SDガンダム ザ・ラストワールド【第6話】

SDガンダム ザ・ラストワールド

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第6話「強き力 ―アウェイク G―」

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 殺駆頭を失った悲しみか、自分への怒りか。
 黒雲が空を覆った町で、巨神体の忍者エクシアは野獣のように暴れ狂っていた。
 吟遊騎士レッドウォーリアRを伴い物陰に隠れる孫尚香、神器を失い呆然とする真駆参。
 町人や小妖怪、戦いを避けて町に隠れていた者たちも逃げ惑う。この場の誰にも成すすべがなかった。
 荒れ狂う巨忍の刃が真駆参に迫った時、一人の若武者が割って入りそれを弾く。

「新世将頑駄無殿とお見受け致す。俺は號斗丸、あの忍者は俺が救ってみせます!」

 言葉もない真駆参。號斗丸と名乗った若武者は全身を黄金に輝かせ、こちらも巨神体へと変貌した。
 巨神武者を敵と認識したか、エクシアが咆哮とともに赤い光を放つ――忍法トランザム!
 町を焼きつつ駆け巡る巨忍の刃と、號斗丸の炎の二刀が交錯する。
 巨神体同士とはいえ、宿すGソウルは巨忍の方が数段上。その差を技量で埋め互角に戦う號斗丸だが、反撃の糸口が掴めない。

 ――早く止めないと、他の者も忍者自身も危険だ。一気に決着をつける!

 巨忍に親友の姿を重ねた號斗丸は二刀を構え、必殺の一撃を放つべく精神を研ぎ澄ます。

「フン、見事にGソウルを高めたかと思えば……力に溺れた獣とは。所詮は有象無象」

 號斗丸の集中を乱し、突如後方に巨大な気配が出現する。巨忍も動きを止めていた。
 視線を走らせると、いつの間にか駅舎の上に立つ、巨大な剣を背負った黄金の戦士。

「有象無象同士を戦わせてGソウルを磨くと言うが、やはり時間の無駄。オレ様自ら狩り取ってくれる」

 ――この男は……危険だ! 目の前の巨神忍者よりも、遥かに!
 直感で悟った號斗丸は、反射的に必殺剣を放っていた。

「熱火! 爆輪斬!!」

 黄金の戦士に迫る爆熱の衝撃波。しかし戦士は剣を抜き、衝撃波を真っ二つに切り裂く。

「無駄だ、下がれ。これから辺りの有象無象もろとも、あの獣を消し飛ばしてくれる……だがオレ様は寛大だ。貴様なら我が臣民にしてやってもよい」
「消し飛ばすだと!? 邪悪に差し出す忠義など持ち合わせていない!」
「オレ様を邪悪と罵るか。よかろう、貴様からGソウルを献上せよ」

 戦士が黄金の剣を一閃! その剣圧は空間をも切り裂き、巨大な白い闇の刃となる。
 ――避けられない。避けたら後ろの者たちは言葉通りに消し飛ばされるだろう。
 守りに構えた二刀も虚しく、號斗丸の巨体は両断された。

 號斗丸のGソウルが戦士に吸収されようとしたその時、雲間から射した一条の光がそれを遮る。光に続き、天より降りて来たのは――輝く黄金の竜。
 皆が空を見上げ、孫尚香と吟遊騎士が呟く。

「劉備……じゃない、あれは……」
「……黄金神……スペリオルドラゴン……?」

 竜に見えたそれは、竜の形をした光であった。光は大地に降り立つと、辺りを煌々と照らす。そして次の瞬間、粒子となって四散し、中から白銀の騎士が現れた。
 騎士ガンダム――伝説の勇者の名を継ぐ騎士である。

「一歩遅かったか……しかし皆の魂は返してもらう、黄金の魔神よ」
「あの忌々しい竜か。力を失い、有象無象も同然の貴様に何ができると?」
「それはお前も同じ、以前のような力はあるまい……聖なる光よ、我が敵を討ち滅ぼせ!ギガルフィラ!」

 高位魔法の詠唱と共に騎士ガンダムの頭上に巨大な光球が現れ、魔神――ガンダム・ザ・ゴールドに放たれた。しかし魔神は剣をかざすと光の壁を呼び起こし、阻まれた光球は霧散する。

「ほう、まだそんな術が使えるか。褒美だ、これはくれてやる」

 魔神が號斗丸のGソウルを騎士の元へと飛ばす。それは吸収されることなく騎士の周囲を漂う……そこへ轟く獣の咆哮。巨神忍者が再び暴れ始めたのだ。

「竜よ、あの獣は放っておくつもりか? 安心せよ、オレ様は一切手出しせずにいてやる」

 騎士は油断なく魔神を見据えると、Gソウルを伴って巨忍の方へ駆け出した。

 巨神忍者が暴風となって吹き荒れる町で、真駆参はようやく我に返る。
 周囲は酷い有様だ。この世界に隠れて暮らす者がいるなど考えなかった。俺もいずれ、こんな結果を引き起こしていたのか。
 俺を救い、巨忍を止めようとした若武者も討たれた。Gソウルを失った俺には何の力も残っていない……。
 ――違う。俺が求めた力とは何だ? 何のための力だ?
 真駆参は愛槍を握りなおし、力強く立ち上がった。

