覇界王~ガオガイガー対ベターマン~【第53回】

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《前回までのあらすじ》

 覇界の眷族によって、全世界にトリプルゼロが拡散された! ゼロロボが大量発生し、地球全土が制圧されるまでの猶予はあとわずか。竜四姉妹による奇跡のシンメトリカルドッキングで覇界幻竜神と覇界強龍神に打ち勝ったGGG。獅子王雷牙を取り戻したことで、ディスクX量産の目処もついた。
 そんな中、ガオガイゴーが覇界の眷族になったという凶報が、オービットベースにもたらされる! 伝説のソムニウムと呼ばれるデウスは、覇界ガオガイゴーを二〇〇五年に送り込み、覇界の眷族に敗北する歴史を改変しようとする。だが、その試みはラミアたちによって阻まれた。
 一方、二〇一七年のGGGオービットベースには覇界王キングジェイダーが襲い来る。GストーンとJジュエルの輝きを重ね合わせたシルバリオンクラッシャーを手にして!

number.08 禽-PHOENIX- 西暦二〇一七年/二〇〇五年(6)


7

「シルバリオンクラッシャーッ!」

 GGGオービットベースを臨む宇宙空間に、覇界の眷族であるソルダートJとルネの──覇界王キングジェイダーの叫びが轟く。
 ゴルディーマーグ(正確には、そのAIブロック)が存在しなければ、ゴルディオンクラッシャーは完成しない。その予測に希望を見いだしていた若き勇者たちは、動揺を隠せない。

「オーノー、こんな手があるなんて予想不可能だったっぜ!」
「ゴルディオンクラッシャーが使われたら、オービットベースが一瞬で光になっちゃう!」
「いいえ、あれはシルバリオンクラッシャー! JジュエルとGストーンの力があわさったものですわ! いった、どうしたら……」

 マイク、天竜神、星龍神の声が震える。だがその時、彼らを一喝する通信波が虚空を駆けた。

「みんなうろたえるなっ!」

 それは勇者ロボ軍団の先頭を行く超竜神──いや、翔竜と合体した翔超竜神の頼もしい声。

「私たちにはGGGスタッフが立案した作戦がある! みんな成功を信じて、自分の役割を確実に果たすんだ!」

 怯えかけていた超AIたちを、ふたたび奮い立たせる力を持つ、力強い声だった。

「その通りです! 我らはGGGの勇者として、勝利を信じましょう!」

 ビッグボルフォッグの冷静な声が続いた。

「先輩たちの言うとおりだぜ!」
「ああ、さすが歴戦の勇者は違うね。さあボーイ&ガールズ、落ち着いていこうじゃないか」

 この中では中堅とも呼べる撃龍神とビッグポルコートが、サポートするかのように言葉を添える。一瞬広がりかけた動揺はすぐに収まり、勇者たちはフォーメーションを組み直した。
 彼らから少し離れた空間を進むガオファイガーのなかで、凱は深い安心感のようなものを感じていた。

(頼もしい仲間が帰ってきてくれたぜ……!)

 三重連太陽系から帰還して以来、凱は若き勇者たちを鼓舞して、過酷な戦いを続けてきた。GGGブルーの勇者たちが頼りなかったとまでは言わないが、それでも超竜神とボルフォッグがかたわらにいてくれる安心感は大きい。ゾンダーとの戦いが幕を開けたあの頃、凱を支えてくれたのが、この二体だったのだから。

「勇者たちよ……貴様らが宇宙の摂理を忘れてしまったところで!」
「この力に抗えるもんか!」

 シルバリオンクラッシャーの柄に融合した、覇界王の首が吼える。同時にクラッシャーの上部が爆発した。
 いや、それは砕け散ったわけではない。八つのパーツに分解され、それぞれがグラビティショックウェーブを生成する独立した部位GGDとして展開しているのだ。人類史上初めて、重力衝撃波を発生させることに成功したゴルディオンハンマーは、二十メートルのハンマーが発生源となっていた。そのため、出力にも発生範囲にも限界がある。だが人類は、木星決戦において、Zマスターという巨大な敵と対峙した。その教訓から開発されたのがゴルディオンクラッシャーである。重力衝撃波の発生源を固定装置ではなく、長径二十キロメートルにまで展開したエネルギーフィールドにすることで、光化範囲を飛躍的に拡張することに成功した。
 八つのGGDが宇宙空間に瞬き、それらを結ぶ星座が完成したとき、ゴルディオンクラッシャーはその真価を発揮するのだ。その様子は、メインオーダールームのメインスクリーンにも映し出されている。

