【第8回】さよならピーターパン

さよならピーターパン

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前回までのあらすじ
ドーム管理局のキリヤからリョウガの事故死により連続殺人事件は幕を閉じたと告げられるクルミ。納得がいかないクルミはキリヤに楯突いたことで謹慎処分を受けてしまう。

第8話『正しいのは誰?<後編>』

 自宅の椅子に座り、わたしは腕を組んで考えていた。
 わたしはリョウガさんの無実を信じている。真犯人が無実の罪をリョウガさんに着せたままノウノウと暮らしているのかと思うと、ものすごく腹が立ってくる。
 いまは悲しさよりも怒りのほうが勝っていた。
 その怒りが、わたしの頭脳を活性化させる。
 キリヤさんの様子を見ると、ボスやサアラ先輩が連続殺人事件について調べるのは難しそうだ。きっと許可が下りない。時間外の捜査であっても、許可がなければできることは限られてくる。下手なことをすれば、二人も停職になってしまうかもしれない。
 わたしが調べるしかない。
 でも、どうやって?
 真っ先に思い浮かんだのは、アインさんのことだ。
 ストレーガのリーダーで、リョウガさんの昔なじみ――。
 彼も、リョウガさんが殺人なんてする人じゃないって知っているはずだ。だからきっと協力してくれる。
 闇取引を牛耳っている人なんだから、いろいろな情報網を持っているだろう。そのネットワークを借りて、捜査をすればいい。
 しかし、どうやって連絡を取ろう。
 電話はダメだ。盗聴の危険がある。もしキリヤさんが、わたしとストレーガの関係を疑っているんだったら、100パーセント盗聴しているだろう。
 とすると、直接会いにいくしかない。
 それも注意が必要だ。わたしがマークされているとしたら、GPS情報や防犯カメラのデータ、玄関のカードキーの開閉情報などを見て、わたしの行動を監視しているかもしれない。それらを出し抜く必要がある。
 まず玄関からは出られない。
 そこでわたしは、ベランダに出てみる。
 柵から下を見下ろす。

「う……」

 結構高い。わたしの部屋は4階だ。2階とかだったら飛び降りることもできたかもしれないけれど……。
 よし、ロープを使おう。
 買いに外に出ようと思い、わたしはすぐに思いとどまる。わたしの電子マネー情報も筒抜けのはずだ。ロープなんて買ったら、一発で怪しまれる。かと言っていまどき現金なんて使ったら、もっと怪しまれる。
 部屋に戻り、何か使えそうなものはないかと物色する。
 わたしは、シーツと毛布をありったけクローゼットから取り出した。カーテンにも目をつけたが、外から見てわたしの家にカーテンがかかっていなかったら不自然だろう。
 持ち手になるように、ところどころ結び目を作りながら、シーツと毛布を縛ってつなげた。ぎゅっと引っ張って強度を確認する。両端に重りとして水を入れたペットボトルを縛りつけ、完成。
 燃えるゴミ用の袋を数枚と裁ちばさみも用意する。これらはロープを処分するのに使う。
 そして深夜零時まで待って、わたしは作戦を実行する。
 携帯端末は部屋のデスクの上に置いておく。GPS機能はオンにしたままだ。これで当分の間は、わたしが家に引きこもっていると錯覚させられるはず。
 玄関の扉に鍵がかかっていることを確認して、わたしはベランダに出る。
 シーツと毛布で作ったロープを、真ん中の部分で折れるようにして柵に引っ掛ける。そして階下へ両端のペットボトルを慎重に降ろす。ちょうど逆U字型になるような形で、柵にロープが設置された。こうしておくことで、地上に着いたあとにロープを回収することが可能になる。
 わたしは二本のロープをしっかり握りしめ、柵を乗り越える。
 下を向くと、ありえないほど遠くに地面が見えた。あまりの高さに気が遠くなりそうになる。
 頭を振って意識を集中し、ゆっくり下へ降りていく。
 ロープの強度は十分だったようで、特に問題なく下に降りられた。
 縛りつけておいたペットボトルを外し、片方のロープを引っ張る。するするとロープが下に落ちてきた。
 ショルダーバッグからゴミ袋と裁ちばさみを取り出し、ロープを適切なサイズに切り分けて、袋に詰める。ペットボトルの水は花壇に捨て、やはり袋に入れる。
 防犯カメラの位置に注意しつつ、マンションのそばに備えつけられているゴミ集積コーナーに向かい、燃えるゴミのところにゴミ袋を置いた。ペットボトルの分別をしなかったので若干の罪悪感があったが、非常事態だから仕方ない。
 わたしは裏道を通り、港湾地区へと急いだ。