「真の力、強さとは何か。答えが出たなら、あの忍者も救えるはずだ」

 振り返ると、声の主は黄金の戦士と対峙していた西洋甲冑の男――騎士ガンダム。

「さてな、俺は助けられた借りを返すだけさ。相手が強いからって逃げ出しちゃ、常に最強を目指したご先祖に地獄で合わせるツラがねえ」

 騎士は僅かの間遠い目をすると、傍に浮かぶGソウルに手をかざす。

「私に残った力、若武者の魂と共に託そう……君に加護を与えるに相応しい姿を借りて」

 暖かい光がGソウルを包む。翼を広げたGソウルは光り輝く鳳凰の姿で舞い上がった。
 黄金の鳳凰は真駆参と一つとなり、赤き翼の白き大将軍へと変化させる。

「我が名は真駆参大将軍! この力を持って、必ずや皆を救ってみせよう!」

 今や赤い暴風と化した巨神忍者に立ち向かう真駆参大将軍。双刃剣ダブルハーケンが煌めき、大目牙破壊砲オメガバスターが吠える。いつしか暗雲は切れ、太陽が姿を覗かせていた。

「日輪よ! 鳳の翼で天馬の如く駆け、龍の顎で闇を討ち払わん!」

 太陽の光を受け、大将軍が半鳥半獣の姿――龍馬凰に姿を変える。
 輝きを纏った龍馬凰は赤い暴風と激突! 閃光の中で巨忍は赤い光を失い、ついに地響きを立てて倒れ込んだ。
 地に伏した巨忍の目に光が映る。
 それは大地に突き立つ殺駆頭の雷光丸が、陽光を反射して輝く光だった。
 ――……殺駆……頭……?
 さらにエクシアの意識に呼びかける声が響く。

「ちょっとニンジャくん、いい加減に目を覚ましなさいよ! あんたが化け物になったら、殺駆頭爺が悲しむじゃない!」

 傷だらけの尚香が、涙声で叫んでいた。
 次の瞬間、巨神は光となって散り……光の後に残ったのは巨大な手裏剣と若き忍者。

「大丈夫、俺は化け物じゃない……俺は、ガンダムだ」

 立ち上がったエクシアに駆け寄る尚香と吟遊騎士。
 しかし大将軍と騎士ガンダムは――魔神から目を離していなかった。

「なかなかの余興だったぞ。それで貴様ら……我が臣民となってオレ様の庇護を受けるか、Gソウルを献上して消えるか。選ぶがよい」

 黄金の魔神が余裕の表情で、しかし強烈な威圧感をもって問いかける。騎士と大将軍を制し、エクシアが前に出た。

「一つ聞かせろ。……この世界、この戦いを仕組んだのはお前か?」
「問い返すとは無礼な。だが……もし、そうだと言ったら?」
「斬る。斬らねば今まで討った者たちに申し訳が立たない」
「笑わせるな有象無象。そこの竜すら敵わぬオレ様に、傷ひとつでもつけられたら褒めてやる!」

 エクシアがGN大手裏剣を放つ。が、それは大きく弧を描き、魔神から逸れていく。
 身構えもせずただ見下した笑みを浮かべる魔神は、

「一体どこを狙っている。Gソウルの扱い方もわからぬとは、所詮は有象無象……ッ!?」

 痛烈な衝撃に振り返ると、背中に一振りの刀が深々と突き立っていた。
 殺駆頭が残した雷光丸。エクシアは手裏剣を打つことでこれを弾き飛ばし、魔神の死角から命中させたのだ。

「天眼流手裏剣術。油断しきった相手の虚を突くのにGソウルなど関係ない」

 怒りに顔を歪め、魔神の威圧感が膨れ上がる……が、次の瞬間には無造作に雷光丸を抜き捨て、高らかに笑い出した。

「フ、ハハハハ……愉快、実に愉快だエクシアとやら! 褒美にその名は覚えてやる、光栄に思え!」

 魔神の周囲に竜巻が起こる。

「また会おうぞエクシア、忌々しい黄金竜。我が名はガンダム・ザ・ゴールド! 他の有象無象もせいぜいGソウルを高め、始まりの地まで来るがよい!」

 黄金の風の中、ザ・ゴールドはそう言い残し、哄笑と共に姿を消した。

 

 空は晴れ渡り、陽の光が崩壊した町を照らす。
 大将軍の鎧は真駆参から離れ、再び輝く鳳凰――結晶鳳凰として騎士ガンダムの傍らにいる。

「今の私にできることは多くないし、生き残るために敵を倒すなとも言えない。ただ……君たち自身の魂の輝き、それを忘れないでいてほしい」

 謎めいた言葉を残し、騎士ガンダムは結晶鳳凰と共に去っていった。

「修行のやり直しだ。次は正々堂々と倒してやるぜ、忍者野郎」

 愛槍を担ぎ、真駆参も一人去る。
 難を逃れ胸を撫でおろす者、怪我人の介抱をする者。
 吟遊騎士の奏でる竪琴に、動物や小妖怪が聞き入る。いつの間にやってきたのか、武ちゃ丸がたこ焼きを振る舞っている。何やら孫尚香にこき使われているブルーガンボイ。
 マフラーを巻き直し、大手裏剣を手に旅立ちの準備を固めるエクシア。

「今まで討った者たちの魂もGソウルとして俺と共にある。それに報いるためにも、始まりの地……トチョーで全ての決着をつける、ガンダム・ザ・ゴールド!」

(続く)

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イラスト:今石進


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