【第02回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸
第1話「またまた、帰ってきた救世主!」Bパート
「いけぇい、バトルゴリラ100! スペシャルマグナム、オン!!!」
ぐぁ~! しまった……バトルゴリラが撃ってきた弾丸が、龍神丸に当たっちゃった!
「ぶはははは! いいぞ、いいぞ、お・れ・さ・まっ!」
「龍神丸、大丈夫!?」
「あぁ……問題ないっ! だが、ヤツは思った以上にパワーアップしているようだ」
「ようやくわかったようだな! 俺様のバトルゴリラ100はこのスペシャルマグナムを100発も自動で撃てるようになったのだ……もはや弱点など、どこにもないないっ!!!」
よし……だったら今度は、こっちからやってやる!!!
「龍神丸、龍牙拳だっ!」
「おうっ!!!」
龍神丸の両肩に付いていた爪が、バトルゴリラに向かって一直線に飛んで行く!
「スペシャルマグナム、10連発ぅ~~~~~!」
そんな! 龍牙拳が、撃ち落されちゃった!
「ぶはははは! 弾ならいくらでもあるんだよ~だ!」
くっそ~、まだまだ余裕ってわけか……
「キャハハハハ! おやつの時間だよ~!」
ヒミコ! 今は戦いのまっ最中だぞっ!?
「ヒミコミコミコヒミコミコ……忍法、きなこもちもちの術~っ!」
ヒミコがバトルゴリラに向かって巨大な「きなこ餅」を投げつけた!
「そーれ、もちぺったーん!!!」
「バトルゴリラ100、食べちゃいなさーい!」
パクッ! あちゃ~、バトルゴリラに餅を食われちゃったよ~……
「今回の忍法は……東京都杉並区のユースケさんから頂きました! 甘くておいしいアイデア、サンキューベリーマッチ!」
「モチうまい?」
「ぶはははは! バカめ、バトルゴリラ100のちょうどいい腹ごしらえになっただけではないか!」
まったく、もう少し役に立ちそうな忍術を使ってくれよな、ヒミコ……
「ワタル、あれを見ろ!」
「どうしたんだ、龍神丸?」
見ると、バトルゴリラがなんだか苦しそうにしてるじゃないか。
「どうやら、モチを詰まらせたようだ!」
そうか、ヒミコのきなこモチがでかすぎたんだ。
「な~にやってんだ、バトルゴリラ100! スペシャルマグナム10連発で龍神丸に止めを刺せっ!」
プス……プス……どうやら弾も出てこないみたいだぞ!
「ゲゲッ! うそ~ん、おもちで弾丸までジャムっちゃったみたい~!」
バトルゴリラは詰まったモチを出そうと必死にもがいてる。
「今だ、ワタル!」
「龍神丸!」
ぼくは頭上に勇者の剣を掲げた!
「必殺、登龍剣 ――――――っ!!!」
龍神丸がぼくと一緒に剣を振り下ろして、バトルゴリラ100を真っ二つに斬り裂いた!
「アイル・ビー・バーーーーック!!!!」
よし! バトルゴリラもろとも、シュワルビネガーをやっつけたぞ!
「ねぇ、龍神丸。アイル・ビー・バックってどういう意味?」
「さぁ? 初めて聞く言葉だな……」
戦いが終わって、ようやくシュワルビネガーが目を覚ました。
「あれ? 俺様は!?」
「ねぇシュワルビネガー、どうしてまたあんなことをしたのさ?」
「俺様はいつものように山で筋トレをしてたら突然、黒い霧に包まれちまって……」
シュワルビネガーの表情が見る見るうちに青ざめていく。
「あの霧の中で、なにかに出会ったんだよ!」
「黒い霧の中に、誰かいたの!?」
「わからねぇ……ただあの恐ろしい声を聞いてから、俺の心の中にあった『暴れたい!』ってどんどんデカくなっちまったんだ」
「声って、いったいどんな?」
「たしか『ズダー』と言っていたような」
「ズダー……?」
シュワルビネガーはその単語を聞いただけで、両肩を抱えてブルブルと震え始めた。
これは、よほど恐ろしい『なにか』に出会ってしまったに違いない。
「オババ、ぼくは今すぐ創界山へ行ってくるよ。これ以上、黒い霧を放っておいたら大変なことになっちゃいそうだからね」
「ワタル……お前にはいつも苦労をかけてしまって、すまんのう」
「いいんだよ、ぼくは『救世主』なんだからっ!」
大丈夫さ、龍神丸と一緒ならどんなヤツが相手だって勝ってみせる!
「ワタルよ、旅立つ前にひとつだけ準備をしておくといい」
「いったい何をすればいいの?」
「ここから東へしばらく行ったところに、聖なる泉が湧くシュワワ村がある。そこで聖水を手に入れておけば、きっとここから先のお前たちを守ってくれるはずじゃ」
オババはいつになく真剣な表情で、ぼくらを見つめていた。
「わかったよ、まずはみんなでシュワワ村に行ってくるね!」
「キャハハハハ! シュワシュワワ~!!!」
「ねぇ、ワタルちゃ~ん……その前に、ミヤモト村のケータイ屋に寄らせてほしいなぁ~!」
あはは……相変わらず、賑やかな冒険になりそうだぜ。
「それじゃモンジャ村のみんな、行ってくるよ!」
モンジャ村の人たちは、笑顔でぼくらを送り出してくれた。
みんなを助けるためにも、必ず創界山の黒い霧の原因を調べてみせる。
たとえそれが、どんなに危険な冒険になったとしても……!
(つづく)
著者:小山 真
次回4月17日更新予定
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