【第20回】絶対無敵ライジンオー 五次元帝国の逆襲

ライジンオー

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『危機! ジャルバンの攻撃』

 

「ライジンオー、無敵合体!」

 スピーカー越しに仁が叫ぶ声が聞こえた。
 それからはほんの数秒のできごとが、僕にはまるでスローモーションの映像の中にいるかのように感じていた。
 一角のライオンともいうべき形をした獣王が、猛然とダッシュすると、その背中に人型の剣王がまたがった。
 一体となった獣王と剣王は、大きくジャンプし、空中へとダイブしていく。
 剣王の全身に稲妻のようなスパークが走る。二体のメカは、みるみる変形していき、剣王は上半身に、獣王は下半身となり合体した。
 そこに上空から僕の乗った鳳王が上半身に組みこまれると、巨大ロボットライジンオーの完成だ。
 僕の身体は、シートごと一気にライジンオーの操縦席へと運ばれていく。
 操縦席は、ライジンオーの頭部にあった。

「よぉ、飛鳥、大丈夫か?」

 斜め後ろのメインパイロットシートに仁が座り微笑んでいた。

「飛鳥くん、さっきのくわしい話はあとで聞かせてね」

 僕の右隣のサブパイロットシーンには、吼児が座っている。
 はじめての無敵合体のはずなのに、二人がその位置にいることに、僕はなんの違和感も抱かなかった。
 そう、これはもう何回も繰り返してきたことなんだ。
 その思いは、確信に変わっていた。

「仁、僕は大丈夫。吼児、話はあとでちゃんとする……」

 今は、目の前のことに集中するだけだ。
 僕は必死で操縦桿を握り、全力で前を見つめた。
 身体が覚えていることを信じて、やるしかない。

「仁、飛鳥、吼児、無駄話をしてる暇はないわよ!」

 司令室からマリアの声が飛びこんでくる。

「敵の邪悪ロボットが、攻撃をしかけてきてるッ!」
「わかってるッ!」

 仁は応えながらライジンオーに防御姿勢をとらせようとしている。

「仁くん、ライジンシールドを使ってッ!」

 吼児が叫んだ。

「もう来てるッ!」

 目の前に、鋭い剣のような腕を突き出しながら、黒い大きな五次元帝国のロボットが突っこんできていた。

「ライジンシールド!」

 そう仁が叫ぶと、ライジンオーの左腕に獅子の形をした楯が出現する。
 ガキーン!! ものすごい衝撃がライジンオーの全身を震わせた。
 さっきまで獣王の頭部だったものが楯となり、敵の突きを受けとめたのだ。

「よっしゃ! 逃がさねぇぞッ!」

 仁が叫んだ。
 ライジンシールドは、敵ロボットの鋭い剣のような腕を、がっちりとくわえこんでいたのだ。
 しかし相手は、強烈な力で押し込んできている。
 ライジンオーは空中で押し込まれていた。
 僕たちがいるコクピットのすぐ目の前に敵ロボットの顔にあたる部分があり、操縦席に座るジャルバンの姿がはっきりと見えた。
 金髪で鋭い顔をしたジャルバンは明らかに笑っていた。

 

「フハハハハ! おまえたちがこちらの地球防衛組か……」

 スピーカーから男の声が聞こえてきた。

「よくぞ、わたしの攻撃を受けとめた。ほめてやろう」

 見知らぬ男の声が聞こえてきたことに、仁も吼児もとまどっているようだったが、相手が誰なのかはすでに気づいていた。

「ジャルバンか……」

 絞りだすように仁が言う。

「その通りだ。フフフフフ」

 こちらの声も向こうに届いているのは間違いなかった。
 ジャルバンは不気味に笑っている。こちらの通信回線に割り込んできたのだ、今までのこちらの会話も聞いていたのかもしれない。

「ふざけたこと言いやがって……きさま、どういうつもりだ!」

 仁がこんなに怒っているのをはじめて見た。
 しかしジャルバンが動揺しているようすは微塵もない。

「わたしはふざけてなどいない。ただ、楽しませてもらっているだけだよ」

 まるでゲームで遊んでいるかのようにリラックスしたその声は不気味だった。

「君たちを、このままここで倒してしまうのは、わたしには簡単なことさ。だが、それはやめておくよ……」
「なんだとォ!?」
「それは私の仕事ではないからねぇ。それはあいつらの仕事だ……」
「きさま、なにほざいてんだ! 冗談じゃねぇぞ!」

 仁のボルテージはますます上がっていく。

「仁くん、冷静に、冷静に……!」

 吼児がいさめるように言った。

「僕たちをあおって、焦らせようという、敵の作戦だよ」
「でも……!」

 マリアの声が吼児を応援する。

「そうよ、仁、吼児の言う通り、敵のペースにはまっちゃだめ! 相手はあんたをカッカさせて、ミスさせるつもりなのよ!」
「おお、その声は、防衛組の白鳥マリアか。フフフ、あいかわらずかわいい声だ」