「フォーメーションPの発動準備は!」

 大河の問いに、アルエットが素早く答える。

「あと四〇〇秒です!」

 次の瞬間、アルエットのモニター画面から、いくつかのウインドウ表示が消えていった。

「GGGグリーン各機の管制は、すべて任せて!」

 消失したウインドウは、すべて卯都木命のウインドウに現れていた。機動部隊オペレーターとしての任務と、“フォーメーションP”の設定──いくらアルエットが天才児といえど、並列作業では精度も速度も落ちる。そう見てとった命の咄嗟の判断である。

「命……ジュヴルメルシー」

 大先輩でもある命の判断に感謝しながら、アルエットはキータイプの手を早めた。命の方もまた、後輩のそんな姿を嬉しく思う。

(アルエット……あの子がこんなになるなんて……)

 かつて、まだ五歳だったアルエットと、命はしばらく行動をともにしたことがある。アルエットが記憶を失ったことでその縁は失われたが、普通の生活をしている彼女の様子を、パリまで見に行ったこともあるのだ。
 覇界の眷族から回復した命を、オービットベースで最初に出迎えたのもアルエットだった(凱は宇宙に上がる前、地上で検査入院した病院へ会いに行っている)。Gアイランドシティから離昇したシャトルがオービットベースにドッキング、収容区画が与圧されるともに懐かしい宇宙基地へ降り立った命の前に、美しい金髪女性が立った。

「……お帰りなさい、命」
「えっと……どちら様?」

 それが、アルエットと再会した命の第一声だった。オービットベースから旅立ち、十年が経過していることは理解していた。だが、大人びたアルエットはとても十五歳には見えず、記憶の中の幼児と一致しなかったのである。

「もう! 凱はすぐ見分けてくれたのに!」

 再会を心待ちにしていたアルエットは、そう言ってふくれたものだ。そんな仕草には、年相応の可愛らしさがあった。
 だが、ここ数日の演習で、アルエットが優秀なオペレーターであり、頼もしいGGGスタッフの仲間であることを、命も知った。

(一緒に頑張ろうね、アルエット……!)

 この戦いの行く末を左右する、多くの要因のひとつ──フォーメーションP。その成功に向けて、メインオーダールームのスタッフたちも懸命な努力を続けていた……。


 だが──
 すでに展開を終えたシルバリオンクラッシャーに対して、四〇〇秒の猶予を確保することは絶望的に思えた。覇界王キングジェイダーの頭上で今まさに、エネルギーフィールドが完成しようとしていた。
 その瞬間、八つの影が猛然と八つのGGDに襲いかかる!

「みんな、行くよ!」

 GGGブルー機動部隊隊長が号令をかけた。意識のない紗孔羅とともにダイブした覚醒人V2が、チェーンで保持された両腕を射出する。その内部に充填された強酸性の物質が、GGDの一基に浴びせかけられた。

