【第10回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」

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飛行機雲に誘われて……その10

 旅、という言葉に独特の響きを感じるのはあたしらだけだろうか。あたしらがちょっと日常を離れて、どこやらに行くのを、旅と言ってしまうのは何やら憚れる感じがする。まあだから旅行かな、旅行と言うあたりが一番ふさわしいかもしれない。
 その旅行なのだが、これは若い時に来ればよかったなという場所がある。何度か感じたことなのだが、その一つがインドだった。
 実はインドは長い間敬遠していたのだった。なぜかと言うと、いかにもの感じをずっと抱いていて、決定的にはあたしらの先輩筋に当たる漫画家がその昔売れている最中にインドに行き、まあハマったというか、ガッツリ影響を受けたというか、その後制作をパタッとやめてしまったのである。

「えっ、なんで!?」

 であった。ホントのところはそれがインドと関係があったかどうかは定かではないのだが、あたしらはそう思いそう決めつけてしまったのだ。そしてその頃のあたしらはそれを肯定的にはとらえられなかった。人には言えないが内心(ケッ!)と思ったのである。しゃらくさいとさえ思ったのである。まあそんなこんなでインドを敬遠していたのであるが、仕事がらみもあり縁あってインドへと行くことに相成ってしまったのだ。
 で、話は戻るがインドには若い時に来たかったなという話である。というのもインドは想像以上になんでもありのところだったのだ。その何でもの中には旅費が乏しければ乏しいほど見えるものがありそうなのである。残念ながらあたしらの歳になると一日最低ナン百円かの旅行は出来ないのである。泊るところもそれなりのところ、食べるものもそれなりのもの、接する人たちもまあそれなりに決まってきてしまう。それから逸脱しようとすれば無理が来る。事々が不自然になってしまうのだ。ああ、

「若い時に来たかったな!」

 と思わず声が出てしまうのだ。
 ありきたりだがナンデモありがインド厳にカーストが生きているのがインド。世界最先端も石器時代かよと思うこともざら、まあホントなんでもありなのだ。たった一度だけそれもほんの10日ばかりの滞在、だからインドについては何にも語れないのだが、もう日本にいてはちょっとやそっとでは見られない人間の生ものがゴロゴロゾロゾロビロビロといるだけども必見。インドの具体を書くと切りないし、抽象には目が眩むしで、まあ繰り返しになるけど機会があれば若いうちに行くことをお勧めします。食うや食わずの旅行、若い時の貧乏旅行ならあえて旅と呼んでもいいかも、これは若い時しか行かれません。マハラジャの王宮を改装した超高級ホテルなんかには、まかり間違って大金持ちになってしまえば行かれるのだからして。

▲昔はベナレスと言っていたが、最近はヴァーラーナシーとかワーラナシーとかいうことが多くなっている。ガンジス河沿いにあるインドの一大聖地。人々は沐浴し身を清める。傍らにはガートと呼ばれる火葬場があり灰はそのままガンジスに流される。

 

▲生きたまま天国に行く方法がある。これもその一つ。

 


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