 

 歩いていったため、港湾地区に着くのに3時間かかった。防犯カメラのなさそうなところを選んで進んだせいもあるかもしれない。
 着くころにはヘトヘトだったが、足は止めず、倉庫の裏へと向かった。
 例の階段には、うっすら明かりが見えた。けれど鉄製の扉の前まで下りていっても、話し声すら聞こえなかった。辺りは静まり返っている。さすがに午前3時を過ぎて閉店してしまったのだろうか。
 扉の取っ手に手をかけてみる。鍵はかかっておらず、扉は何の抵抗もなく開いた。
 中に入ると、わたしの動作に反応してパッと照明がついた。
 あらわになった光景を目にして、わたしは絶句する。
 店内は空っぽになっていた。テーブルも椅子もなくなっているし、カウンターの奥に並んでいたビンの数々も消えている。
 ストレーガの人たちは逃げ出してしまったのだ。
 考えてみれば当然だ。リョウガさんが死に、シティ・ガードに確保されたという情報は入ってきているだろう。とすると、同じ場所に根を張っていたら簡単に捕まってしまう。
 わたしはカウンターの椅子に腰を下ろした。カウンターとその椅子は店に備えつけになっていたらしく、持ち運ばれてはいなかった。
 テーブルに突っ伏す。徒労感で動けなかった。
 いや、でもせっかく外に出てきたんだ。これで終わるわけにはいかない。
 わたしは顔を上げた。
 とりあえず、今晩はここに泊まって、作戦を練ろう。北野コウさんや中島ヤスシさんの知り合いを訪ねれば、ストレーガに関する情報を得られるかもしれない。それを糸口にして、アインさんに接触できれば……。
 ――ピピピッ
 無機質な電子音が聞こえ、わたしの思考は中断された。
 携帯端末の着信音のようだ。
 カウンターテーブルの裏から聞こえてくる。
 わたしは床にうずくまって、頭をテーブルの下に入れた。
 テーブルの裏に、携帯端末がテープで止められていた。
 手に取って眺めてみる。画面には番号だけが通知されており、発信者の名前はない。
 それでもわたしは電話に出た。

《やあクルミちゃん》
「その声は――アインさんですか?」
《そうだよ。フフッ、『どうしてわたしがここにいることがわかったんですか?』って顔してるね》
「え!?」

 わたしは辺りをきょろきょろ見回した。

《店内に監視カメラを残しておいた。それを使ってリアルタイムで君の可愛い顔を見てるんだ》

 笑い声が端末から聞こえる。

《クルミちゃんには連絡したいと思ってたんだ。でもきっと君の端末は盗聴されてるから、こういう回りくどい形になってしまった。会えたのは奇跡だよ》
「わたしも、アインさんに会いたくてここに来ました」
《来てくれて嬉しいよ。リョウガのことは、残念だったね……。クルミちゃんも濡れ衣を着せられて停職になったんだって?》
「恥ずかしながら、そうです」

 さすがに情報が回るのが早い。

「あの、リョウガさんはやっぱり……」
《うん。あいつはストレーガの工作員だ。シティ・ガードに潜入して、捜査情報を集めてもらってた。オレたちは〈少年圏〉時代からの友人でね。ストレーガも、オレとリョウガの二人で一緒に立ち上げたんだ》

