【第44回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」

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飛行機雲に誘われて……その44

 イラストレーターでコラムニストで映画監督で…そのほかその他いろいろなことに才能を発揮した和田誠さんが亡くなった。もうちょっと前のことになるが、ホントに淋しい。とはいえ個人的に親しかったわけではなく、2、3回遠くでお目にかかっただけだが、その素晴らしい仕事を通して尊敬していた。和田さんはアニメーションも多く手掛けていて、そのお手伝いをしていた友人もがっくりしていた。

『人はやっぱり死ぬんだなあ』

 と改めて思い知らされた。
 さて大阪と言えばビリケンさんだ。いたるところにいらっしゃる。ことに通天閣下ジャンジャン横丁辺りには、

「ここにも! あれここにも! まあここにもと!」

 といることいること、ホント愛されています。
 なことなんでビリケンさんは大阪生まれの神さんなのかなと思っていたら、10年ほど前アラスカにビリケンさんを発見した時には、

(あれまあ、ビリケンさんこんなところまで御出張かい!)

 とびっくりした。ところが店の人の言うにはビリケンさんはアラスカの伝統工芸品なんだと! ええっ!? と尚も聞いてみるとアラスカの北の果てノームのエスキモーのトーテムポールにその姿が刻まれているというではないか。

(そんなあ…)

 と調べてみると、なんとなんと! ビリケンさんはアメリカ生まれだったのだ。フローレンス・プレッツという人の作品でおとぎ話のイラストとして1907年頃誕生したそうなのである。日本には1909年頃入ってきて"福の神"として人気者になった。アラスカもどうやら同じ時期に同じような事情で伝播し人気者になったらしい。ということは原住民の神さんとしては案外歴史は浅い。

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▲とんがった頭、つり上がった細目、子供体形、突き出した足、どう見ても東洋人ぽい。この辺りがエスキモーにも親しみを持たれたか。

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▲けっこう働かされている。

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▲いろんな格好もさせられている。

 アラスカでも人気者だが、やっぱりビリケンさんは商都大阪にいるのが似合うと思う。
 話は和田さんに戻るのだが、あたしらはビリケンさんを見ると和田さんをひょいと思い出す。おかしなことに和田さんは目がクリっとしていて大きく全然似ていない。なんでビリケンさんを見ると和田さんを連想するのか分からない。でも、和田さんもビリケンさんも人を幸せにする名人だ、きっとこの辺りが共通点なのだろう。ちなみに和田さんも生まれは大阪だと聞いたことがある。

 


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