【第13回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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「バラバラになった龍神丸の欠片を集めるため、ぼくは虎王とヒミコと一緒に幻の逆さ創界山へやって来た。まず初めに着いたのは『アップダウンシティ』と言う、なんだか未来のような街。そこでは、意地悪な市長『ワーイ=ファーイ』が電波を使って空を飛ぶ配達用のドローンを暴れさせたり、移動するビルをあっちこっちに動かして、みんなの生活はもうめちゃくちゃ! この街に暮らすメルという女の子から事情を聞いたぼくは、新しく手に入れた空飛ぶドローンブーツを使って、みんなの大切な荷物を届けてあげることにしたんだ。ハッキシ言って、今日もおもしろカッコいいぜ!」

第7話「メッセンジャーはダレなんじゃ?」Aパート


「それじゃあ、行ってくるね!」
「ワタルくん、がんばって!」

 ぼくはメルに見送られ、みんなから預かった荷物の配達を始めた。
 新しく手に入れたドローンブーツは超便利!
 街のどこだって、あっという間に届けることが出来そうだ。

「お届け物です!」
「わぁ、ありがとう!」

 よし、次はあっちのビルだ!

「どうぞ、息子さんからです!」
「あの子からの荷物なんて、久しぶりだよ……!」

 荷物を持っていくと、みんな本当に嬉しそうな顔で迎え入れてくれた。
 ワーイ=ファーイの嫌がらせのせいで、本当に困ってたんだな。
 街の人たちの笑顔を見ると、ぼくまで幸せな気持ちで一杯になる。

「はい、お父さんからだよ!」
「凄いね、お兄ちゃん。まるで救世主さまみたいだね!」
「あはは……ありがとう」

 ぼくがメッセンジャーみたいな格好をしているのもあって、いろんな人からそう言われちゃう。
 メルから聞いたメッセージを届けたって言う救世主の伝説は、本当にこの街の人なら誰でも知ってるみたいだ。
 せっかくなら龍神丸の欠片探しのためにも、救世主の乗っていた『龍の神様』のこともなにかわかるといいんだけど……
 ぼくが考えごとをしながら空を飛んでいると、腕にガトリングガンを備えた真っ赤な魔神が目の前に飛んできた。

「なにをしてるんだワーイ!」
「うわぁ!」

 ぼくは大慌てでその場に止まった。

「市長であるワイに黙って、なにを勝手にお空の散歩をしとるのだワーイ!」
「市長? ってことは、お前がワーイ=ファーイか!」
「ブヘヘヘヘ……貴様のような変なヤツでもワイの名前を知っているとは、人気者も楽じゃないワーイ」
「誰が人気者だ! これ以上、みんなを困らせるのはやめろっ!」
「なぬぅ!? 市長のワイに向かって、なんて生意気な口の利き方……懲らしめてやるワイ! スイッチオン!!!」

 ―――― ファーン! ファーン! ファーン!

 またあの迷惑なサイレンが街中に鳴り響き、ヘンテコなワーイ=ファーイの像の後頭部に付いたアンテナが真っ赤に光りだした。

「いいっ!? もしかして、また……」
「行け、ドローンたちよ!」

 周りを飛んでいたドローンたちが一斉にぼくの方に飛んできた。

「ひええええええええ~っ!!!」

 ぼくは必死に空中を旋回しながら、なんとかドローンをかわした。

「上手に逃げるんじゃないワイ! 次はこれだワイ!!!」

 ――――ゴゴゴゴゴゴ…………

「え……?」

 今度は真下からすごいスピードでビルが上がって来た!

「うわあああああああああーっ!」

 ぼくの体は一気に高い所まで押し上げられてしまった。

「ウムム……思ったよりも遠くに行ってしまったワイ」

 ワーイ=ファーイの赤い魔神がぼくのところまで追いかけて来て、腕に付いたガトリングガンを向けてきた。

「ワイのセカンドガンセカンドからは、誰も逃げられないワイ!!!」

 ―――― ダダダダダダダダダッ!

 セカンドガンセカンドのガトリングガンが凄い音を鳴らしながら火花を散らした。

「いいいいっ!!!!!」

 ぼくが悲鳴を上げた瞬間に今度はいきなりビルが急降下。

「のわあああ~っ!!!」
「ぬぁ! 待つんだワイ!」

 運よくビルの位置が変わったおかげで、ぼくは弾丸を受けずに済んだ。

「あぶなかったぁ……!」
「まだだワーイ!」

 セカンドガンセカンドは、しつこくぼくを追いかけてくる。
 だけどぼくを乗せたビルが目まぐるしく動き続けるせいでこっちまではたどり着けないでいた。

「ええい、うっとうしい! 誰がこんなマネを……って、ワイだったワイ!」

 まったく、自分のやったことで振り回されてちゃ世話ないよなぁ……

「どうだワーイ=ファーイ、これで少しはみんなの気持ちがわかったか!」

 ―――― なんて調子よく言ってたら、ビルがまた勝手に動いてセカンドガンセカンドの前に来ちゃったよ!

「あはは……なんちゃって……」
「ブヘヘヘヘ! これで終わりだワイ!」

 セカンドガンセカンドがぼくにガトリングガンを向けた。
 ダメだ、このままじゃ……

「ワタルーっ!!!」

 どこからともなく虎王の声がしたと思ったら、空中に邪虎丸が猛然と飛んで来てセカンドガンセカンドに強烈なパンチを叩きこんだ。

「なんだワーイ!!!」

 セカンドガンセカンドは勢いよく後方に飛ばされた。
 邪虎丸はそのまま、ぼくの近くに力強く着地した。

「ワタル、ケガはないか!?」
「虎王、ありがとう!」
「こう言うことなら、オレ様に任せろ!」
「そのとおりなのだっ!」

 ヒミコの乗る幻神丸が邪虎丸の隣にドシーンと豪快に着地した。

「はいっ、とーらちゃんにまかせろ! とーらちゃんにまかせたっ!」
「こら、お前もオレ様の嫁なら手を貸せっ!」
「あ、そっか!」

 いつもどおりの虎王とヒミコの明るい会話が聞こえてきて、ぼくはこんな状況だっていうのになんだかホッとした。

「いくぞ、ヒミコ!」

 邪虎丸と幻神丸はぼくを残して飛び去って行った。

「虎王、ヒミコ……頼んだよ」

 ぼくはふたりを信じて、ただ見送るしか出来なかった。

(つづく)


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著者:小山 真


次回7月3日更新予定


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