 リョウガさんは犯罪者だった。
 その事実が重く、胸にのしかかってくる。

《でもあいつは人殺しなんてしてない》

 アインさんのこの言葉で、わたしの気持ちは軽くなった。

《あいつは人を殺せるようなやつじゃない。それはオレが一番よくわかってる。あいつは本気で殺人事件を捜査していた。俺からいろいろ情報を仕入れたりもしてたんだ》

 わたしは嬉しくなる。
 リョウガさんと親しい人はみんな、リョウガさんが犯人だとは思っていない。アインさんも、ボスも、サアラ先輩も――それからわたしも。

《だからオレは、リョウガの無実を証明したい。クルミちゃんも協力してくれないか?》
「もちろんです! わたしも、アインさんに協力してもらおうと思って来たんですから!」
《フフッ、頼もしいね、ありがとう》

 アインさんの笑顔が目に浮かぶようだった。

《そうしたら、この端末に前みたいに座標を送るから、来てくれるかな? そこで落ち合おう》
「わかりました」
《ああ、それから、座標を確認したら、携帯端末はそこに置いていってね。オレが処分しとくから》
「了解です」
《じゃ、またあとで》

 通話が切れる。
 直後、電子メールの着信を携帯端末が知らせた。
 座標は、港湾部からほど近い公園のようだった。その場所なら、地図なしでも行ける。
 ――噴水の前で待ち合わせしよう。
 そう、書かれていた。
 わたしは携帯端末をカウンターテーブルに置いて、出口に向かった。
 直後――
 バン!
 と何かがはじける音がして、わたしは振り返った。
 {テーブルの上で携帯端末が炎を上げていた}。
 爆弾が入っていたのだ。
 わたし以外の人が手に取ったら爆発させるつもりだったのかな、と思って、わたしはちょっとアインさんが怖くなった。

 

 10分くらいで待ち合わせの公園に着いた。
 街灯が点々と灯っているものの、辺りはほとんど真っ暗だった。当然、人気はない。待ち合わせ場所としては好都合だ。
 噴水の前にはすでにアインさんの姿があった。
 ウェーブのかかった髪や、おしゃれなジャケットが、街灯の光に照らされてぼうっと浮き上がってみえる。

「遅くなりました」
「いや、オレもいま来たところだよ」

 わたしに気づくと、アインさんはゆっくりと近づいてきた。
 ――あれ?
 その顔を見て、わたしはかすかに眉を寄せる。

「アインさん……ですよね?」

 思わず、わたしは尋ねていた。〈ストレーガの棲み処〉のディスプレイで見たアインさんと、そこに立っている人が、どういうわけか別人のような気がしたのだ。

「そうだよ? ひどいな、もう顔忘れちゃったの?」

 アインさんが笑いながら肩をすくめる。
 その仕草は紛れもなくアインさんだったように思う。
 映像と実物とでは、印象が違うものなのかもしれない。

「ここにいるのは危険だから、場所を移そう。アジトに案内するよ」
「ありがとうございます。でもどうやって行くんですか?」

 見たところ、近くに車などの乗り物はないようだ。

「歩いていけるところなんです?」
「その辺は心配しなくていいよ。だって――」

 バチッと、首筋に衝撃が走った。

「――ッ!?」

 わたしは全身を痙攣させ、その場にくずおれる。

「オレが丁重に運んであげるから」

 薄れていく意識の中で、アインさんの声を聞いた。

 気がつくと、わたしは薄暗い部屋の中で椅子に座っていた。
 両手首と両足首、それからお腹には、金属のベルトのようなものが巻かれ、椅子に固定されている。それらはすべて肌に接するように装着されていた。お腹のベルトに至っては、わざわざ服がめくり上げられて、肌に密着させられている。
 体を動かしてみたが、椅子はびくともしない。椅子は足が床に留められているようだ。
 わたしは周囲を見回す。コンクリートがむき出しの部屋だ。周囲には、わたしに向けて蛍光灯の光が当てられており、しかもそれらはチカチカと点滅している。とてつもなく気分が悪かった。
 そして――

