【第5話】SDガンダム ザ・ラストワールド ステージ2
ステージ2
第5話「三位一体-トリニティ-」
巨神体となったクルガングレイズは、ルプスドラゴンをつかみ上げ、泥の巨人マッドゴーレムの群れに向かって投げつけた。
「泥人形もろともくたばるがいい」
巨人の群れに激突したルプスドラゴン。その衝撃は凄まじく、体当たりをくらう形となった泥の巨人達の体は、音を立てて崩れ落ちていく。しかし、その中に一体だけ、崩れることなく立ち続けるゴーレムがいた。その体はひび割れ、やがて剥がれ落ちると、中から鋼の体を持ったマッドゴーレムボーンが現れた。
「これがマッドゴーレムの本体だったのですね!」
次々と復活してくる泥の巨人に苦戦を強いられていたトライガンボイは、ようやくその正体を掴むが、度重なる戦闘でエネルギーは消耗し、ゴーレムボーンと戦闘できるほどの力は残っていない。
「白きドラゴンの戦士! その鋼の巨人を倒してもらえませんか!」
トライガンボイの声を聞いたルプスドラゴンは、全身にオーラを纏ってマッドゴーレムボーンに特攻をかける。その牙が、ゴーレムの攻撃をかいくぐって鋼の肉体を貫くと、巨人はGソウルとなってルプスドラゴンへと吸収されていく。そして、Gソウルを得たルプスドラゴンは、さらなる進化を遂げ、手足の長い巨神体の姿を得るのだった。
巨神体となったバルバトランダーは、背中の6本の剣を駆使して、周囲に立ち尽くしていた泥の巨人たちを一掃する。
「クルガングレイズよ、これで貴様と互角の力を得た。勝負を付けるぞ」
「しつこいヤツめ」
クルガングレイズは背中の刃を両手に構え、迎撃態勢をとりながら後退していく。そこへバルバトランダーが、逃がさないとばかりに剣による連撃をたたき込んでいく。
移動を伴う二人の激しい剣戟がウエノの町に迫ると、クルガングレイズは突然飛び上がってバルバトランダーの連撃をかわす。そして、背に残った刃を思念波で操りバルバトランダーを攻撃した。
バルバトランダーは、思念波による突然の攻撃に回避を選択するも、誤って町へと踏み込んでしまう。
「しまった……」
「ふはは! 町ごと我が炎に焼かれてしまえ!」
そこへ追い撃ちをかけるべく、両腕の鬼のような口から炎を吐いて攻撃を仕掛けるクルガングレイズ。その炎はバルバトランダーだけでなく、ウエノの町をも火の海へと変えてしまった。
「何という事だ……! ここは危ない、皆を南に避難させるのだ」
「白龍殿、戻られましたか」
「ヤツら、ついに巨神体の力を手に入れちまいやがった」
「わかっている。だが今は、民の避難が先だ! マルス、カエン、頼むぞ!」
「「了解!」」
ウエノに戻ってきた白龍頑駄無は、マルスガンダムとカエンマスターと共に町の住民たちを避難させるため誘導を始める。
一方、クロスボーンのGソウルを手に入れ、龍大帝の姿を取り戻した龍帝ユニコーンは、そのクロスボーンを兄と慕っていた劉備ガンダムと対峙していた。取り戻した力を確かめつつ、こちらを怒りの形相で睨んでくる劉備の出方を伺う。
劉備は、龍帝への怒りを抑えることができずにいた。しかし、逃げ惑う者たちの声を聞き、龍帝に向けた剣をおろして彼らを助けに向かうのだった。
* * *
燃えさかる炎の町に立つバルバトランダー。そこへクルガングレイズが足先をドリルのように変形させた強烈なキックを喰らわす。これを受け止め、すかさず剣で反撃するも、クルガングレイズが思念波で操る刃によって攻撃は弾かれてしまう。そこへ手にした刃とキック、さらに思念波の刃の応酬がバルバトランダーを襲い、再び守勢を強いられてしまう。
「くっ……お前がここまでGソウルの力を使いこなせるとは……」
「ふはは! “闇の盗賊団”の頭領を甘く見たな! 貴様はここで朽ち果てろ、バルバトランダー! 俺はこの力で、再びガンドランドの支配に乗り出すのだ!」
