SDガンダム ザ・ラストワールド【第3話】
第3話「巨神激突!! ―ギガントマキア―」
この世界の異変を感知し、調査に来ていたタイムパトロールのブルーガンボイ。
激しい戦いの気配を感じイオギの町にやってきた彼が、さらなる異様な気配を感じて振り向くと、そこには天を突き抜けるような巨神の姿があった。
Gソウルを吸収し巨神体となった荒烈駆主は暴れ回り、周囲の建物を破壊していく。
その荒烈駆主に戦いを挑んでいるのは、神聖騎士ウイング。
忍者エクシアと殺駆頭も荒烈駆主を止めようと、神聖騎士ウイングを援護するように戦い始める。
だが、巨神体となった荒烈駆主を止めることは難しい。
そんな中、暴走する荒烈駆主から言葉が漏れる。
「オレを……倒し……てくれ……」
かすかに自らの意思を取り戻した荒烈駆主は、この荒ぶる力を制御できないと感じ、自身の破壊を頼むのだった。
「……ならば、この神聖炎の剣で」
神聖騎士ウイングがこれに答えようと剣を構え、それに合わせるように忍者エクシアと殺駆頭も必殺技の構えを取った。
だが、その時、新たな男が乱入してきた。
「フッ、巨神体にもなれない、情けない奴らは去るがいい。こいつのGソウルはオレがもらう!!」
白き鎧をまとったその男の名は頑駄無真駆参。
「ドラグスピリットッ!!」
すると、その声に呼応して頭上からドラゴンを模したような神器が現れる。神器は分裂し、包み込むように真駆参へ装着されていくと、その姿をドラゴンの顔を持つ魔獣へと変化させた。
戦いを近くから見守っていたブルーガンボイは、この後の激闘を予感し、距離を取ろうと移動を始める。その時、自分と同じく戦いを見ている忍者エクシアと殺駆頭を発見する。
「おい、お前らもここにいるとヤバいことになるぜ。オレは調査が目的だから、やられる訳にはいかないんでね。お先に失礼するぜ」
「貴様、何か知っているのか?」
ブルーガンボイの言葉に、この世界の秘密を知る者ではないかと詰め寄る殺駆頭。
「あの新しいヤツも巨神になろうとしている……もし、そんなことになったら、この世界がどうなってしまうか……」
「ならばなおのこと、このまま逃げる訳にも行かない。殺駆頭殿ッ!!」
戦う気満々の忍者エクシアと殺駆頭は、臨戦態勢のまま二人の様子をうかがっている。
逃げるに逃げられなくなったブルーガンボイ。
そんな中、荒烈駆主に突撃していく真駆参。
巨神体よりもやや小型の亜神体と呼ばれる姿であるものの、巨神体となった荒烈駆主のパワーを受け止め、一歩も引けを取らない拮抗した状態となった。
しかし、余裕の笑みさえ浮かべる真駆参は、
「貴様が使い切れぬその力、この俺がもらい受けるっ!!」
そう言うと、さらに気を高める。
すると、装着されていた神器が輝き、真駆参は新たな姿・騎士を思わせる巨神体へと姿を変えるのだった。
「この姿は……トチョーの悲劇の再来か……」
巨神体同士の凄まじい激突が、周囲にも激震を呼んだ。
荒ぶる巨神の力を我が物としている真駆参は、その凄まじい力で荒烈駆主を押していく。
「Gソウル本来の力を使い切れていない今ならば、たやすいもの」
傍若無人に暴れ回っていた荒烈駆主だったが、真駆参のパワーに抗いきれずにねじ伏せられると、ついにはGソウルとなってしまう。
「かたじけ……ない……」
消えていく中、礼を述べた荒烈駆主は、真駆参に吸収されていくのだった。
「あの、凄まじい力……オレたちでは……」
圧倒的な真駆参の力を目の当たりにして呆然とする忍者エクシアたち。その真駆参が振り返り、彼らに緊張が走る。しかし、
「巨神体にもなれない弱い奴のGソウルなどいらん」
そう言い残すと、真駆参はいずこかへと去っていってしまうのだった。
戦いが終わると神聖騎士ウイングはリリーナを探すためか消えていた。
ブルーガンボイもまた、「オレはまだ、この世界のことを調べなきゃいけないんでね!」と言い残すと去って行っていくのだった。
Gソウルを集めることで得ることのできる、とてつもない力を目の当たりにした忍者エクシア。
いずれは殺駆頭とも、Gソウルを奪い合う戦いを行なわねばならないのだろうか?
ふと殺駆頭の方を振り向くと、殺駆頭も忍者エクシアの心を見透かすような眼差しで見つめていた。
どちらも言葉は発さないが、その瞳の奥には互いの覚悟を感じるのであった。
そんな嵐が去ったような静けさの中、何事もなかったかのように元気な男がやってきた。
「いやぁ、天馬の国も大変なことになってもうたなぁ。まぁ、これでも食って元気だしぃや。さっきの青い兄ちゃんにも好評だったでぇ」
突然、彼らにたこ焼きを差し出す男。
「わいは武ちゃ丸や」
こんな世界でも、戦いに参加することなく穏やかに暮らしている者がいると知り、一瞬緊張が解ける忍者エクシアであった。
(つづく)
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イラスト:たかのあつのり
©創通・サンライズ