機動戦士ガンダム Twilight AXIS【第7回】

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第四章「バーナムの森」1

 先端研究所近くまで辿り着いたアルレット一行は、そこに三機のMSが居るのを発見する。

「バイアランタイプ……」

 アルレットによるバイアラン解説。
 高出力を誇り、主に大気圏内で使用されるMSだが、あれは宇宙空間での戦闘にも対応できるよう改修された機体だろう。

「あんなものまで用意しているとは……」

 敵に先手を打たれたことを悔しがるメーメットを、年配の部下がやんわりとなだめる。
 さらに、そこにいたのはバイアラン一機だけではない。
 先刻のガンダムタイプ同様、改修型のジェガンを二機伴っている。
 彼らが同じ集団に属しているのは間違いないだろう。

「MSが三機か……。ザクⅢを置いてきたのは失敗だったか」
「いえ。もしこちらがMSで来ていたら、連中に接近を察知され、待ち伏せされていたでしょう」
「それは……そうだろうが」
「今のところ、向こうにこっちの存在を気取られた様子はありません。
こちらから先に仕掛けるなら、戦いようはいくらでもありますよ」

 そう言って不敵な笑みを浮かべるメーメット。

「しかし、どうやらこれではっきりしましたね」
「ああ。まず間違いなく連中の狙いもサイコ・フレーム――もしくはその研究資料の入手だろう」
「奴ら、いったい何者なんだ」
「それはこちらが聞きたいですよ――」

 ガンダムタイプに加え、バイアランまで所有している。
 それに複数のジェガンタイプ。
 民間のジャンク屋風情にしては戦力が充実しすぎている。
 だが、裏を返せばこれが連中の最大戦力か、それに近い数であろうとも推察できた。
 少数精鋭でアクシズまで到達し、秘密裏に侵入しようと考えるなら、このくらいの数が限界だ。
 これ以上となると軍隊レベルの規模になってしまうし、今の地球圏にそんな勢力が存在するはずがないのはメーメットもよく理解している。

「アルレットさん。この通路を通らずに、研究所に入るルートは他にありますか?」
「ないこともないけど、ものすごく遠回りになりますね」

 メーメットの問いかけに、アルレットは軽く肩をすくめて応えた。

「あそこは機密研究を多く行っていました。搬入する資材も、なるべく人には見られたくないものが多かったんです」
「……そうですか」

 メーメットは、むぅと眉根を寄せて考え込む。
 となると、やはりここを強行突破するしかない。
 三機のMSを相手に、白兵戦を挑むことになる。
 もう失敗はできない。何か巧い方法は――。

「通路を通れば、の話ですけどね」
「……どういうことです?」

 一瞬、何を言われたのか理解できずに、メーメットは顔を上げた。
 悪戯っぽく微笑むアルレットと目が合う。

「あの研究所では、宇宙用の機動兵器をいくつも開発していましたから」
「……なるほど」

 しばし考え、メーメットは得心した。
 『研究所』という名から、無意識に外界と隔絶されたラボを思い浮かべていたが、その実体はMSやMAを開発する工廠としての側面を持った軍事施設だ。
 それらの機動兵器の運用試験のため、宇宙へと送り出すハッチはあってしかるべきだろう。

「外から行けばいいんです」
「外――つまり、アクシズの表面を歩くということですか――」

 アクシズの表面にどの程度身を隠して移動出来る余地があるのか見当もつかない。
 可能性として作戦前の検討議題には出ていたが、時間がなく、十分に検討出来なかったのだ。
 だが、敵が少数精鋭だとすると――。
 外の方がまだ安全だということになる。
 決意して、メーメットは背後の部下達へ振り返った。

「部隊を二手に分ける。民間人二名を交えた六名でアクシズ表面へ迂回し、先端研究所を目指す。二名はここに残り、敵の動きを監視、何か動きが有ったら我々に伝えろ。我々に万が一の場合があった場合は戦闘記録を持って撤収しろ」
「了解」

 部下達の返答は短い。

「ではアルレットさん。ここからアクシズ外壁へ出られる一番近い出口は?」
「案内します」

 背後でダントンの大きなため息が聞こえたが、アルレットとメーメットはあえて無視することにした

――続く――


ストーリー構成・挿絵:Ark Performance
著者:中村浩二郎


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