【第15回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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「ぼくたちはバラバラになった龍神丸の欠片を集めるために、幻の逆さ創界山へやって来た。アップダウンシティという街でみんなを困らせていたヘンテコ市長、ワーイ=ファーイと戦うことになってしまったんだけど……今のぼくは、龍神丸を呼ぶことが出来ない。そんな中、ワーイ=ファーイの乗るセカンドガンセカンドはとっても強くて、虎王とヒミコが大ピンチ! いてもたってもいられなくなったぼくは、救世主として戦うことを決意して七魂の剣を抜いた。するとその時、どこからともなく龍神丸の声が聞こえて来たんだ。ハッキシ言って、今日もおもしろカッコいいぜ!」

第8話「龍蒼丸りゅうそうまる、空中大決戦!」Aパート


「ワタル……」
「え……!?」

 光の中でぼくが周りを確認すると、まるで時間が止まったように景色がゆらゆらと揺らいでいた。

「ワタル……ワタルよ……」
「……もしかして」

 間違いない、光の中でぼくに優しく語り掛けるこの声は……!

「龍神丸!」

 目の前にぼんやりと光が集まり、龍神丸のシルエットが浮かび上がった。

「やっぱり、龍神丸なんだね!」
「………………」

 ぼくが声をかけても、龍神丸はなにも答えてくれなかった。

「ねぇ、龍神丸。どうして   

 龍神丸はぼくの言葉が聞こえていないかのように語り続けた。

「ワタル……果たしてこの声が、お前に届いているかはわからぬ。今の私は、バラバラになった欠片のひとつにすぎないからだ」
「そんな……」

 龍神丸には、ぼくの言葉が届いてないんだ……やっぱり、龍神丸は……

「だが……もしワタルがこの声を聞けたのなら、お前の救世主の心。それに引き寄せられての事だろう」
「救世主の心……」

 ぼくは龍神丸が望むような救世主でいられたのかな。
 龍神丸と離れていても、ぼくの心は   

「ワタル……」
「…………?」
「救世主でいてくれてありがとう」

 ゆらゆら揺れる龍神丸の光のシルエットが、ぼくには微笑んでいるように見えた。

「龍神丸……!」

 そうだ。ぼくは救世主なんだ。
 困っている人たちを、虎王やヒミコを助けたい!
 そんなぼくの気持ちにこたえるみたいに、龍神丸が語り掛けてきた。

「お前が求めるなら、呼ぶがいい。神部七龍神がひとり、青龍の力を借りたその名は――」

 龍神丸の言葉に続くように、ぼくの頭の中にその名前が浮かび上がってくる。

「りゅう……そう……まる……」

 ぼくは決意を込めて、七魂の剣を頭上に掲げた。

龍蒼丸りゅうそうまる―――――――っ!!!」

 七魂の剣から青い光の龍が飛び出し、雄叫びを上げながら一気に空へと駆け昇る。
 青龍は空に円を描くように舞うと、そこから激しい光と共に力強い魔神の姿が現れ始めた。
 さっきまで止まっていたような時の流れも、再び動き始めた。

「な、なんだワイ!」

 この光景を前に、ワーイ=ファーイの乗るセカンドガンセカンドも思わず戦いの手を止めて空を見上げた。

「あれは……!」
「空から何か出て来たのだ!」

 空を見上げる邪虎丸と幻神丸からも驚きの声が上がる。
 雲ひとつない晴れた空のようにキレイな青いボディ。頭からせり出した黄金の角はピカピカに光ってる。
 そうか、これが龍蒼丸りゅうそうまるなんだ!
 龍蒼丸りゅうそうまるはぼくを迎えに来たかのように、目の前に降り立った。

「…………!」

 龍神丸に乗る時のように両手を広げると龍蒼丸りゅうそうまるの額が輝いて、中へと導いてくれた。
 龍蒼丸りゅうそうまるの中で両手を広げ、ぼくは下へ下へと落ちていく。
 落下する先には、煌めく青い龍が浮かんでいるのが見えた。
 光りを帯びたぼくの服は、メッセンジャーのものからいつもの救世主の格好へと変わっていった。
 やっぱり、ぼくにはこれが一番しっくりくるぜ!
 ぼくは青龍に乗って、角をしっかりと握りしめた。
 これで龍蒼丸りゅうそうまるとぼくの心はひとつになった。

「よし……!」

 龍蒼丸りゅうそうまるは両肩から剣のように鋭い翼を広げ、黄金に輝く蒼龍剣そうりゅうけんを力強く構えた。

「さぁ、行こう。龍蒼丸りゅうそうまる!」

 ぼくたちはすぐに邪虎丸と幻神丸いるビルの屋上へ降り立った。

「ワタル……? お前、ワタルなんだな!?」

 そう呼びかけた虎王の声は、とてもビックリしているようだった。

「ああ、お待たせ!」
「そいつは、龍神丸なのか?」
「あおいのだっ!」

 ―― ダダダダダダダダダ!!!

