【第06回】運び屋椿

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Episode1 (06)

 その時、どこからか銃声が鳴り響く。
 トラックが激しく左右に振動。

「わぁぁぁ!」

 それを合図に、小惑星群の両側から次々に銃声がこだまする。
 ラインマーカーの外側から!?
 隔絶場収音出力デバイスがなかったら、音に気付かなかった。
 知らないうちにハチの巣になってたに違いない。
 ツバキは発砲音と同時にアクセル全開。
 一気に加速。
 さらに銃弾をよけて蛇行!
 ボクは右へ左へ。
 だから、激戦地はやめようって言ったのに!!
 ツバキはそんなの素知らぬ顔で、前方にだけ目を向ける。

「ほら、さっさと、後部に移って!」
「こうぶ? なに、こうぶって?」
「ほら、のんびりしてると迎撃されちゃうよ」
「ええ? どうすれば?」
「足元のレバーを引いて」
「これ?」

 言われた通りに足元のレバーを引いたとたん、座席が後ろへ思いっきり移動。

「みゃぁぁぁぁぁ」

 どこなの、ここは?
 いや、単純に考えれば、運転車両から後ろへ移動したのだ。
 つまりは後ろの荷台に移動したってことになる。

『聞こえる?』

 あれ?
 スピーカーからツバキの声。
 ってことは、通信機でやり取りしろってことだよね?
 マイクがこれで……。
 えっと、通信をオンラインにするには……これかな?

「こちらカエデ」
『オッケー、使えてるじゃない』
「これくらい子供でもできますぅ!」
『んでんで、ほかのは使えそう?』
「ほかの?」

 あちこちに目を這わせる。
 追尾型の30ミリランチャー。
 小型乙種対空魚雷。
 光学ポインタ付き25ミリ二連装機銃。
 それに弾薬少々――と。

「な、なんで荷台にこんな武器積んでるの?」
『そりゃあんた、こういう事態に備えてに決まってるじゃない』
「こ、こういう事態ってしょっちゅうあるの?」
『まあ、盗賊とかもいるからね。基本武装は運び屋のマナーみたいなもんよ』

 それはマナーって言っていいの?

『いいかい、カエデ。運び屋の助手の仕事は何だと思う?』
「そりゃ……運転手のサポート?」
『さすが。頭のいい娘は好きだよ』

 ほめられるような答えじゃないと思うけど……。

『つまり、今あんたがすべきことは、そこにある物であたしの運転をサポートするってこと。わかった?』

 つまりこれで迫る敵を迎え撃てってこと?
 だから初めて会った時、武器の扱いの免許のこと聞いたのか!
 やっと合点がいったけど、でも――!
 本当の戦闘は初めてだからっ!

『ぼやぼやしてると、こっちが撃ち落とされるよ! やれる? やれない?』

 ツバキの問いに、ボクはすぐに周りを見渡す。
 どれも旧式のものばかり。
 まさかの光学兵器の免許が役に立たない、前時代の遺物ばかり。
 でも整備はされてるし………うん、使えそう!

「たぶん行けるかな」
『オッケー! んじゃ、行ってみよう!』
「行くってなにが?」

 答えが返って来るより先に、前方の窓の上に取り付けられた喇叭ヤンキーホーンが、
 ブオオオォォォォォォォォォォッ!!
 おもいっきりかき鳴らされた。

「なんでそんなことをするのよぉぉ!」
『へ? なに?』
「こっち狙えって言ってるようなもんでしょうが!」
『そうねえ。多少は狙われちゃうよね。ほら、急いで準備しないと、撃ち落とされちゃうよー。さあさあ、準備、準備!』
「ええ!」

 周りを見ると、小惑星の影に隠れていた戦闘機が顔を出していた。
 わわわっ!
 あれって、汎用二足歩行式揚重機エッグスじゃない?
 荷物持たせて、どんなとこでも動く便利な工業ロボ。
 しかもパーツの組み換えで、削岩特化もさせられるし、牽引にも使える。
 ようするに、順列組み換え、パーツ次第でなんでもできちゃう、もっとも流通している二足歩行機械。
 そのベースとなる機体の形が丸っこいのでエッグスと呼ばれている。
 ただ……問題はどう見ても……武器が取り付けてあるのだなぁ、これが。

「ツバキ! ツバキ! あれ、なに? もしかしてなんだけど……」
『もしかしなくても、撃って来るよ~』
「なに、のんきに言ってくれちゃってるの!」
『ほらほら、右手前方、銃かまえてるよ~』
「わぁぁぁぁ!」

 すぐさまボクは銃座に着く。
 同時に大輪丸の上部が開いた。
 銃座を操り、敵を狙える高さを確保。
 25ミリ連装機銃。
 安全装置解除。
 照準なんか合わせてる暇はない。
 あっちが撃つ前に撃つ!

 ダダダダッ!

 機銃から弾丸が放たれる。
 薬莢が次々にそこら中にばらまかれた。
 こちらの一手が、わずかに早い。
 敵エッグスが被弾。
 バランスを失って無重力空間へ飛び出す。

「うっしゃ!」
『やるじゃない』
「気楽に言わないでよ」
『気楽じゃないよ~。今ので、ほら……』

 ツバキの言葉にイヤァな予感だけをはらませて、まわりに目を移す。
 出るわ出るわ、あちこちからワラワラとツインズに戦闘車両に、中型戦闘機に……。

「こんなにいたの!?」
『まぁねぇ。ほら、ここ激戦地帯じゃん』
「だよね! だよね! ちょー激戦地帯だよね!」
『そうなると、ほら……ミーズリー派とティアーズ派の両方の陣営がいるわけじゃん』
「だよね! だよね!」
『にらみあってんじゃん』
「そうなるよね! 当然ね!」
『銃声するじゃん』
「飛び出てくるよね!」
『まあ―――こうなるよね』

 ツバキが言った瞬間、一斉に両陣営から銃撃の雨!
 ひかえめに言って雨!
 むしろ嵐!

「うぎゃぁぁぁぁぁ!」

(つづく)


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次回2月21日更新予定


著者:内堀優一
原作:Original Star-IP Office
デザインコンセプト:斎藤純一郎、赤根健良
アニメーションキャラクターデザイン:鈴木竜也
アニメーションメカデザイン:田口栄司
企画協力:松田泰昭


©OSO


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