「ダブルシナプス弾撃ッ!」

 続いて翔超竜神が両腕のダブルガンと、両腰のダブルライフルを一斉射する。

「うおおおお、全弾発射!」

 撃龍神は両腕から、緑と黄の龍を解き放つ。

「唸れ疾風! 轟け雷光! 双頭龍ッ!!」

 天竜神はマイクロミサイルで散布したミラー群に、メーザーを乱反射させる。

「天竜神……光と闇の舞!」

 星龍神の背部から、銀と金の光輪が輝きを放つ。

「煌めけ月輪! 翳せ日輪! 星たちの円舞ゾンネンフィンシュテルニス!」

 ビッグボルフォッグは銀色の独楽となって、GGDへ突っ込んでいく。

「大回転大魔弾!」

 ビッグポルコートは同じく独楽のように舞い、ミラー粒子の戦輪を虚空に滑らせた。

「大回転魔輪!」

 最後にマイク・サウンダース十三世がギラギラーンVVとドカドカーンVを手に、銀色の円盤を胸部トレイに挿入した。

「カモン・ロックンロール! ディスクF、セットオンッ!!」

 続いてゴキゲンなシャウトを張り上げる。

「ウェイブライザーッ!」

 熱いボーカルにのって、ガオファイガーを模したグラビティ・ショックウェーブが放たれた!
 八体の勇者たちの同時攻撃は狙い過たず、八個のGGDに直撃、完全破壊した。シルバリオンクラッシャーがいかに強力であろうと、GGDそのものは頑強な装甲など持たない部位でしかない。エネルギーフィールドが完成する前にふところに飛び込んでしまえば、有効な攻撃が可能なのだ。
 シルバリオンクラッシャー攻略には、八個のGGDに同時攻撃をかけるしかない──それがGGGの結論であり、無理にでも覚醒人V2を戦列へ投じなければならない理由だった。しかし、これで沈黙する覇界王ではない。

「Jの邪魔はさせない……!」

 シルバリオンクラッシャーの柄を保持したままの、首のない覇界王キングジェイダーが全身からESミサイルを発射した。

「邪魔はさせません……トモロ0117!」

 互いの手の内を知る者同士──諜報ロボが、大回転魔弾でESミサイルを次々と叩き落とした。

「おのれ、ビッグボルフォッグめ!」

 かって幾度となく“紫のロボ”と呼んだその声が、忌々しそうにその名を呼ぶ。敵として、味方として、また敵として相まみえるのも宿縁だった。

「勇者どもめ、やってくれる……だが、これで終わりと思うな!」

 ソルダートJが──覇界王の巨大な頭部が吼えた。シルバリオンクラッシャーから放たれるオレンジ色のオーラは、完全に撃ち砕かれた八個のGGDを即座に再生し始める。
 かつて六五〇〇万年の時を超えて、朽ち果てていた超竜神の機体を再生したそのパワーが、残骸として漂うGGD群をみるみるうちに蘇らせていく。

「まだだ! 何度でも壊し続けるんだ!」

 二〇〇メートルを超えるGGD、その再生途上の巨体に向かって、翔超竜神がダブルトンファーで殴りかかった。分子結合されていく端から、ハイパワーロボットの剛腕が撃ち砕いてく。

「おおっ!」

 他の勇者たちも翔超竜神を見習い、GGDの再生を阻もうと攻撃を開始した。GGGスタッフは先制攻撃でGGDを破壊した後、ただちにトリプルゼロによる再生が始まることを予想していた。その対応策はただひとつ、力尽きるまで破壊し続けること。シルバリオンクラッシャーは、八個のGGDがひとつでも欠けたら、エネルギーフィールドを完成させられない。つまり、常に誰かが目の前のGGDの破壊に成功し続けていれば、シルバリオンクラッシャーの完全発動を、防ぎ続けることが可能なのだ。
 八体の勇者たちがそろっていればこそ! GGGグリーンが完全復帰して、GGGブルーと力をあわせたからこそ、とりえる戦術だ。GGGの総力を結集すれば、たとえ相手が覇界王であろうと、恐れることはない──!!


「無駄なことを……!」

 ふたたび覇界王キングジェイダーが、ESミサイルや五連メーザー砲を発射する。豪雨のごとき攻撃にさらされながら、勇者たちは戦い続けた。八体すべてが力尽きたとき、オービットベースは光とされて、この宇宙から消え去るのだから!

「……華ちゃん、紗孔羅さんの様子はどう!?」

 慣れない覚醒人V2で懸命に戦いながら、護は華に問いかけた。通常、ヘッドダイバーが一方でも意識を失うと、ニューロノイドは稼働停止する。だが、この十年間の紗孔羅の状態は昏睡とも違うらしく、意識のないままデュアルインパルスを発することができるのだった。それが故の阿嘉松の苦渋の決断だったのだが、護にも決意があった。

(僕が護らなきゃいけない……オービットベースも。紗孔羅さんも!)

 護に特に頼まれていたこともあり、華は入念に紗孔羅のバイタルチェックを行っている。今のところ、異変が起きた様子はない。

「大丈夫だよ、護くん! ちょっとでも異状があったら、すぐに対処する……護くんは戦いに専念して!」

 紗孔羅のセリブヘッドの状態は、華のコンソールでモニタリングされ、必要とあらば投薬などを実行することもできる。華は護を安心させるよう、思いっきり頼もしそうな声を出した。

(そうだ……私がずっと怖くないって思うことができたのは、護くんやみんなが支えてくれたから。いまは私が護くんを支える! なんの不安もなく戦えるように!)