 ジャルバンはまるで友だちに呼びかけているかのように言った。

「どうしてあたしの名前を知ってるの……!?」
「地球防衛組のことなら、よーく、知っているよ。もっともわたしが知っているのは君たちとは違う、別の君たちだけどね、フフフフ」
「なにふざけたこと言ってんだ! 俺たちを混乱させようったって、そうはいかねぇぞッ!」

 仁は全力で操縦桿を動かした。

「行くぜ、飛鳥、吼児!」
「おうっ!」

 僕は、思わずそう応えていた。

「ライジンフラッシュ!!」

 仁が叫ぶと同時に、ライジンオーの胸部分にあるクリスタルから強烈な光が発射された。
 ズバーン!!
 強烈なエネルギーの塊が、敵のロボットに襲いかかっていく。
 至近距離で物凄いエネルギー波を受けた、ジャルバンの機体が吹っ飛んでいくのが見えた。

「よっしゃ~~っ!」

 仁がシートに座ったままガッツポーズをしていた。
 僕ははじめて見るライジンオーのパワーに、思わず見とれてしまっていた。

「このまま一気に、やつをぶっ倒すぜッ! やるぞ、吼児、飛鳥!」
「なにを!?」

 僕は思わず間抜けな質問をしてしまっていた。

「なにをって、やつにとどめを刺すんだよ!」
「とどめ!?」
「仁くん、飛鳥くんには、ちゃんと説明してあげないと」

 と、吼児がフォローに入ってくれた。

「仁くんは、ゴッドサンダークラッシュを使おうって言ってるんだよ」
「ゴッドサンダークラッシュ……!?」

 どこかで聞いたような気もしたけど、今はなんだかわからなかった。

「必殺技的なこと?」
「そうだよ! それに決まってるだろ~ッ!」

 仁は、もどかしくてしかたがなさそうに言う。

「もたもたしてると、逃げられちまうぞッ!」

 仁の言う通り、ジャルバンの乗った邪悪ロボットは、既に空中で体勢を取り戻そうとしていた。
 そして敵の機体の全身から黒っぽい光が放たれるのがわかった。

「敵が、攻撃をしかけてきています! 気をつけて!」

 勉の叫びが聞こえた。
 次の瞬間、ダークエネルギーともいうべき黒い光が、ライジンオーを直撃していた。
 ドーン!! はげしい衝撃を感じて、僕たちは座っているシートに身体をぶつけるように倒れこんだ。
 ライジンオーが衝撃を吸収してくれたので、コクピットへのダメージはまだ少なかったが、機体全体が放電しているのがわかった。

「うわぁぁぁぁっ!!」

 思わず叫び声をあげてしまった。
 一瞬の判断の遅れが、敵に反撃の機会を与えてしまったのだ。
 僕が余計な質問をしてしまったから……。
 仁が、とどめを刺そうと言ったときに、すぐに反応していれば、こんなことにならなかったかもしれないのに……。
 僕は自分のしてしまったことの愚かしさに気づいて、どうしていいかわからなくなった。

「みんな、大丈夫!?」

 マリアの声がする。

「こたえて!?」
「そんなオタオタすんなって、大丈夫に決まってんだろ!」

 そう言ったのは仁だ。
 余裕のありそうな口調だったが、顔は真剣そのものだ。仁は、懸命にライジンオーの体勢を整えようとしていた。
 隣のシートの吼児も、必死に操縦桿と格闘している。
 二人ともショックは受けているようだったが、ダメージは食らっていないようだ。
 僕も素早く全身をチェックした。痛めているところはない。

「僕は、大丈夫!」
「僕も!」

 と、吼児も言う。

「また敵が攻撃してきます。かわしてください!」

 勉の叫び声が聞こえる。
 敵の邪悪ロボが、黒く光ったのが見えた。

「わかってるよッ!」

 仁は素早く操縦桿を操作し、ダークエネルギーの第二波をかわした。
 だがその勢いでライジンオーはコントロールを失い、空中で回転しはじめていた。
 強烈な重力が僕たちの身体をシートに押しつけてくる。

「うわぁぁぁぁぁ~~ッ!」

 もうどうすることもできなかった。
 ドガァァァァァ~~~ン!!
 ライジンオーは地面に叩きつけられた。
 その衝撃は強烈で、僕は一瞬目の前が真っ暗になった。
 もう大丈夫とは到底言えなかった。

(つづく)


著者:園田英樹

キャライラスト:武内啓
メカイラスト:やまだたかひろ
仕上:甲斐けいこ
特効:八木寛文(旭プロダクション)


次回9月26日更新予定


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