【第22回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」

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飛行機雲に誘われて……その22

 いつまでアラスカやってんだい! 今回はシロクマが主目的なんだろ、早くシロクマにいけやい! と言われそうなので先を急ぐことにするが、その前にいかにも、

「アラスカだなあ」

 というものを紹介する。それは『オーロラ』。
 シロクマを見に行くには北極海に面したプルドーベイから飛行機に乗らねばならないのだが、泊ったコールドフットからはまだ350キロはたっぷりある。フライトに間に合わせるため宿を午前三時には出発だった。早っ! と多少気が重かったのだが、そんな気持ちを吹っ飛ばしてくれたのが今回のオーロラである。
 ここアラスカでは白夜が終わればオーロラは案外にたやすく見ることができる。しかし、一般的にオーロラと言うと大空に揺れる色彩豊かなカーテンといったイメージだと思うが、これがなかなかそうはいかない。千差万別色々あるのだ。えっ、これってオーロラなのぉ!? といったがっかり系もあれば、これもオーロラなのっ!! といった大空駆け回り系のけたたましいのもある。今回見たのはその中で一番一般イメージに近かったオーロラだった。

▲ガイドの河内牧栄(Natureimage)氏撮影

 

 オーロラも消えた朝、森林限界を超えた道の傍の草には霜が降りていた。いよいよ北極圏も北に深くなった。

▲どう? きれいでしょう!

 

 さてプルドーベイ空港。ここから空路28分くらい、ひとっとびである。このワタリガラスという名のついたプロペラ機は乗員は2人乗客は8人で満杯。

▲ジェット機でないプロペラ機はいつ乗ってもドキドキワクワクする。

 

 いよいよクマとの対面だ。
 宿での話だが、10年前はこのカクトビック村を訪れる観光客は年間50人くらいだったという。それが今では年間2000人になった由、実は人間も増えたがクマも増えたらしい。といってもシロクマの絶対数が増えたのでなく、温暖化やら食料不足やらで、村への依存度が増したらしいのである。
 このカクトビック村は先住民生存捕鯨というものが許されている。季節が来ると三頭から五頭の北極クジラを獲る。そしてその一部をシロクマの為に海岸に放置するのだ。これは昔からのしきたりで宗教的なにおいもするが、たぶんに自然とのかかわりや繋がりを深く感じさせてくれる。以前は北極海の結氷も早くアザラシも多くいたので、村人の置くクジラ肉へのシロクマの依存度は低かったらしいのである。
 地球環境の変化もあるが、私たちのような観光客も増えこそすれ減ることはあるまい、それが望ましいことかどうかは分からぬが、シロクマにとっても村人にとっても新しい時代がそこまでやって来ているようだ。

▲食事前のシロクマは湾の中州にいる。それをこんな感じのボートで見に行く。

 

▲午後三時を過ぎると中州から泳いで海岸のクジラに向かう。まあ夕食なんでしょう。しかしいっぺんに皆は行かない。適当に交代が行われる。

 

▲クジラを食べるシロクマ達

 


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