【第16回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」

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飛行機雲に誘われて……その16

 今回はベトナムかタイ、もしくはカンボジアと思っていたのですが、ちょっとしたアクシデントで急遽"東京"になりました。えっ!? 東京? と思われましょうが、はい東京都の一角であります。
 東京は東京なのですが、飛行機でほんの280キロ余り南下『東京都八丈島八丈町』という所であります。つまり、仲間内の夏休み行事なのですが、行ったはいいが台風19号20号の影響で島内に閉じ込められて身動きが取れなくなり、海外旅行の資料も手元にないので急遽身辺報告を兼ねた八丈島ルポということに……しかし自然の力というのは恐ろしいですね、今時のジェットに乗れば280キロなどわずか50分でひとっ飛びだと文明人を気取っても手も足も出ません。―――身辺報告ということで、文章がどうしてもですます調になってしまうことをお許しください。
 さて、八丈島。その昔、かれこれ40年ほど前になりますが高田馬場に『スタジオあかばんてん』という小さなアニメ者たちのたまり場があったと思召せ、40年前ですからみんなヤングであります。ヤングの夏は海です。そのころは暇さえあればあちこちの海でバシャバシャシャバシャバやっていたのでありますが、誰言うともなく、

「伊豆七島を征服しようぜ」

 ということになったのであります。夏、海、とくればハワイだオーストラリアだグアムだという昨今とは違っていたって質素なもんでありますがそれでも結構胸躍らせるものがありました。しかし大島から始まった伊豆七島を征服する会も5島あたりまでいったところで志も褪せいつの間にか自然消滅、あたしらにとっては一番遠い八丈島には到達せず、という残念がありました。オールドマンになってしまった近年は伊豆の爪木崎あたりを毎年の楽しみにしていたのですが、突然にかつての残念が蘇り、

「今年は八丈あたりはどう?」

 と言ってしまったのですねえ。仲間内の海好きが、

「いいねえ!」

 と即賛成で、言い出しっぺはあたしということでの八丈島行きが決定、前後キチキチのスケジュールを縫っての今回だったのですが、当初は台風のことなど頭の片隅にもなく、ただただウキウキワクワクの心の油断です。

「台風大丈夫ですかね?」

 心ある若い友人の思慮ある発言にも、

「大丈夫、あたしら運がいいから」

 と根拠なく胸を叩いたのはいいのですが、あえなく一敗地にまみれて最新ジェット欠航。

「明日は出るから」

 も、さらなる追い撃ちの欠航。翌日は搭乗拒否の満席地獄。しかし台風に勝てないのはいいとして、あの空港でのキャンセル待ちというのはどうにかなりませんかね、キャンセル待ちの第一権利である整理券を持っていても、出発20分前までは空港内待機でキャンセルが確定するまでは不明、極端な話整理券1番も500番も同じ情報しかもらえない、4、5便欠航だと軽―く700人くらいが乗れなくなります。呼ばれたときいなければ権利消滅又整理券701番を貰って最後尾待ちになる。あたしらは9人のパーティーだったから何かと融通を利かすことができたが、お子さん一人の家族ずれやらカップル二人やらはずーっと空港内待機を余儀なくされ、一日うろうろしてその日はパーという悲劇が頻出する。ホント、このケータイやらスマホやらの発達した昨今もっと良い方法があるだろうと言いたい。
 ま、それはそうとして東京の中心街から一番近い南国のうたい文句にウソはなく海好きキャンプ好きには天国でした。海、バーベキュー、海、バーベキューそして釣り、さらに温泉! またいい温泉が多いんです!
島の名物で目立ったところを上げればクサヤに明日葉、さらには島寿司でしょうか。クサヤはまあ臭いは好き嫌いの分かれるところですが酒好きには欠かせないところでしょう。明日葉はサラダにお浸し天婦羅にしてさらに良し、問題は島寿司です。問題といっても味に問題があるわけではありません美味しいです。ただたいがいのお店が島寿司を食べたければ事前予約を入れてくださいというのです。どうして? と聞いてみると、島寿司というのは寿司種を軽く醤油漬けし、砂糖でやや甘味を強くした酢飯を使い、わさびの代わりに練がらし(粉がらしを練ったもの)を使うのが特徴であります、

「練がらし?」

 と思わず訊き返してしまいましたが、ま、注文を受けてホイよとすぐ応じられないちょっと手間がかかってしまう寿司ということらしいのです。
 しかし繰り返しになってしいますが、海はキレイで魚影は濃いし、シュノーケリングしているとホント飽きない、釣りは入れ食いだしで、ま、飛行機の欠航でタップリ流人気分も味わえましたし、

(島を満喫!!――帰ったらコワイですが)

 の夏休みでした。ああそうそう《八丈島のキョン》にも会ってきました。

▲高台から『底土港』を望む。大体この港近辺でBQやシュノーケリング、釣りをしました。施設が充実しており清潔でした。正面は八丈富士海抜850mほど、左隅が今は常駐者がいない無人島の八丈小島、ヤギがわんさかだそうです。

▲底土港脇の海水浴場。基本的に波消しブロックに囲まれていて安全、そのうえに保安安全員もしっかり仕事をしている。


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