覇界王~ガオガイガー対ベターマン~【第54回】

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《前回までのあらすじ》

 覇界の眷族によって、全世界にトリプルゼロが拡散された! ゼロロボが大量発生し、地球全土が制圧されるまでの猶予はあとわずか。だが、竜四姉妹による奇跡のシンメトリカルドッキングで、GGGは覇界幻竜神と覇界強龍神に打ち勝つ。獅子王雷牙を取り戻したことで、ディスクX量産の目処もついた。
 そんな中、ガオガイゴーが覇界の眷族になったという凶報が、オービットベースにもたらされる! 伝説のソムニウムと呼ばれるデウスは、覇界ガオガイゴーを二〇〇五年に送り込み、覇界の眷族に敗北する歴史を改変しようとする。だが、その試みはラミアたちによって阻まれた。
 一方、二〇一七年のGGGオービットベースには覇界王キングジェイダーが襲い来る。GストーンとJジュエルの輝きを重ね合わせたシルバリオンクラッシャーの猛攻を防ぎきったGGGは、いよいよ反撃に打って出た!

number.08 禽-PHOENIX- 西暦二〇一七年/二〇〇五年(7)


7(承前)

 プロテクトリフレクサーが空間湾曲によって反転させた重力衝撃波は、覇界王キングジェイダーの全身に浴びせかけられた。かつて三重連太陽系において使用されたゴルディオンクラッシャーの一撃は、恒星サイズの敵──ピサ・ソールを光へと変換した。それを上回る出力のシルバリオンクラッシャー。その攻撃をまともに受けた以上、覇界王キングジェイダーといえど、光となるはずであった。
 だが、宇宙開闢を司るエネルギー、トリプルゼロの力は既知の常識を超える。重力衝撃波によって光にされていく己の憑代──キングジェイダーを瞬時に再生していった。超翼射出司令艦ツクヨミ、極輝覚醒複胴艦ヒルメの大部分は光化されたものの、最撃多元燃導艦タケハヤにあたる部位と覇界王キングジェイダー本体は生き残り、ほぼ再生を終えていた。ヒルメにドッキングしていた頭部も、すでに噴出したオーラは収まり、通常サイズに戻っている。
 プロテクトリフレクサー発動に備えて、退避行動をとっていた勇者ロボ軍団も、その再生の姿に驚嘆を禁じ得ない。まさしく不死鳥──フェニックスのごとき姿だ。

「トリプルゼロ……敵になってみると、なんと恐ろしい」
「いや、だが効いているぞ。GGGの作戦通りだ!」

 ビッグボルフォッグに、翔超竜神が声をかける。覇界王キングジェイダーに効果的な一撃を与えるには、シルバリオンクラッシャーの攻撃力しかない。それが起死回生の一手であった。

「ちぃっ、GGGめ! なんて防御策を!」
「惚けている暇はないぞ!」

 悔しそうにするルネを、ソルダートJが叱咤した。そう、眼前にはすでに恐るべき敵が迫っている。
 金色の破壊神! 重力衝撃波の奔流の中、ゴルディオンモーターの機能で突っ切ってきたガオファイガーは、ゴルディオンダブルハンマーを振りかぶった。

「ハンマーヘルッ!」

 それは敵を倒そうとする攻撃ではない。二本の核摘出用ネイルを打ち込み、何かを抉り出そうとする行為だ。その対象がなんであるのか、Jは悟っていた。

「甘いぞ凱! この期に及んで我らを助け出そうとは!」

 タケハヤ──すなわちシルバリオンクラッシャーの柄に融合したままの、覇界王キングジェイダー頭部が吼えた。そして、両側面の張り出しが閃光を放つ。

「プラズマソードッ!」

 その張り出しは、頭部がジェイダーに変形した際には腕となる。そこから繰り出される格闘武器を、咆吼を放つ頭部のままで放ったのだ!
 右から突き出されたプラズマソードがマーグハンドを貫く。そしてもう一方の光の剣は、左からガオファイガーの脇腹に、深々と突き立てられていた。

「ぐおおおっ!」

 二箇所から黒煙とスパークが飛び散り、ゴルディーの絶叫とともに金色の輝きが消え失せていく。ジェイアーク艦橋部に先端が打ち付けられていた釘も、エネルギー供給を断たれて消失した。