「お早いお目覚めだね。さすが、シティ・ガードに配属される人は体が丈夫にできてる」

 アインさんが、わたしを見下ろすようにして立っていた。

「いったい何のつもりですか」

 わたしの声は、自然と不機嫌になっていたと思う。

「クルミちゃんにお願いしたいことがあってね」

 アインさんは一度ニヤリと笑った。
 でもすぐに、表情が完全に消えた。

「――!?」

 ゾッと、背筋を寒気が駆けあがるのを感じる。
 ガラス玉のような感情のない瞳に見つめられ、わたしは呼吸が浅くなる。
 怖かった。
 いまにも殺されてしまうんじゃないかと思って。

「これから加登サアラ【せんぱい】と須谷ラン【ボス】に電話をするから、ここに二人を呼びだしてほしい」

 アインさんは言った。人形のような顔で。

「そんなことをして、どうするんです……?」

 それだけ訊くのが、精一杯だった。

「君が知る必要はないよ」
「理由を教えてくれなければ、お手伝いできません」
「悪い子だね。じゃあ手伝いたくなるようにしてあげよう」

 アインさんはポケットから携帯端末を取り出すと、タッチパネルを操作した。
 直後、

「―――ッ!!」

 わたしは目を見開き、喉の奥で声にならない悲鳴を上げた。
 全身を、痺れるような痛みが貫き、体を大きく痙攣させる。
 そしてガクンと首を折り、椅子の上で脱力した。倒れそうになったが、拘束された体は椅子に張りついたままだ。

「どう? 手伝う気になった?」
「何を……したんですか……」

 荒い息を吐きながら、わたしはアインさんを見上げた。

「電気ショックだよ。手首と足首、それから腹に、電極がつながってる。一応手加減して死なない程度に出力を抑えてるけど、フフッ、いつまで君の体は耐えられるかな?」

 アインさんは笑顔を見せるが、瞳は相変わらず感情を失ったように曇っている。

「もう一度お願いするね。二人を呼んでくれるかな?」

 わたしは黙って、アインさんを見つめた。
 二人を呼んだら大変なことになるのではないか、という不安があった。
 だって、二人を呼ぶだけなのに、どうしてわたしを捕まえておく必要がある?
 わざわざわたしを拘束しているということは、つまり――。

「二人のことも、こうやって捕まえるつもりですね? いったい何が目的なんです?」
「君が知る必要はないって言っただろう? 悪い子にはお仕置きをしなきゃいけないね」

 アインさんが携帯端末に手を伸ばす。

「や、やめてくださ――いやああああああ!!」

 全身に激痛が走り、わたしは絶叫した。
 わたしが声を上げても、アインさんは端末に指を押しつけたままだ。電流は流れ続ける。
 今度は先ほどよりもはるかに長い時間、わたしの体は電流にさらされた。
 わたしは体を弓なりに反らせ、声を上げ続けた。

「どうだい?」

 アインさんの指が端末から離れる。
 わたしの体は弛緩する。
 わたしは椅子の上でぐったりして、答えることすらできない。

「協力する気になったかな?」

 わたしはうなだれながら、弱々しく首を振った。

「おい」

 アインさんがわたしの髪を掴む。
 無理やり頭を上げさせ、顔を覗き込んでくる。

「これ以上言うことを聞かないと、殺すよ?」

 ベルトから刃物を抜いて、首筋に突きつけてくる。
 その刃物を、わたしは見たことがあった。
 長さは30センチほどで、とてつもなく鋭利。

「――アインさん、あなたが犯人だったんですね」

 わたしは言った。
 アインさんが、北野コウさんと中島ヤスシさんを殺し、そしてわたしを襲った犯人だったのだ。

「そうだよ。だから殺すってのは本当」

 首筋に刃が触れる。触れた部分が熱くなり、皮膚が破れたのを、わたしは感じた。

「死にたくなかったら、協力するんだね」
「協力したって、どうせ殺すんでしょう?」

 こんなことをされて、無事に帰してもらえるとは思えなかった。

「先輩とボスのことも殺すつもりなんですね? いったいなぜです? どうしてコウさんとヤスシさんを殺したんですか? どうして先輩とボスを殺そうとしてるんですか?」
「必要だから、とだけ答えておくよ」

