覇界王~ガオガイガー対ベターマン~【第28回】

覇界王

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《前回までのあらすじ》

 西暦二〇〇五年、ゾンダリアン、機界31原種、襲来──
 西暦二〇〇六年、人が狂い自滅していく現象アルジャーノン、深刻化──
 西暦二〇〇七年、ソール11遊星主による全宇宙存亡の危機──
 西暦二〇一〇年、インビジブル・バーストによる全地球規模での電磁波災害──

 幾多の危機を乗りこえて、地球人類は未来へ向かっている。
 そして西暦二〇一六年、二十歳になった天海護をはじめとする新生GGGガッツィ・グローバル・ガードは、三重連太陽系から未帰還の勇者たちを救うべく、<プロジェクトZ>を再始動させた。
 だが、訪れた木星圏でGGGが出会ったのは、覇界の眷族と呼ばれる存在の王となったジェネシック・ガオガイガーであった。

 三重連太陽系から脱出した旧GGGガッツィ・ギャラクシー・ガード は滅び行く宇宙と生まれ出る宇宙の狭間の空間<オレンジサイト>で、ザ・パワーの源流たる超エネルギー<トリプルゼロ>に浸食されてしまったのだ。
 覇界の眷族と化した覇界王ジェネシックは、宇宙をゼロに帰すため、知的生命体を殲滅しようとする。

 木星圏で覇界王ジェネシックに立ち向かうのは、天海護と戒道幾巳が乗り込む新生勇者王ガオガイゴー。そして、ヒトを超えた霊長類ソムニウム──すなわちベターマンたち。
 さらに、ただ一人トリプルゼロの浸食をまぬがれた獅子王凱が帰還、プロトタイプ・ガオファイガーにファイナルフュージョンする。
 ガオファイガー、ガオガイゴー、そして合体ベターマンの共闘によって、覇界王ジェネシックは退けられ、地球の危機は救われた。
 だが、それは覇界の眷族と化した旧GGGの勇者たちとの死闘──その序章にすぎなかったのだ。

 オーストラリアに現れ猛威を振るう覇界マイク・サウンダース13世。ベターマン、そして護や凱の活躍によって、スタリオンともども浄解、かろうじて救出に成功するが、覇界の眷族との戦いは、まだ始まったばかりだった……

number.05 恨-URAMI- 西暦二〇一七年(1)

 

1

『……新しい任務の準備でいろいろ忙しくって。もしかしたら、今月の休暇は取り消しになっちゃうかもしれない』

 ──そこまでを端末に打ち込んで、彩火乃紀は手を止めた。いくら恋人だといっても、私信であるメールにそれ以上の詳細を記すことはできない。

『私が地上に降りられない分、ケーちゃんの方から逢いにきてくれたら嬉しいんだけどな』

 ──この一文は、書いた端から消してしまう。一般人である蒼斧蛍汰が国連傘下の防衛組織拠点であるGGGオービットベースへやってくることなど、不可能だ。それを知っていても、なんとかして欲しいと望む自分の思いは、甘えにすぎないと火乃紀自身が考えてしまう。消した言葉の代わりに、散文的な連絡事項のみを記す。軌道上では手に入らない物品の代理購入など、頼み事も多いのだ。火乃紀はそっけないメールをそのまま送信した。

(かわいげのないメールだったかな……)

 そんな気持ちも存在するのだが、まめに返信してこない蛍汰の方が悪いのだ、と思い直す。こちらからのメール三回に、返ってくるのが一回程度では、甘い言葉も使いにくくなる。腐れ縁でダラダラと続いているだけの付き合いと感じる瞬間もある。それでも頑張って、遠距離恋愛の彼女らしい事を書いてみる度、相手のリアクションが気になるのだ。

 端末の画面を閉じた火乃紀は、食事をとろうと私室を後にした。標準時では夕食になるはずだが、睡眠から覚めたばかりなので、気分的には朝食である。白夜のある国とも異なる軌道上の一日。宇宙基地における時間感覚は、どうしてもその時々の勤務体系が基準になってしまうため、そうしたズレは個人個人が我慢して慣れるしかない。