「凱兄ちゃんっ、幾巳ぃっ!」

 リンカージェルの限界に達し、もはや継戦能力を失った覚醒人V2から護が叫ぶ。プラズマソードによるガオファイガーの損傷が、致命傷──もしくはその一歩手前の深傷ふかでであることを見てとったのだ。
 ガオファイガーの双眸から、輝きが消えていく。勇者王の死──それを悟ったソルダートJの口元に笑みが浮かぶ。ゾンダリアンであった時代から長く続いた勇者と戦士の連戦に、ついに決着がついた。その確信の笑みである。
 だが、戦士は思い違いをしていた。マーグハンドの釘は、ソルダートJとルネを摘出するために打ち込まれたわけではない。そして、ガオファイガーの両眼が暗くなったのは、勇者の死を意味しているわけではない。
 それは艦橋部の窓に穴を穿つ行為であり、フュージョンアウトによる稼働停止だったのだ。

「この時を待っていたぜ!」
「今こそ、救い出す!」

 ガオファイガーの胴体部から凱が、左肩のライナーガオーⅡコクピットから戒道が、虚空に躍り出た。緑と赤に輝く姿が、窓に空けられた破孔から飛び込んでいく。二人はついに、覇界キングジェイダー艦橋部の床に並び立った。

 

「凱、アルマ……」
「あんたたち、これを狙っていたね……!」

 眼前の凱と戒道を見て、ソルダートJとルネもまた、フュージョンアウトする。覇界王キングジェイダーにどのような強大な力があろうと、内部に入り込まれては、その力を振るうことはできない。
 すでに破孔部にシャッターが降りているため、空気の流出は止まっている。静寂に満ちた空間で、ルネの言葉に凱がうなずく。

「ああ、すべてはこの瞬間のためだった」

 GGGの勇者ロボ軍団八機でシルバリオンクラッシャーのGGD八基に対抗したことも。それを戒道幾巳抜きで行わねばならなかったことも。ガオファイガーを犠牲にしてでも肉薄したことも。
 すべては、シルバリオンクラッシャーを手にした覇界王キングジェイダーという、未曾有の難敵に対抗するためのGGGの作戦であった。

「……我々とお前たち二人ならば、五分と五分の勝負になるというわけか。よくぞここまで持ち込んだものだ」
「でも、これで勝ったと思ったら間違いだよ……私たちのサイボーグ・ボディだって、トリプルゼロで強化されてるんだからね」

 ソルダートJは右腕に赤く輝く刃、ラディアントリッパーを発生させる。ルネは両腕に二丁のハンドガンをかまえた。

「勝てるとは思ってない。だが、負けるわけにもいかない……ウィルナイフ!」

 凱はそう言うと、ウィルナイフを引き抜いた。かたわらに並ぶ戒道は素手のまま、もとより武器は用意していない。

「行くぞ、幾巳!」
「ええ!」

 うなずきあった凱と戒道は、ともに手を突き出した。二人の全身が、緑と赤に輝く。

「クーラティオーッ!!」
「テンペルム!」

 彼らが攻撃してくると思っていたJとルネは、意表をつかれた。だが、すぐにその意図を理解する。発した呪文が、なにを意味しているのか、明白であったから。

「貴様ら、我らを浄解するつもりか!」
「舐めたまねを──!」

 Jが光の剣をかまえて突進した。それに続きながら、ルネはハンドガン──スマイソンを連射する。呪文を唱えきる前に、倒してしまおうというのだろう。
 だが、戒道は詠唱しつつも、念動力による障壁を張っていた。バリアーが銃弾をことごとく弾き返す。

「テネリタースッ!!」
「ムンドゥース!」

 これまでの経験からわかったことは、覇界の眷族を浄解するには二人の能力者が必要ということだ。意識のない紗孔羅を覚醒人V2にダイブさせてでも、戒道が凱に同行した理由である。
 しかし、これまで護や彼らが浄解してきたのは、ゾンダーコア、原種核、ゼロ核。いずれも敵ロボットから抉り出したコアだった。自らフュージョンアウトしてきた敵を相手にしたことはない。
 眼前まで迫ってきたソルダートJは、ラディアントリッパーを神速で振るった。

「はあああっ!」

 だが、無数の斬撃を、凱はすべてウィルナイフで受け流す。そして叫ぶ。

「セクティオーッ!!」

 凱の背に守られつつ、バリアーを張りながら、戒道も続いた。

「インフィニ!」

 Jとルネがゼロ核になっていなかった場合も想定して、凱と戒道はここまで乗り込んできた。後はウィルナイフとバリアーのコンビネーションで耐えつつ、浄解の呪文を唱えきる。それが緻密に組み立てられた作戦の最終段階だ。
 だが、想定しつつそれでもなお、浴びせられる攻撃は苛烈だった。

「どうした凱、いつまでも耐えきれると思うな!」

 ラディアントリッパーの猛撃が、ついにウィルナイフの刀身を撃ち砕く!