「そうはさせるか……友との約束なんでな、お前はここで倒す!」
「バルバトランダーと言ったか? 手こずっているようだから、我が力を貸してやろう」
そこへ、次のターゲットをクルガングレイズに定めた龍帝が、二人の会話に割り込む形で、閃光双龍刀を手にクルガングレイズに斬りかかる。だが、その攻撃はあっさりと弾かれてしまう。
しかし、龍帝の攻撃を弾いたことで、一瞬グレイズの思念波は乱れ、バルバトランダーを襲う刃が止まった。これを見逃さなかったバルバトランダーは、グレイズの攻撃を弾き返し、その隙に上空へと飛び上がると、全身にオーラをみなぎらせる。
「ちっ! 余計なことを!」
「だが、おかげでお前を倒すための隙ができた! さあ、我が一撃と共に滅びろ、クルガン! 輝光竜刃斬!!」
バルバトランダーは全身のオーラを剣に集め、巨大なオーラドラゴンを形成してクルガングレイズに向けって放った。しかし、クルガングレイズも必殺技、暗黒星雲弾を放ち、これに対抗する。
二つの巨大なエネルギーがウエノの町で激突。その威力は拮抗しており、周囲はその余波で次々と崩壊していく。
これを見た龍帝は、閃光双龍刀に気をため、二頭のオーラ龍を作り出して放つ。オーラ龍は螺旋を描きながらバルバトランダーの輝光竜刃斬に絡み合い、三つ首龍となって暗黒星雲弾を押し返していく。
「“輝光三龍斬”ってところか」
「な、なんだと……っ!?」
輝光三龍斬をくらい、クルガングレイズは倒れた。だが死の間際、最後の力を振り絞り、邪魔をした龍帝に一矢報いようと思念波で操る刃を放つ。しかし、その刃は龍帝に当たる直前、バルバトランダーから分離したクタンガンドラゴンが防いだ。
「ちっ……最後の最後まで邪魔されっぱなしじゃねえか……」
「お前の邪魔なら、いくらでもしてやるさ、クルガングレイズ」
無念の中、消えていくクルガングレイズ。そのGソウルを得る龍帝。そして、刃を受けたクタンガンドラゴンも消えてしまうのだった。
「どうやら助けられてしまったようだな。しかし、よかったのか? 巨神体の力をなくしてしまって」
「お前のおかげで友との約束を果たすことができた。これはその礼だ」
龍帝に手を差し出すバルバトランダー。だが、バルバトランダーは突然、目を見開いたまま倒れてしまう。見ると、背中には苦無が刺さっており、その背後には寧那が立っていたのだった。
「寧那、どういうことだ?」
「召還キャラじゃないトライガンボイは、兄貴たちが邪魔なんだって。でも、アイツはいつでも倒せるから、まずはこいつのGソウルをいただこうと思って」
冷たく言い放つ寧那は、着物を脱ぎすて、斬華忍者スローネドライとしての正体を現す。
「召喚キャラじゃない? それはどういう意味だ?」
「それはねえ……」
「ドライ、しゃべり過ぎだぞ」
そこへ、上空に張った蜘蛛巣を解いて、スローネツヴァイが地上に降りてくる。さらに、そのツヴァイの影が盛り上がると毒蛇の形に、いや、トライガンボイが倒したはずのスローネアインとなり、ここにスローネ三兄妹が集結した。
「貴様、確かトライガンボイに倒されたと思ったが……」
「オレは不死身の大蛇、スローネアインだ。あの程度では死なん。さて、トライガンボイもろとも、貴様は我らスローネ三兄妹が消してやる。見よ、神をも凌ぐ我らが三兄妹の究極奥義、忍邪合身!!」
ツヴァイ、ドライの肩に乗ってやぐらを組んだアインが印を結ぶと、漆黒の煙が立ち込め、三兄妹を包み込む。そして、その煙の中から闇の巨神忍者、スローネトリニティが姿を現すのだった。
(続く)
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イラスト:スサガネ
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