(今日は和朝食にしようかな、それともブレックファースト……)

 新体制でリニューアルオープンしたオービット亭へ向かおうと、疑似夜景が表示された通路を歩いていた火乃紀は、前方に人影を見つけて歩みを止めた。

「……女子職員の居住ブロック入り口で待ち伏せなんて、いい趣味してるのね」

 冷静な火乃紀の言葉に、やさしい声で返してくるのは、鷺の宮・ポーヴル・カムイだ。

「どうして僕が君を待ち伏せてると決めつけるんだい。僕の行く先に君がいるだけかもしれないよ」

 なんともニヒルで甘い雰囲気の口調である。

(私……なんで、この人と…こんな関係になっちゃったんだろう……)

 かすかな痛みとともに、火乃紀はそう考える。同僚のなかでももっともウマが合うと感じていた相手。

(私がいけないの?……私がバカだから?)

 最近はあまり使うことがなくなった、自らを卑下する言葉が浮かんでしまう。
 関係が一変したのは、あの日からだ。オーストラリアに覇界マイクが出現した、あの日。

 火乃紀とカムイは、あの戦闘の直前、同時に勤務が明けて、メインオーダールームを後にしていた。その時、エレベーター内でカムイは相談があるといって、食事に誘ってきた。ちょうど空腹を感じていた頃合いでもあり、火乃紀が応じようとした時、第一級防衛体制が発令された。
 当直明けの隊員には休息が認められている。だが、それは平時や二級以下の防衛体制時のことだ。地球外知性体や覇界の眷族との交戦に突入した場合、GGG全隊員は非常勤務につくことになる。
 火乃紀の場合、研究部オペレーター以外に、生体医工学者としても、できることは多い。あの日も、即座にメインオーダールームに戻ろうとした。ところが、カムイによって強引に足止めされたのだ。

「行かせない……僕の相談を聞いてもらう方が先だ」

 逃げ場のないエレベーター内で、カムイは火乃紀に真剣な眼差しを向けた。

(眼球の血流が増大してる……いつもと違う特別な精神状態からくるものね)

 医工学的な凡例から瞬時にそう診断した火乃紀は、カムイを落ち着かせるため、話を聞くことにした。状況を把握してくれないことには苛立たされたが、なにかしら深刻な悩みがあるらしいと思えたからだ。

「君、蒼斧君とはうまくいってるのかい?」
「え?…なんでそんなこと……」

 カムイがプライベートな事に立ち入ってきたことに、火乃紀は一瞬、脳内の整理が追いつかなくなった。

「真剣に聞いてほしい…僕は…僕はね……実は……」

 少々、鈍感な火乃紀でも、もしかしたらこれは告白なのではないか、と予想せずにはいられなかった。だが、カムイの相談とやらは、腹立たしくなるほどに馬鹿馬鹿しいものだったのだ。

「木星から返ってきて以来、交際相手がメールの返事をくれないんだ。どうしたらいいと思う?」

 十年前、三重連太陽系に旅立った旧GGGの隊員たちは、カムイにとってもかつての仲間のはずだ。彼らが覇界の眷族と化して、心ならずも地球人類と敵対することになった……そんな状況下で、あまりにも個人的すぎる悩みにとらわれているカムイが、火乃紀には信じられなかった。しかも、おざなりにならないよう、真摯な答えを返し立ち去ろうとする火乃紀を、強引にその場に引き止め続けたのである。くどくどと愚痴を繰り返しずっとその場から逃がさなかったのだ──戦闘終了後まで!