「私たちを浄解したいなら、まず倒してからにしな!」

 スマイソンを全弾撃ちつくしたルネが、拳で戒道に殴りかかってきた!

「サルースッ!!」
「トゥーム!」

 容赦なく繰り出される赤い斬撃が、凱のIDアーマーを破壊していく。吸収しきれないダメージが肉体を苛み、皮膚を斬り裂いていく。
 Gストーンを埋め込まれた鋼の拳。その重い打撃が戒道の、細い胴体の鳩尾に打ち込まれた。バイオネットの獣人をも軽々と翻弄する肉体が、さらに小柄な相手の一撃で軋む。息が詰まる──しかし、呼吸を止めるわけにはいかない。まだ呪文を言い終えていないのだから。
 どれほど傷つこうと、凱と戒道は呪文を止めようとしない。その理由を、Jとルネも知っている。トリプルゼロに倫理観を浸食されようと、彼ら本来の心は失われてはいないのだから。ただ、仲間を思う気持ちよりも、宇宙の摂理に従わねばならない──その衝動が、感情を押し殺しているに過ぎない。

(アルマ……ここから逃げてくれ。故郷を失い、一度は敗北した戦士にふたたび戦う意味を与えてくれたお前を、この手で斃したくは──)

(凱、あんたバカだよ。本気でやれば、ハーフサイボーグの私なんて、一瞬でねじ伏せられるものを──)

 心と衝動が、サイボーグたちの内で葛藤を産み出す。それが精密な攻撃をくるわせたのだろうか。刃と拳が、一瞬だけ鈍った。
 そして、その隙を凱も戒道も見逃さなかった。いますべてを決しなければ、もう耐えきることはできない。

「……コクトゥーラッ!!」

 絶叫しながら、凱はJの顔面に左拳を打ち込んだ!

「……レディーレ!」

 ルネの打撃をかいくぐりながら、懐に飛び込んだ戒道は平手打ちを放つ! 拳と掌が触れた箇所から閃光が走り、艦橋一面を覆い尽くした。
 窓の破孔から漏れてくる輝きを見て、覚醒人V2の中の護は微笑んだ。その光が意味するところを、誰よりも知っていたのだから。

(やったんだ……凱兄ちゃん! 幾巳!)

「………」

 倒れていたルネが、ゆっくりと瞼を開く。目に入ってきたのは、右手を差し伸べている青年の姿だった。自分を張り倒した手を借りて、ルネは立ち上がる。

「手荒なことをして、すまなかった。でも……雷牙博士の手だった、そう思ってほしい」

 数日前、(本当なら自分で乗り込んでいって、あの子をぶん殴ってやるつもりだったんだが)と漏らした雷牙の言葉。戒道はそれを忘れてはいなかったのだ。
 しかし、青年の言葉を聞いたルネは、嫌そうに手を振り払った。

「ふん、ジジイの手だと思うと、借りる気なくすね!」

 犬の糞にでも触れたかのような表情で、右手を振る。

「……親を大切にな」

 真面目くさった表情で、戒道がつぶやいた。

「今度はあなたの番だ」

 忘れるはずもない。戒道にとっては十年ぶりだが、ルネにとってはつい先日、口にしてしまったばかりの言葉なのだ。何かを言い返そうとして、ルネは顔を背けた。自分がどんな顔をしているか、知っていたから。

(ジジイ、余計な機能つけやがって……)

 かつての凱と、今のルネ。同じサイボーグ・ボディでありながら、その構造にはいくつも違いがある。そのひとつ──涙腺が機能していることを、ルネは自覚していた。
 その一方で、ソルダートJは素直に敵であり、ライバルであった男の手を借りて立ち上がっていた。