 話していた隙を突いて、ワーイ=ファーイはぼくたちに向かって弾丸を撃ち込んできた。

「……っ!」

 ぼくたちは咄嗟とっさにジャンプして弾丸をかわした。

「虎王、ヒミコ、話はあとだ……まずは、こいつらをやっつけるぞ!」
「ああ、やっちまおうぜ!」
「あいあいさーなのだ!」
「ぬぬぬう……生意気な! このワーイ=ファーイ様に楯突くことなど、許さんワーイ!!!」

 セカンドガンセカンドはぼくたちに向けて、両肩から何発ものミサイルを一斉に発射させた。

「よけて!」

 ぼくたちはバラバラの方向に飛んで、迫って来たミサイルをかわしていく。

「あの青いのをやれぃ、ヘルコプター!!!」

 ワーイ=ファーイの指示に従い、二体のヘルコプターが猛スピードでこっちに向かって来た。

 ―― ダダダダダダダダダ!!!

 ヘルコプターから龍蒼丸りゅうそうまるに向けて、無数の弾丸が撃ち込まれた。

「くぅ……っ!」

 だったら、こっちも龍蒼丸りゅうそうまるの力を見せてやる!

「蒼穹龍牙拳!!!」

 龍蒼丸りゅうそうまるは右肩に付いた黄金の爪を手に取り、ヘルコプターに向けて勢いよく投げつけた。
 すごいスピードでまっすぐに飛んで行ったその爪は、一体のヘルコプターにヒットして見事に大爆発を引き起こした。

「やった!」
「なんとぉ!?」

 ワーイ=ファーイの驚いた声が辺りに響き渡った。
 だけど、まだヘルコプターはもう一体残ってる。

「ワタルだけに、いい恰好させてたまるかよ!」
「いーけいっけ、とーらちゃーん!!!」

 邪虎丸が空中のヘルコプターに飛びつき、動きを止める。

「ヒミコ!」
「あいよっ!」

 幻神丸が幻武大手裏剣を揉み合う邪虎丸とヘルコプターに向けて放つ。
 邪虎丸がタイミングよく離れると、幻武大手裏剣がその場に取り残されたヘルコプターを真っ二つに切り裂いた。

「ざまあみやがれ!」
「うぬぬぅ……! どいつもこいつも、みんなみんな……ぶっ飛ばしてやるのだワーイ!!!」

 ―― ファーン! ファーン! ファーン!

「この音、まさかまた……!」

 サイレンの音に応じて、ぼくたちの周りのビルがあっちこっちに激しく動き始めた。

「く……っ!」

 空中を飛んでいた邪虎丸は、いろんな方向から迫ってくるビルを必死によけている。

「いい気味だワイ!」

 いけない……邪虎丸の後ろからビルが迫ってるぞ!

「虎王!」
「ん……? うわああああああーっ!!!」

 ぼくが声をかけても間に合わず、邪虎丸はビルにぶつかって墜落してしまった。

「いっちにっさーん!」

 一方の幻神丸は面白がるように、ビルからビルへ飛び移っていた。
 ヒミコはこんな状況でも平気みたいだな……

「ちょこまかと! 生意気なヤツだワイ!」
「あれま?」

 セカンドガンセカンドが幻神丸の前に姿を現し、ガトリングガンを放った。

 ―― ダダダダダダダダダ!!!

「ありゃりゃ~!」

 幻神丸はもろに弾を受けて吹っ飛ばされてしまった。

「ヒミコ!」
「ブヘヘヘヘ! ワイに楯突いた罰だワイ! さぁ小僧、残るはお前ひとりだワイ!」

 セカンドガンセカンドがゆっくりとこちらへ向きを変えた。
 邪虎丸たちを倒したからか、どこか余裕めいて見える。
 だけど、ぼくは負けるわけにはいかないんだ……救世主として、絶対にこの街のみんなを助けてみせる!

「行くぞ、龍蒼丸りゅうそうまる!」

 ぼくは決意を込めて青龍の角を握った。
 龍蒼丸りゅうそうまるが背中の蒼龍剣そうりゅうけんを構え、セカンドガンセカンドに向けて勢いよく飛んでいった。

(つづく)


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著者:小山 真


次回7月24日更新予定


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