 こうして、火乃紀の心中におけるカムイの存在位置は“ウマが合う同僚”から、“サイテーの男”にまで急落した。だが、それを理解しているのかいないのか、以後は露骨に火乃紀に相談を持ち掛けるようになってきた。さすがにメインオーダールーム内では普段と変わらない態度なのだが、人目の少ない場所や勤務時間外には執拗にからんでくる。
 そして、ついに待ち伏せだ。

(そろそろ、他の誰かに相談した方がいいのかもしれない……)

 そう思いつつも、地球が大変なことになっている時期に、個人的なトラブルで周囲に迷惑をかけたくもない。
 そんな事を考えつつ、火乃紀は通路を半ば塞いでいるカムイの横を通り過ぎた。体を横にして、なるべく触れないように。至近距離からまとわりつく視線を不愉快に思いながらも、それ以上の接触はされないことに安堵する。
 そして、ひとり上層区画へのエレベーターに乗った。だが、扉が閉まる瞬間、外からその言葉は投げかけられた。

「覚えておくといい。君はまた一人になる。誰も君の側には残らない」
「………!」

 直後、扉は閉じた。いったい、それはどういう意味なのか? カムイは何の目的でそんな言葉を発したのか? そう問いかけるよりもはやく、エレベーターケージは上昇を開始した。

 

「アルジャーノン……」

 大海原を見渡せる無人島の岬に立つ少女は、深く被った頭巾とミニスカートを風にたなびかせながら応えた。その口は開かず、額に十字光だけが明滅していた。

「そうだ、希望は滅ぶ」

 袈裟のような衣を纏った少年も、傍らで海を見つめ佇む。

「ガジュマル……私は漂い続けていた次元の穴の中でラミアに救われた。今のこの命はラミアのモノ。ラミアの信じるモノを信じ続ける」
「だが、ソキウスを使い続ければ、いつかシャーラは滅びる。また次元の穴に呑みこまれる。それなのにまた新たな……。俺は……」

 ソムニウムの少年ガジュマルは解っていた。自分の矛盾した気持ちを。それを語っても意味がないことを悟り、額の十字光の瞬きを消した。

「私たちの辿るべきソキウスのみちはひとつ。私はそれまで滅びない」

 前方の海を見つめながらシャーラは、決意の気持ちを十字光に込めた。

「俺は……お前を守る。シャーラとともにパトリアのときを迎える」

 ガジュマルもまた決意を投げ返す。

「ありがとう、ガジュマル」

 いつも無表情の少女シャーラが、珍しく少し笑んだ顔を少年に向けた。

「動くぞ」

 少年は、少女の額越しに見える大海原の遥か向こうから吹きすさぶ風の流れの変化を感じていた。新たな戦いへの狼煙のろしを前に、二人のソムニウムは身構えた。

 ──そして、衛星軌道上のGGGオービットベース。
 オーストラリアにおける覇界マイクとの交戦は、GGGブルーにいくつかの戦訓をもたらした。
 もともと、マイクは旧GGGの勇者ロボのなかでは非力な方の存在だった。もちろん、ディスクXやディスクFの機能は脅威だが、それさえ封じてしまえば扱いやすい相手だと想定されていたのである。そんなマイクでさえ、覇界の眷族と化したならばガオガイゴーに匹敵するパワーを発揮した。さらにスタリオン・ホワイトの生命をも、攻撃を封じる手段として活用してきたのだ。
 木星からの帰路以来、繰り返されてきたシミュレーションに修正が加えられ、開発中の新装備の仕様も改修されていく。
 そうして次なる戦いへの準備が進むなか、ひとつの朗報がもたらされた。アリススプリングスの病院に入院中だったスタリオンが意識を取り戻したのだ。
 数日の検査を経て、ようやく医師の許可が下り、メインオーダールームとの間に通信回線が開かれた。

「スタリーさん……もう大丈夫なんですか?」
『ああ、なんとか喋れるよ。心配かけてすまなかった。アイムソーリー』

 十年前と変わらぬ口調で応えるスタリオンと会話を交わすのは、現在はスタリオンの上司にあたるGGGグリーンの長官代理、獅子王凱である。

「よかった…」
『ノーノー、タメグチ失礼。すみませんでした、長官代理。エクスキューズミー』
「やめてくださいよ。凱でいいんです」

 一瞬、マイクのようにおどけたスタリオンだが、深呼吸して冷静な表情を見せる。

『じゃあ、そうさせてもらうよ、凱』
「ええ。スタリーさんもまだ混乱してるでしょう?」
『昨日、戒道くんにも会って驚いたケド、護くんも……本当に大人になったんだね』

