【第40回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」

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飛行機雲に誘われて……その40

 毎年のことだが、夏の終わりは妙に寂しい。
 夏の終わりと言うが、暦の上ではもうとっくに秋なのだ。でもあたしらの夏の終わりは今日この頃、つまり8月の終わりから9月の始まり辺りを言う。
 友にそんなことを漏らすと、ジジイが言うことじゃないと鼻で笑われる。まあそうかもしれない、人生においては朱夏はとうの昔に、白秋だって終わって玄冬に入ったあたしらなんであるから。
 まあしかしこの季節そこはかとなく寂しいのは寂しいんだから仕方がない。そういえばこの写真を見てくんなまし、

▲『やんま』である。雨が上がったので散歩していたら道に落ちていた。拾い上げてみるとまだ生きている。そこでシャツに止まらせたが案外強い力でしがみついてきた。

 小さいころヤンマは憧れだった。今でも悠然と滑空する姿を見ると心が躍る。昆虫にして威厳を感じる。そんじょそこらの人間よりはどこから見ても立派に見える。欲しかったなあ! 竿やら網やらで一日中追っかけていた記憶がある。
 シャツに止まらせたヤンマだが家に持ち帰ってテラスの手擦りにとまらせていたらいつの間にかいなくなっていた。周囲を見回したがそこらには見当たらなかった。翅が渇いて最後の力を振り絞って飛んで行ったのだろうか、そうだといいのだが。
 そうテラスと言えばこれがあたしらのうちのテラスだ。二人暮らしには分不相応の炉がある。炉で何をやるかと言うとバーベキューなのだがむろん二人だけでやるわけではない、二人だけのバーベキューは侘しいし寂しいハハ。

▲毎年この炉で15人から20人くらいの人が集まってバーベキューをやる。

▲こんな感じである。大勢のワイワイバーベキューは楽しい。

 散歩に出た。こんな林を行く最近クマの目撃談が多い。一人だと結構緊張する。

▲この辺りは浅間山の中腹に当たる。

▲林を抜けると、ひょいと草原に出る。こんな小さな花が風にそよいでいる。

▲あたしの口には似合わないけど、可憐でしょ。やっぱりもう秋なんですねえ……。

 


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