 華のバックアップを得て、護は覚醒人V2で戦い続ける。だが、Gストーンで駆動する勇者ロボたちに比べると、リンカージェルの透析限界があるニューロノイドは、継戦能力に不安がある。本来なら、この役割はガオガイゴーが担うはずだったのだ。

(幾巳がいてくれれば……)

 護の脳裏に、そんな想いもよぎる。だが、首を振って弱気を振り払った。戒道にはこの作戦で、やらなければならない大事な役割がある。今はそれぞれの場所で、それぞれの役割を果たすしかない。護は苦しいダイブを続けながら、いま現在の相棒に向かって呼びかけた。

「絶対勝とうね、紗孔羅さん……!」

 

「双頭龍の出力低下! GGD2を破壊しきれません!」
「天竜神、マルチプルアームドコンテナの残弾が十パーセントを切りました! 補給が必要です!」

 命と華のオペレーションに、緊張感が高まっていく。このまま戦いが続けば、トリプルゼロによる再生速度が、勇者たちの破壊速度を上回る瞬間がくる。そうなれば、この空間に存在するすべてのものが光にされてしまうだろう。
 だが、GGGスタッフは誰もそれを怖れてはいなかった。

「お待たせしました! セッティング完了です!」

 アルエットが二人の長官の方を振り向いて、報告する。

「よくやってくれた、アルエットくん!」
「よおおおしッ、フォーメションP発令!」

 大河特務長官がアルエットを労い、阿嘉松長官が指令を出す。メインオーダールームのスタッフはその指令に基づき、ディビジョンフリートを発進させていった。

「無限連結輸槽艦<ミズハ>、分離発進!」
「機動完遂要塞艦<ワダツミ>、変形開始!」
「諜報鏡面遊撃艦<ヤマツミ>、ドッキング状態へ移行!」

 プロジェクトZの際に開発されたワダツミとヤマツミは、ミズハを支援する機能をもたされている。<ディビジョントレイン>形態もそのひとつであり、三艦のレプトントラベラーを連結することで、高速惑星間航行を可能とする。だが、それだけにとどまらない。
 この三艦には、いまだ隠された機能が存在したのだ。しかもそれは、楊博士や高之橋博士の手で開発された後、アルエットや帰還した雷牙によって更なる改修を受けていた。その最後の仕上げとなるシステム調整も、いま完了した!

「勇者ロボ各機へ! フォーメーションPスタンバイ! ただちに軸線上より退避してください!」

 命からの通信を待っていたとばかりに、勇者たちは退避を開始した。

「ナイスタイミングだっぜ……これ以上はもう……」
「無理しないで、マイクくん」
「私たちの任務は完了しました、いまは生還を心がけて!」
「了解だっぜ、ビューティシスターズ……」

 GSライドの限界まで戦い続けた勇者たちが、シルバリオンクラッシャーから離脱する。邪魔者がいなくなり、GGDはただちに再生を完了。エネルギーフィールドが完成した。

「勇者どもめ、よくもがきあがいてくれた……こうまで手こずるとはな」
「それも終わりさ。急ぐよ、J。GGGも対抗策を用意してるようだ」

 ルネの視線の先にあるのはミズハ、ワダツミ、ヤマツミがドッキングした巨大な構造体だ。列車形態になったミズハが丸く輪のような姿になり、その内側をヤマツミとワダツミが埋めている。全体のシルエットは円盤状で、宇宙に咲いた花のようだ。

「どんな機能があろうと……光にしてしまえば関係ない。行くぞっ!」

 首のない覇界王キングジェイダーがシルバリオンクラッシャーを振り上げ、そこから展開した八基のGGDが全長二十キロメートルのエネルギーフィールドを発生させる! その光り輝くフィールドは、いつしか鳥のような姿になっていた。
 宇宙空間に羽ばたくオレンジ色のオーラをまとった猛禽。それは覇界のエネルギーの具現化であり、すべてを撃ち砕かんとする意志のかたち。そもそもトリプルゼロというエネルギーには、知的生命体を殲滅しようとする意志は存在しない。あくまで終焉に向かう力学に影響された者の意志が、かたちとなっているのだ。
 行く手を阻むものすべてを光に変えんと、不死鳥が羽ばたく。その前方にあるのは、人類の希望たる宇宙の砦。だが、いまこの時、その砦を護る力が存在した──その名は、プロテクトリフレクサー!