 しみじみとスタリオンはつぶやいた。覇界マイクとの戦闘で負傷した戒道幾巳も、順調に回復中ではあるが、まだ入院中である。隣の病室に移動してきてすぐに会ったのだが、それは驚きと混乱をもたらすものだった。
 彼にしてみれば、二〇〇七年の地球から旅立ち、帰還途中に覇界の眷族と化してしまい、浄解された場所は、二〇一七年の地球だったということになる。

(ウラシマ効果……とは意味が違うけど、そんな感覚だったな)

 一か月ほど前の自分を思い出して、凱はスタリオンに共感した。そして、隣に立つ護の姿を見る。通信モニター内のスタリオンが見つめている、成人した立派な若者の姿を。

「スタリーさん、いろいろ気になるでしょうけど、今はゆっくり体を治してください」
『気持ちはありがたいけど……護くん、そうも言ってられないよ。いまだマイシスターをはじめとする仲間たちが、この間までのボクと同じ状態なんだからね』

 気遣う護に向かって、スタリオンは静かな、だが固い決意を込めた口調で応じた。

「……うんうん、そうだな。悪いが、いまは気遣いよりも優先しなくちゃなんねぇことがある。あんたの知ってること、洗いざらい話してもらいてぇ」

 一同を代表して、必要な事を言ってのけたのは阿嘉松長官である。スタリオンとはこれが初対面だが、彼の方は恩師である獅子王雷牙の実子である阿嘉松のことを、話に聞いたことはあった。

『わかりました。覚えている限りのことをお話しシマス』

 スタリオンは科学者らしく、自分の体験したことを、系統立てて話し始めた。

 

 ──それによれば、オレンジサイトで途絶えた意識が目覚めたのは、地球上のどこかであったらしい。なぜそれがわかったかといえば、頭上に夜の星が見覚えのある星座をなして輝いていたからだという。

『星の配置からすると、北半球のどこかであるコトは間違いないのデスが……とにかく、そこで私タチは全員、涙を流したのデス』
「地球に帰ってこられた嬉しさにか? 覇界の眷族っつっても、その辺りは変わらないんだな」

 阿嘉松の軽口に対して、スタリオンは沈痛な表情で答える。

『いいえ、そうではありません。この美しい星空を──宇宙を蝕む知的生命体の罪深さに、胸が痛んだのです……』

 通信モニター越しのスタリオンの言葉に、それを聞いていたメインオーダールームの一同は言葉を失った。

『いまにして思えば、それはトリプルゼロに浸食されたが故の思考だと、理解できます。そして、あの時ははっきりと考えるに至ったのです──この宇宙のため、命を賭けてでも地球人類を滅ぼさねばならないと……』
「スタリーさん……」

 護は悲しそうな顔でつぶやいた。彼が知るスタリオン・ホワイトは、妹思いの生真面目な科学者だ。にも関わらず、休日には弾けた衣装でライブを楽しむロックミュージシャンというアクティブな一面も持っており、とても自らの考えで人類を滅ぼすなどという結論に至るはずがない。その彼が、実際に起こしてしまった自分の行動をどう考えているのか──沈痛な表情からは、それがうかがえた。

「……スタリオン・ホワイト、その時の思考は外的要因によって植え付けられた衝動であり、君たちGGGグリーンの隊員たちの責に帰せられるものではない」
『楊博士……そう言ってもらえると、救われマス。ですが、私が警告したい話はこれからなのデス。私とマイクは……先見偵察を担ってたのです』

 新生GGGブルーの側は、オレンジサイトから帰還した旧GGGの装備や人員をよく知っている。マイクの各種ディスクに対抗策を用意して臨めたのは、そのためだ。しかし、覇界の眷族と化した旧GGG隊員たちは、そうなるであろうことを予測しており、まずはマイクとZR-04ゼロゼロフォー群を使って、GGGブルーの戦力を探ろうという試みだったのだ。

