【第26回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」

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飛行機雲に誘われて……その26

 あたしら2018年の12月30日から2019年1月2日まで中国にいましてんてん。可笑しな日本語でエライすんましぇん、訳ありましてこないな日本語でスマンこってす。

「んま~暮れから正月、なして中国にぃ?」

 とお尋ねのあなたあなた、その通りでおます、なしてそないなとき中国へと、あたしらも普通思いまんねん。これが実はなんだかあたしらにも分からへんのでこないな言葉使いになんてしもてんですがなーって―――疲れますんで普通に戻します。いえね、短くまとめればまあなんてことはないんです。中華人民共和国は山東省青島市で人民日報主催のアニメのイベントがあり、そのシンポジュームに日本のアニメ関係者として出席してくれという当局からの申し越しがありましてぇ、

「シンポジューム? そんなたいそうなものにあたしらでいいの?」

 とは最初に聞きましたよもちろん。そしたらもう、

「OKOK大オーケー!」

 というんで、あたしらも結構出たがり屋なもんで、にわか勉強の日本のアニメ事情やら問題点やらこれからの展望、などなど諸々仕入れて勇んで行ったんですよ。
 青島というと緯度的にはそう北でもないけど大陸だからきっと寒いよねえ、とまあ準備万端十二分に着込んで乗り込みました。朝9時だというのに会場周辺にはもうコスプレーヤーがぞろぞろうろうろ、中にはもろ肌も露に張り切ってるマニアもいてあたしらの気分もウキウキもろ高揚、

「やっぱ日本のアニメは人気だよなあ!」

 なんておのれの手柄でもないのに自慢げに鼻もうごめくというもの。外気温は零下でも会場は熱気むんむん、各ブースもに大いにぎわって、結構結構とここまではいい感じだったのだが、案内されて会場メーンの壇上に座ってからが、

(はてな!?)

 という感じ。壇上の前にはパイプ組み立て式の簡易椅子が50脚ばかり、それも座っているのはアニメなんかには縁のなさそうなおじさんたちがパラパラと。それがまたいかにも駆り出されましたという風情。そして時間が来ましたとばかりに、いきなり強引に、シンポジュウムが始まったんですよ。壇上には10人ばかりの登壇者がいたが、ほとんどが共産党の偉い人・人民日報の偉い人・青島市の偉い人などなどあたしらもその一人なんですが、それぞれが自分の立場からくる硬い話を持ち時間10分をかっちり使って順番に話すだけ。大会場にいる本当のアニメ好きたちは何の関心も起こさず傍にも寄らない。まあ、あたしらも順番を待って当たり障りのない話をあっさりと流しましたけど…ホント熱気あふれる巨大なイベント会場の中、そこだけ冷ゃっこーい空気の流れる引力のないブラックホールみたいではありました。
 シンポジュウムが質疑応答もなく『ハイやりましたよおー』という感じでアリバイ工作のように終わると、あっさりその場で解散解放。恐怖のカンペ―カンペ―パーティーがなかったのはありがたかったが、以来青島にいる間誰にもアニメのことを何一つ聞かれないという、今までにない経験をした。あたしらお招きにあずかってこんなんで良かったのかしら?
 とはいえ青島市は海沿いの中国きってのリゾート地、海鮮料理が美味いの安いの安いの美味いの! それになんといっても本格ドイツ仕込みの"青島ビール"。いやあ結構でしたなあ! 所用もあってすぐ北京に飛んだのでゆっくりできなかったが、今度はプライベートで陽気のいい時に短パンにアロハなんて感じで来たいと本気で思わせる街ではありました。

▲青島のビーチ。この砂が綺麗なの、ごみも見当たらずサラサラの白に近い薄茶。こんな防寒着じゃあ気分が出ません。バタバタの旅で写真も撮らず、知人のスマホにわずかに一枚。

 


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