【第20回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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第10話「刀を狙う、にくいヤツ!」Bパート


「ミーの名はヒカシボウ=ベンケー、赤龍の刀を頂きに参った!」
「なにを勝手なことを……!」
「邪魔な当主がいなくなるとは、ミーはホントにラッキーな男だしぃ!」
「剣乃介殿だけになったところを狙うとは……なんと卑怯な輩なのだ!」
「ミーに文句があるなら、かかってくるがいいしぃ~! カモーン、我が弟子たちよ!!!」

 ベンケーの腹がブルン!と大きく揺れたと思ったら、背後にちょんまげ姿のブリキントンが大勢現れた。

「ううっ」

 剣乃介殿が大慌てで赤龍の刀を手に取り、守るようにしっかりと胸に抱えた。
 ベンケーは剣乃介殿を見下すような目つきで睨み、指を突きつけた。

「その刀はケツのブルーな小僧にはもったいない。さっさと渡すしぃ! 者ども、レッツ・ゴー!!!」

 ベンケーの掛け声を受け、ブリキントンたちが一斉に拙者たちのもとへ襲い掛かって来た。
 このような者たちに、剣乃介殿の大切な刀を渡すわけにはいかぬ……っ!

 ――シャキーン!

 拙者は二本の刀を素早く振り抜き、やってきたブリキントンたちを斬り伏せた。

「拙者、剣部シバラク。お主のような悪党を見逃すわけには   
「なんだ、このカバ?」
「か……誰がカバじゃー!!!」

 拙者は無礼なベンケーに対し、颯爽と飛び掛かった。

「とりゃああああー!」

 勢いもそのままに、拙者はベンケーに二本の剣を振り下ろす。

「ふんっ!」

 ――ガシーン!

 ベンケーは腹をブルルンッ!と震わせながら、大きな薙刀で拙者の刀を受け止めたのだ。

「ぐぬぬぬう……!!!」

 なんという力だ。こやつ、ただ者ではないぞ!

「これでも喰らえ!」
「うわああああーっ!」

 ベンケーがいきなり突き出したドでかい腹に弾かれ、拙者は吹っ飛ばされてしまった。

「ぶわーっはっは! ミートを喰らい、ミートを纏いし鬼とはミーのことだしぃ~!」

 いきなり飛び上がったと思いきや、ベンケーがドでかい腹を突き出しながら落下して来た!

「く……っ!!!」

 ――ドカーン!

 拙者が間一髪のところで飛び退くと、ベンケーの体重を利用した強烈な一撃が床板を豪快に破壊した。

「まったく、なんというおデブなのだ……!」

 ひとまず間合いを取るため、拙者は駆け出した。

「逃げるんじゃないしぃ~!」

 ベンケーは巨大なゴムまりのような腹を弾ませながら、拙者の後を追って来る。
 このまま逃げているだけでは、拙者に勝機はない……!

「肉ばっかり食ってると、健康に悪いんじゃぞ! 野菜も食べろ!!!」

 執拗に追いかけまわしてくるベンケーに対し、拙者は再び刀を構えた。

「ちゃんと、ポテイトフライ喰ってるしぃ!」

 ベンケーは高く飛び上がり、拙者にボディプレスを仕掛けてきた。
 たとえあの肉厚な腹を叩いたところでおそらく効かぬであろう……ならば、肉の薄い部分を狙うまで!

「それは野菜とは言わ~んっ!!!」

 拙者は刀を素早く振り抜き、ベンケーのすねに強烈な一撃を見舞った。

「うううう……!」
「安心せい、ミネウチだ……」

 見る見るうちにベンケーのすねが真っ赤に腫れ上がる。

「ノオオオオオオオオオーっ!」

 やはりすねは、ベンケーの『泣き所』だったようだな。

「これに懲りて、食生活を改めよ!」
「覚えておれ、すぐに出直してくるしぃー!」

 ベンケーは涙を流しながらブリキントンたちと共に退散していった。

「剣乃介殿、もう大丈夫じゃ」

 拙者が振り返ると、剣乃介殿が掛け軸の裏に身を隠してガタガタと震えていた。

「うううう……!」
「剣乃介殿ぉ……」

 この子には、戦いは荷が重すぎるのかもしれんな……

「たのもおおおおおおおおーっ!」

 外から先ほど退散したばかりのベンケーの声が聞こえてきた。

「あれ? もう来たの??」

 まったく、面倒なヤツでござる……
 拙者は急いで外へ出て行った。

 ――ドスーン! ドスーン!

 大きな物音がした方向を見て、拙者は思わず瞠目した。

「ん……なんと!?」
「ぶわーっはっはっは! ミートをたんまり喰って、再びミート・ユー!」

 ベンケーが今度は武者のような姿をした魔神に乗って現れたのだ。

「よーし、ならば拙者も戦神丸を……!」

 胸にしまったスマホに手をかけたその時、拙者は大事なことを思い出した。
 今は充電が切れていて、戦神丸に連絡が出来んのだ……これはシバちゃん、大ピンチぃ~!?

(つづく)


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著者:小山 真


次回9月11日更新予定


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