『おそらく次は、皆さんの戦力を把握した……より効果的な手を……打ってくるデショウ……』

 そこまでをつぶやいて、スタリオンは苦しそうに咳き込んだ。モニターの外から伸びてきた看護師の手が、ベッドに倒れ込んだ彼に安定剤を投与する。まだ体力が回復しきってはいないのだ。

「ありがとう、スタリーさん。いままでの話を参考に、僕たちは戦います。みんなを取り戻すまで!」

 そう言った護に向かって、右腕の親指を立ててみせると、スタリオンは目を閉じた。安定剤の効果で眠りについたのだろう。
 通信回線が切れたところで、メインオーダールームの一同はそれぞれの感想をもらした。

「オウ、ショッキングだね。僕の親友だった激が敵にまわったら……こんな恐ろしいことはないよ」と、火麻激参謀の米軍時代の同僚だったプリックル参謀が両手をオーバーに上げて見せる。
「旧GGGの勇者ロボたちは戦闘力も去ることながら、超AIの練度も高い。果たして、我々の勇者ロボたちで対抗できるかどうか……」と、風龍・雷龍の生みの親である楊博士はつぶやく。
「やれやれ、あの伝説の有能長官様が本気で指揮をとっているとなると、こりゃあ手強そうだなぁ」と、天を仰ぐ阿嘉松長官。

 かつて幾度も地球を救った大河幸太郎の話は、阿嘉松もよく耳にしていた。というより、常に比較されてきたと言うべきだろう。客観的に見て、阿嘉松の指揮官としての能力は低いものではない。それでも、果断な判断力で全人類を救ってきた大河のカリスマ的力量は、すでに神格化されている。インビジブル・バーストによる被害が著しいものであったのは阿嘉松の責任ではないのだが、「こんな時、大河長官がいてくれたら……」という声が絶えることもなかったのだ。

「そうぼやくな。我らの長官もそう捨てたものではないさ」

 楊が珍しく、軽口のような口調で応じる。実のところ、阿嘉松が感じているプレッシャーをもっとも理解しているのは、彼だったろう。これまで、GGGの歴代スーパーバイザーはみな世界十大頭脳に数えられる科学者ばかりだった。そこまでの評価を受けていない楊もまた、偉大な先輩達と比較され続けてきたのである。

「そして、我々ガッツィ・グローバル・ガードの戦力もな。トリプルゼロの力を得た大河幸太郎や獅子王雷牙が敵に回ったとて、戦いようはある」

 そう断言する楊の表情は、それが単なる過信でないことを物語っている。

(こちらにはまだ見せていない奥の手も、開発中の新装備もある。そして、覇界の眷属にとって最大の不確定要素たるソムニウムがいる……)

 かつてゾンダーや原種との抗争には関与してこなかったソムニウムが、覇界の眷族に対しては積極的に共闘の姿勢を見せている。過去のいきさつから、あまり彼らを当てにする気になれない阿嘉松と違って、楊はその存在を活用することすら考えているのだった。

「まあ、なんだ、いざって時はベターメンさえ来てくれりゃあ、なんとか…」

 少し気が楽になったのか、阿嘉松が口を開きかけた瞬間──
 メインオーダールームに警報が鳴り響いた。諜報部オペレーターである山じいが、端末に表示された内容を報告する。

「ハワイのプナ地熱プラントでZ0シミラーが検出されたっすわ! おっと…ドバイのメガソーラー発電所からも!」
「でやがったか!」

 阿嘉松の額にドッと緊張の汗が噴き出す。

「同時に二カ所!?」

 眉間に力が入る凱。過去に於いて、GGGの戦力を二分するべく機界31原種がエジプトとメキシコに分かれた<二正面作戦>。それを、今この場において、その旧GGGによって強いられることになるとは予想外だったのだ。

「どっちのZ0シミラー数値も、オーストラリアの時を上回る……超高濃度っす!」

 報告する山じいの声には悲壮感すら漂っていた。

 勇気を超えた智の勝負となるであろう、覇界の眷族との第二戦が今、幕を開けた──

 

(つづく)


著・竹田裕一郎
監修・米たにヨシトモ


次回8月21日(月)更新予定


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