「空間反転率八十を突破!」
「リフレクションシールド、臨界まで二八七〇〇〇!」

 アルエットや華の報告を耳にして、火麻がニヤリと笑った。

「国連評議会の腰抜けっぷりが、役に立つ日が来るとはな!」
「オー、激! それというのもミンナ、君タチが反乱したせいなんだヨ」

 大河幸太郎以下、旧GGGスタッフによる十年前の反乱事件。この時、彼らがディビジョンフリートを持ち出した上、フォーメーションGのプロテクト解除キーまで手にしていたという事実は、国連上層部を震え上がらせた。
 彼らがその気になれば、ゴルディオンクラッシャーで全人類を一方的に殲滅すうることすらできるのだから。三重連太陽系で起きた真実が、帰還した護と戒道の口から語られてもなお、妄想に等しい心配をする者たちは絶えなかった。
 その結果、開発されたのが──ディビジョン三艦による矛を防ぐことができる、新型ディビジョン三艦による楯──すなわちプロテクトリフレクサーである。

「オービットベースよ……光になれぇぇぇっ!!」

 ソルダートJとルネの声が重なり、オレンジ光の猛禽が突っ込んでいく。エネルギーフィールドは、宇宙に咲く花の中央に直撃、一瞬で光に変えた──変えたように見えた。
 だが、重力衝撃波によって光子変換されたのは、花の中心部に浮遊するデブリでしかなかった。光の猛禽は鏡の花に吸い込まれ、ふたたび飛び立った──もと来た方向へと。

「なに!?」

 新型ディビジョン三艦が、レプトントラベラー三基の出力で生みだしたのは、巨大な反射鏡である。いや、正確には鏡ではない。ミズハの遠大な艦体が構成する輪の内部では、空間が歪曲反転されているのだ。ディバイディングドライバーに用いられている空間湾曲技術で、輪の入口と出口をねじ曲げて直結したのだ。どのような強大な攻撃も、空間をねじ曲げられて反転したのでは、大人しく従う他はない。
 逆進した光の猛禽は、正面から覇界王キングジェイダーを呑み込んでいった!

「アアアアアッ!」

 トモロの苦鳴が宇宙空間に響く。

「成功だ!」
「シルバリオンクラッシャーによる重力衝撃波、一〇〇パーセント反転に成功!」

 国連評議会が企図したのは、ゴルディオンクラッシャーで反乱者たちに攻撃された場合、そのすべてをぶつけ返してやろうというものだった。皮肉にも、彼らのその慎重さ、周到さがいま地球を救ったとも言える。

「キングジェイダーはどうなった!」
「反応観測できませんあの重力衝撃波ですから一瞬で光になったと思われます見つかりません……」

 大河の問いに、タマラが答える。たしかにそう考えるのが打倒だろう。荒れ狂う重力衝撃波の暴風のなか、耐えられる者がいようはずもない。だが──

「まだだっ、まだ気を抜くな!」
「そうだ! Jが……トモロがこんなところで!」

 いまも拡散しきっていない重力衝撃波の中を突き進む、一陣の光。いや、それは光を斬り裂いていく一筋の矢だ。
 凱と戒道が乗り込んだ勇者王ガオファイガー。右腕にコネクトしたゴルディオンダブルハンマーが、グラビティバースト機能で重力衝撃波を減衰しながら突き進んでいるのだ。

「だーはっはっは! 俺様にかかればこんなもん、そよ風みたいなもんだぜッ!!」

 荒れ狂う重力衝撃波も、発生源が稼働停止すれば収まっていくはず。そして、その中心にこそ、ガオファイガーが目指すものがあるはずだ──あった!
 閃光の中心に鎮座する、覇界王キングジェイダーの首級。いや、それは本体が噴き出した、攻撃的な意志の具現化に過ぎない。実体はオーラの中心にいる。
 そしてガオファイガーはついにとりついた! オーラの中心核、覇界王ジェイダーのもとへ!
 どんなに覇界王が強大であろうと、その力を利用すれば隙を生じさせることができる。その瞬間に、凱と戒道が肉薄する──これこそが作戦の最終段階だ。

「……ソルダートJ! ルネ! お前たちを返してもらうぜ!」

(つづく)


著・竹田裕一郎


次回7月15日更新予定


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