「……凱」
「ああ……」
「我々の決着は……ようやくついた。私の……負けだ」
「今のは浄解しただけだ。これは勝負なんかじゃ──」

 Jがかぶりを振る。静かな動作であったが、凱は遮られたように、続く言葉を呑み込んだ。

「そうではない。あのオレンジサイトで、私はトリプルゼロに浸食され、お前は耐え抜いた。……あの時、決着はついたのだ」

 晴れやかな口調だった。ゾンダリアンであった時代、赤の星の戦士に戻ってからの時代、そして覇界の眷族であった間も、常に抱き続けていたこだわり。それがようやく氷解したのだ。

「J……」

 重い衣を脱ぎ捨てたかのような戦士の前に、青年が立った。

「アルマか、苦労をかけたな……」

 戒道は無言で首を振る。

「………」

 続く言葉は発せられない。そんな二人の姿を見つめていたルネに、凱は声をかける。

「……タケハヤの方にも、大勢の生命反応があった。救助したい、手伝ってくれ」
「ああ、わかった」

 そのくらい一人でやれよ、とは口にしない。凱もルネもそれ以上は何も言わず、艦橋から出て行った。
 二人きりで取り残されて、数分は経っただろうか。あふれ出そうな想いが、液体となって青年の頬に流れた。

「涙を流すとは……戦士、失格だな」

 言葉の内容に反して、その口調は穏やかだった。いや、むしろ戦士に似つかわしくないほど、優しかった。

「誰かのために泣く者……それは戦士ではなく、勇者だ」

 かつて少年だった、そして今は青年となったその容姿を、Jはじっと見る。

「……アルマ、勇者の顔になったな」

 かつてはいつも、その姿を見上げていた。だが、今はわずかに高い位置にあるだけ。そんな姿を見ながら、戒道は口にした。十年以上も、ずっと言いたかった言葉。言えずにいた言葉。

「J……お帰り、J」

 

 タケハヤの艦内各所からは、二十六個のゼロ核が発見された。未帰還の旧GGG隊員の人数と等しい。覇界の眷族であった頃の大河が残した、自分たちを人質とする戦術。それを最後まで忠実に実行し続けたのだ。
 だが、最後に医務室を訪れた凱とルネは、そこに最後の──二十七個目のゼロ核を見つけた。

(隊員名簿にないゼロ核。この人は……)

 凱には思い当たるふしがあるのだが、この場に浄解能力者が一人しかいない以上、確かめることはできない。護に来てもらおう……そう考えた時、震動と轟音が襲ってきた。そして激しい唸り声が轟く。

 オオオオオオッ!!

「これは……! ルネ、ゼロ核を頼む!」

 返事も聞かず、凱は宇宙空間に躍り出た。エヴォリュダーである凱は、特別な装備を必要とせず、真空に対応できる。
 そこで見たものは、かつて木星で目撃したのと同じものだった。
 覇界王、降臨──
 トリプルゼロに浸食されたメカノイドが、フュージョンする者もなしに、活動開始した姿であった。

「覇界王キングジェイダー、再稼働しました! 機体各部にエネルギー反応の急上昇を観測!」
「勇者ロボ軍団、いずれも修理と補給が必要です! 即時迎撃は不可能!」
「覇界王キングジェイダー、オービットベースに向かってきます!」

 スワンや牛山次男の悲痛な声が響く中、阿嘉松が罵声を張り上げる。

「幾巳と凱はどうした!」
「戒道くんは救出したソルダートJ、ルネ、ゼロ核とともに救助艇に収容された模様!」
「凱はガオファイガーに戻りました! でも……だめ、損傷が激しく再稼働できません!」

 華とアルエットが答える。

「誰か迎撃可能な者はいないのか!」
「いません……みんな、ここまでの戦いで力を使いきって……」

 大河の問いに、命が絶望的な返事をする。無理もない。覇界王キングジェイダーとシルバリオンクラッシャーの攻略には、すべてを注ぎ込まねばならなかったのだ。ソルダートJとルネを浄解した後、さらに戦いが続くなどと、予想し得た者はいない。
 メインスクリーンには、一層激しくオレンジ色のオーラを噴き出しながら迫る覇界王の姿が映し出されている。その時だった──

