインなので、どうやって絵的にカッコよく見せたらいいんだろうと悩みましたよ。凰牙の方は、西洋の甲冑のようなイメージもありますが、電童には逆三角形のシルエットになる肩アーマーも張り出してなくて、翼も付いていない。いわゆるヒーロー的な記号が一切ないんですよ。福田監督に聞くと、「タービンがフル回転するとパワーが上がる」とか「エフェクトで気流とか火花を描いて」とか言うんですけど、それで本当に絵になるのかなと描き始めるまでは、ぜんぜんピンと来なかったです。

久行 すくなくとも、銃と盾を持って飛んでいるロボットではなかった。でも、だからこそ電童にしかないものはできたんじゃないですかね。

重田 脚のタービンを使って疾走する時も、本当は下半身を進行方向に対して横にしなくちゃいけないんだけど、どうしてもカッコよく見えなくて苦労しました。輝刃のファイナルアタックの時には、もう下半身も正面向けたまま走らせちゃいましたから。最初に何回か横で走っているのを見せておけば、そういう印象になるからと(苦笑)。でもやっぱり、この銃も盾も持っていないところが他のロボットとの差別化だったんでしょうね。

――逆にフルアーマー電童は、その剣や銃などの武器がフル装備ですが

重田 フルアーマー電童は、何故かみんな好きですよね。「スーパーロボット超合金」の時にも、アレを商品化しようという話が出てきましたから。その話数限りのネタでやっただけのものなので、そんなバカなって思ってました。でも、今回スーパーミニプラでは、本当に商品化してしまいましたからね。

久行 作っている側としては、ちょっとイタいなぁという感じでいましたからね(苦笑)。

重田 データウェポンが使えないという、見る方にとってはドキドキする回ではあるんでしょうが、ストーリーの本筋の話でもなかったですし、当時ターゲットだった子供たちは意味がわからなくてポカーンとなってるんじゃないかと思ってました。でも、初めて見る子にとっては、新鮮な武器に見えたかもしれないですね。見る人の印象に残るものと、作っているこちらが思っているものとは違うものだなと思いました。

――その回は、作画も特に良かったと記憶しております。

久行 実はあの回は、ぜんぜん間に合わなくて、放送が落ちそうになったので、演出から引きあげてこちらで手を入れたんですよ。この後に螺旋城決戦が控えているので、主力スタッフは先の話数の作業をしていたんですが、このまま放送する訳にはいかないというような事態になって呼び出され、スタッフ総動員で助っ人に入りました。100カットくらいラフを切ったんじゃないかな。だからその後のスケジュールは、最終回までずっとデスマッチでしたよ(苦笑)。

重田 納品をフルデジタルに変えたのもこの後だったので大変だったよね。確かにデジタルにした方が時間は短縮できるけど、色から何から全部最初から決め直さなきゃいけないですから…。実は、かなり大変で面倒だったんじゃないかなと思います。でも、デジタルじゃなかったら、最終回は間に合ってなかったかもしれないですね。でも、そんな作業現場の中でも、久行くんが一番大変だったんじゃないかな。

久行 でも、楽しんでやってましたよ。一生のウチの半分くらいは、電童につぎ込んでいたかも知れないと思うくらい(苦笑)。電童は、あの時期だったこともあって、子供向けのロボットアニメに関われるのは最後かも知れないと思ってやってました。わりと本気で正統派を作ろうと思ってやっていましたから…。ただ、やってみてロボットアニメの作り方もノリとかがわかっている人でないと難しいのかなとも思いました。

重田 サンライズもガンダム以外のロボットアニメをしばらく作ってなくて、他の会社もロボットアニメは少なかったと思います。今はもっと進んでいるので、今の子供たちにはロボットが出てくるだけで、「スーパー戦隊」と思ったりするのかなとも思います(苦笑)。

久行 ですよね。初めてみたロボットがすり込まれるでしょうから。

重田 やっぱり、出会いはどうしようもないでしょう。本当は、「勇者シリーズ」みたいに8年連続とはいわないけど、定期的にロボットアニメを作ってもらえるといい。見ている方もそうだけど、作っている方も作り方を後身に伝えられないと思うから(苦笑)。まったくロボットアニメや特撮を見てこなかった人が、いきなり面白いロボットアニメを作れるかと言われたら…? クリエイターとしての才能があるというだけでは、そう簡単にいかないと思います。やっぱりロボットアニメとしての法則とか、面白さのポイントみたいのものを知らないといけないのかなと。

――放送後、続編の企画案をwebで公開されていましたが…

久行 あれは、私個人のホームページで公開していたもので、企画というほどのものではないんですよ。電童が始まった訳ですから、とうぜん続編をどうしようかという話は出てくるんです。企画書を作るにしても文字だけだと見てもらえないので、とりあえず絵も入れておこうという程度で描いていたものです。その企画はなくなったので、webで公開していました。実際に企画が動き出すのであれば、あのままのデザインでいく訳はないです。主役のGEARがゴツいのは、僕がロボットはゴツイ方が好きだからです(笑)。でも、この時のキャラクターデザインとかC-DRiVEは、後に『舞-ime』や『舞-HiME』シリーズのデザインをやる際の叩き台にはなっていますね。

――最後に電童のファンに向けて一言お願いします。

久行 マイナーな作品をいまだに覚えていてくださるファンの方々がいて、頭が下がります。ネット数が少なくて、当時ウチの田舎では放送していなかったくらいですから(苦笑)。当然、本放送後に知ったという方もいると思いますけど、本当にありがとうございます。今だったら配信で見れたりもするので、同じ作品でもまた違った反応にもなったかもとは思いますね。

重田 どうしても自分の中では、関わってきた作品の中の1本というくらいの感覚になってしまったりするのですが、いまだに見てもらって、新規の方にも見てもらえているようでうれしいです。まさか20年経って、新作のプラモデルが出るなんてビックリしますよね。それをみなさんが買ってくれているとお聞きして、本当にありがたいです。やはりアニメは作るだけでなく、見てもらわないと意味がないので、そういうお話を聞くとまた頑張れると思います。

久行 そうですね。そして、また30周年もよろしくお願いします(笑)。

――ありがとうございました。

▲手脚のタービンがフル回転すると現れる火花や気流のエフェクト。『サイバーフォーミュラ』でも見られた福田監督得意の演出。

 

画面映えを最優先して作られたというキバストライカーのファイナルアタック。その迫力に圧倒されるため、細かな理屈は気にならない。

 

▲第24話にて登場したフルアーマー電童。過去のロボットアニメを彷彿とさせる武器を装備した男の子の夢を詰め込んだかのような装備だ。

(おわり)


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