【第11回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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「ドバズダーとの戦いの最中に意識を失っていたぼくを、虎王とヒミコが聖龍殿まで運んでくれた。その時ぼくは、命を燃やし尽くしてバラバラになったはずの龍神丸と話す夢を見たんだ。龍神丸はいくつかの欠片になって、幻の『逆さ創界山』のどこかに飛んで行ってしまったらしい。なんとしても龍神丸を助けたいぼくは、虎王とヒミコと一緒に出発したんだけど……逆さ創界山にやって来たら、いきなり大空の上に放り出されてしまったんだ。ぼくたちいったい、どーなっちゃうの!? ハッキシ言って、今日もおもしろカッコいいぜ!」

第6話「ヘンテコ街のヘンテコ市長?」Aパート


 ぼくたちは青く広がる大空の真ん中に放り出され、大慌てになっていた。

「キャハハハ! たっのしぃぃぃぃ~!!!」
「ワタル! このままじゃオレ様たち、ぺちゃんこだぞ!!!」 
「わかってるってばーっ!!!」

 ぼくはまるで溺れたみたいに、空中をもがき続けた。
 ジタバタしているうちに靴の両かかとがぶつかると、不思議なことにぼくの体はふわりと宙に浮かび上がった。

「なんだこれ……っ!?」

 よく見たらぼくの服装はここへ来た時と変わっていて、靴もまるでドローンのように空を飛べるものになっていた。

「空飛ぶドローンブーツ……かっこいいーっ!!!」
「ワタル、すごいのだ~っ!」
「さっさと助けろーっ!!!」

 ぼくが慌てて下を見ると、虎王とヒミコの姿がどんどん小さくなっていく。このままじゃ、ふたりが危ない……っ!!!

「今、行くよっ!!!」

 ぼくはすぐさまドローンブーツを操って急降下し、虎王たちのもとへ飛んで行った。
 ところが地上に向かって落ちて行くふたりが速すぎて、必死に追いかけてもなかなか近づくことが出来ない。

「くぅ……!!!」

 こうしている間にも、虎王とヒミコの姿が地面に向かって吸い込まれていく。

「虎王、ヒミコっ!」

 諦めるもんか……必ずふたりを助けてみせるっ!

「間に合ええええええーっ!!!」

 ぼくは無我夢中になって両腕を伸ばし、地面スレスレのところで虎王とヒミコの服を掴んだ。

「ひえええ~……危なかったぁ~!」

 まさにギリギリセーフ……
 いきなりとんだ目にあっちゃったよ。

「キャハハハ! 楽しかったね、虎ちゃん!」
「ちっとも楽しくないっ!!!」

 こうしてぼくたちは、なんとか無事に着地することが出来た。
 辺りを見回してみると、空ではたくさんのドローンが荷物を運んでいたり、街に並んだ大きなビルが建物ごと静かに移動をしていた。
 これじゃなんだか、未来の街みたいだ……
 本当にここが『逆さ創界山』の中なのかな?

「今回はこの靴のおかげで助かったね」
「ワタル、かっちょいいのだ!」
「いつの間に着替えたんだよ?」
「いつの間にって言われても……」

 改めて自分の服装を見てみると、青いキャップに動きやすい服装、肩に掛かった大きなカバン……これじゃ救世主って言うよりも、まるでメッセンジャーみたいだ。
 もしかしたら、これも逆さ創界山に来た影響なのかもしれないな。

「ウフフフフ……」
「ん……?」

 声がした方向を見ると、紫色のお団子ヘアーが特徴的なぼくと同い年くらいの女の子がこちらを見てクスクスと笑っていた。
 もしかして……ぼく、なにか変なことしちゃってたかな?

「ごめんね、そのコスプレがおもしろくって。あなた、救世主さまのファンなの?」
「救世主さま……?」
「ほら、あの銅像と同じかっこうだったから」

 女の子は楽しそうに歩道の手すりから身を乗り出し、下の方に見える大きな広場を指さした。
 そこには頭の後ろにでっかいアンテナを付けた、ひときわ目立つヘンテコなおじさんの像が立っていた。

「あのおじさん? ぼくとはぜんぜん違うと思うけど……」
「違うわよ、あれはこの街の市長のワーイ=ファーイ。救世主さまは、あっち!」

 よく見ると市長の像の足元に、ぼくとまったく同じ格好をした銅像がみすぼらしく倒れていた。

「ホントだ……!」
「ね? そっくりでしょ?」
「銅像になってるなんて……この世界の救世主ってどんな人なの?」
「アップダウンシティに住む人なら誰でも知ってる昔話に出てくるのよ。私もよくお母さんから聞かされたわ」
「その話、ぼくたちにも教えてくれる!?」

 ぼくが真剣に頼むと女の子は小さく頷き、優しい口調で語りだした。

「昔々、この街でメールサーバーに重大な障害が発生しました……」

 メールサーバーって……ぜんぜん昔話っぽくないな。

「メールが送れず、みんなが連絡する方法を失くしてしまった時……空から龍の神様の背中に乗って、人々のメッセージを届けた人がいました」
「龍の神様……!?」
「やがてメールが復旧すると、その人は空の向こうに去って行きました。人々は感謝し、みんなの言葉と笑顔を届けたその人のことを『救世主さま』と呼ぶようになったのです……」

 『龍の神様』に『救世主』か……
 もしかしたら、この昔話は龍神丸の欠片を探す手掛かりになるかもしれないぞ。

「ねぇ、今の話もっと詳しく……」

 ――――ファーン! ファーン! ファーン!

 ぼくが話していた途中で、いきなり耳障りなサイレンが街中に大音量で鳴り響いた。

(つづく)


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著者:小山 真


次回6月19日更新予定


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