『メインオーダールーム……ウームヘッドの音声を拾ってっください! 紗孔羅さんが何かを──』

 護の通信を聞いて、華が通信モニターを調整する。囁くような小さな声が増幅されて、メインオーダールームに響いた。

『くる……くるよ……カタフラクトが、くるよ……』
「カタフラクトだぁ?」

 耳慣れぬ言葉に阿嘉松が首をかしげた時、モニター映像に異変が起きた。覇界王キングジェイダーの背後に、時空の歪みが発生したのである。

『テンプスの大河を遡って……』

 プラズマソードの斬撃で大破したガオファイガー。かろうじて稼働する部位だけでも使って、覇界王に攻撃できないかと、凱はエヴォリュダー能力を駆使していた。だが、レプリ地球でパルパレーパ・プラスに対抗した時のようにはいかない。ソルダートJの攻撃は、的確にガオファイガーとマーグハンドの急所をついていた。

「くっ、なにかできることは──」

 凱は振り向き、オービットベースに突進する覇界王キングジェイダーを見る。だが、その目を奪ったのは、今まさに開かんとする時空の歪みだった。

「まさかベターマン……だが、あれは!」

 それはソキウスの門と呼ばれる次元ゲートとは、明らかに異なる現象だ。シャーラの能力で開くソキウスの路は空間跳躍でしかない。だが、デウスから奪った能力によるテンプスの大河は時間移動を可能とするのだ。
 覇界王キングジェイダーの背後に出現しようとしているのは、二〇〇五年から時空を超えてきた巨人であった。
 カタフラクト──ベターマン・デウスにそう呼ばれた合体巨人。その巨体が通常空間に出現すると、次元ゲートは何事もなかったかのように、虚空へと消えていった。

「よっしゃぁ、ベターメンが来てくれたか!」
「だが、合体ベターマンだけで覇界王がなんとかなるものなのか」
「う……そういや、木星の時はガオガイゴーとガオファイガーもいたんだった……」

 楊の指摘に、さしもの剛胆な阿嘉松も意気消沈する。

「……長官、見てください! 合体ベターマンの後ろに!」

 楊だけでなく、華もまた“ベターメン”という呼び方を避けていることに内心でがっかりしながら、阿嘉松はメインスクリーンを見る。
 華の言うとおり、合体ベターマンの背後に何かがいる。いや、その合掌造りの細工物のような尾部で、なにかを牽引してきたのだ。

「あ、あれは……ガオガイゴー!」

 彼らGGG隊員たちが見間違えようもない。それは覇界の眷族と化した上、すべての監視網から消失していたガオガイゴーだった。

「ということは、蒼斧くんと彩くんは!」

 今度は大河が問いかけ、スワンが答える。

「二人のダイブスーツからのフィジカルフィードバックを確認! 生存してマス! ただし、意識を失っている模様デス!」
「そうか、彼らは無事か!」

 大河はそう喜んだものの、事態を打開する一助にならないことは確かだ。だが、メインスクリーンに映る覇界王キングジェイダーは反転、オービットベースに背を向けている。スーパーバイザー席で、雷牙が目を瞠った。

「んんん? どうやら僕ちゃんたちよりベターマンを脅威と認識したのか!?」

 いや、そうではない。覇界王キングジェイダーは、カタフラクトの背後、ガオガイゴーとともに牽引されてきたモノに反応したのである。

 ガオオオオオオンッ!

 覇界王に敵意を向けられたモノが、咆吼をあげる。宇宙に響く誇り高き唸り声。この場にいる者の多くが、その声をよく知っている。

「まさか、この叫びって……」

 すでに動くことすらかなわないセリブヘッドで、護が愕然とした。同じように沈黙するガオファイガーの中で、凱も信じられないといった声で、その名を呼ぶ。

「ギャレオン……なのか!?」

 鋼鉄の獅子は全身を震わせて、カタフラクトの尾を振りほどいた。そこに幾筋もの光条が奔る。覇界王キングジェイダーのメーザー砲撃である。トリプルゼロに威力を倍加された攻撃をやすやすと回避して、ギャレオンは宇宙を駆けた。彼をもっとも必要とする者のもとへ!

「また一緒に戦ってくれるのか……この俺と!」

 凱もまた、真空の中を飛ぶ。かつて幾多の戦いをともに切り抜けた勇者と獅子が、いま最大の敵を前に再会したのである。勇者は叫んだ。

「行くぜギャレオン! フュージョンッ!!」

(つづく)


著・竹田裕一郎


次回7月31日更新予定


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