 わたしはじっと、アインさんを見つめる。

「じゃあこうしよう。二人を呼びだしてくれたら、クルミちゃんだけは助けてあげる。これでどう?」
「お断りします。わたしは大切な人たちに死んでほしくないです。たとえ自分が死ぬことになっても」
「ちっ」

 アインさんは放り捨てるようにわたしの頭から手を放した。椅子の背もたれに、わたしは頭をぶつける。

「意外と骨があるな。リョウガが、クルミは泣き虫だって言ってたから、素直に従うかと思ったのに。よし、別の作戦で行こう」

 アインさんは刃物を腰のベルトに戻し、携帯端末を操作した。発信音が聞こえるから、誰かに電話をかけているみたいだ。

《誰? いま忙しいからセールスだったらまた今度にしてくれる?》

 サアラ先輩の声が端末から聞こえた。

「颯クルミは預かった。助けてほしかったら、これから指定する座標まで一人で来い」

 わたしは息を飲む。
 ――来ちゃダメです、先輩!
 と、心の中で叫ぶ。声に出して言えないのがもどかしい。わたしの声を聞いたら、サアラ先輩のことだ、きっと指定の場所まで飛んできてしまう。

《何言ってんのバカじゃないの? あの子は停職中で、昨日の夜に家に帰ってから一回も外に出てないの。あたしは偉い人から監視を命じられてるから、よーく知ってるの。わかった? 切るわよ》

 わたしの置いてきた仕掛けが役に立ったらしい。
 アインさんの表情に、若干の焦りが見え始める。

「そこまで言うなら彼女の声を聞かせてあげるよ」

 アインさんが携帯端末をわたしの口元に持ってくる。

「ほら、先輩に助けを求めるんだ。早く」

 わたしは首をぶんぶん横に振った。

「仕方ない――」

 アインさんが電気ショックのスイッチを入れる。
 体中に衝撃が走り、痛みに貫かれる。
 わたしは歯を食いしばって、悲鳴を噛み殺した。声を出したらダメだ。

《はいはい、悪質な悪戯ね。発信元を特定して逮捕してやるから覚悟しときなさいよ》

 サアラ先輩の捨て台詞とともに、通話が切れた。
 アインさんが携帯端末を床に投げつける。携帯端末は床の上で一度バウンドし、液晶画面の破片を飛び散らせながら床を滑っていった。

「仕方ない。最後の手段だ。これは正直、使いたくなかったけど」

 アインさんがわたしの前にひざまずくように座った。
 全身が緊張する。
 最後の手段――いったい今度は、どんな苦痛が待っているのか。考えただけで恐ろしくなり、体が震え、歯の根が合わなくなった。
 アインさんは自分のシャツのボタンを上から外していき、胸元を露出させた。そして、ちょうど心臓のあたりに右手を添え、手のひらを上にした。

「話が長くなるけど、付き合ってもらうよ。{世界の真実}を知ったら、きっと協力する気になるだろうから」

 直後、胸に亀裂がはいり、両開きの扉のようにして、開いた。
 そして――

「!?」

 {中から、小さな小さな人間が、ゆっくりと歩み出てきた}。
 身長は10センチにも満たない。ちょうど手のひらに乗るくらいのサイズだ。
 その人は、胸元に添えられた右手のひらの上に立つと、微笑んだ。
 ウェーブのかかった髪、鼻筋の通った美貌、おしゃれな服装――。
 外見は完全にアインさんと同じ。
 ただサイズだけが、小さかった。


著者:高橋びすい
イラスト:黒銀


次回8月5日頃更新予定


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