【第26回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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第13話「とっても怖~い、ゴーストタウン!?」Bパート

EXマン,魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸


 ――ヒュ~……バサバサッ! ヒュ~……バサバサッ!

「キャハハハ! たっかいたかーい!」
「おい、ヒミコ。あんまり動いたら落ちちゃうよ?」

 ぼくは両腕にヒミコを抱えながら、コウモリの羽で夜空を飛んでいた。
 もう、どれくらい経ったんだろう……分厚い雲が空一面に立ち込めていて、
 真下にはまっくら闇の森が広がっているだけだ。
 進んでも、進んでも、月下の館なんて見つからない。
 虎王や先生はどこに行ったかわからないままだし、なんだか心細くなってきちゃったよ。

 ――ぐうううううううう~!

「あれ、ワタル。はらへったのか?」
「うん、飛ぶのってお腹がすくみたい。ねぇヒミコ、チョココロネある?」
「品切れなのだ!」
「そっかぁ~、空の上じゃ食べ物もないし……」
「あれを食べればいいのだ!」

 ヒミコは元気一杯に上空を指さした。
 見上げてみても、やっぱりそこには雲以外になにもない。

「『あれ』……って、もしかして……雲ぉ!?」
「ヒミコがごちそうするのだ!」

 ヒミコは素早く胸の前で印を結んだ。

「ヒミコミコミコ、ヒミコミコ! 忍法、ぐるぐる綿あめの術~っ!」

 ――ボンッ!

 ヒミコの手の中に、いたって普通の割りばしが現れた。

「ワタル、あちしをもちあげておくれ」
「えっと、こんな感じ??」

 ぼくは言われたままにヒミコを頭上に掲げた。
 するとヒミコはなにやら白い粉を、雲に向かって盛大に振りまいた。これって……砂糖じゃないの?

「ほれ、パラッとな~! パラッとな~!」

 続けてヒミコは、雲に向かって割りばしをぐるぐる回転させ始めた。

「あーめーまきまき、あーめーまきまき♪ まーいてまーいてトントントン♪」

 その歌声に反応するかのように、空に漂う雲がゆっくりと渦を巻き始めた。

 ――グルグルグルグル……!!!

「えええええええ~っ!?」

 渦を巻いた雲が、ヒミコの割りばしの周りにどんどんくっついていく。

「あーめーまきまき、あーめーまきまき♪ まーいてまーいてトントントン♪」

 ――グルグルグルグルグルグルグルグル……!!!

 ヒミコの割りばしの周りに、こんもりと雲が山盛りに集められた。

「で~き~た~でき~た~、わ~たあ~めさんっ♪」

 ヒミコの元気な声が夜空にこだました。
 その手に持った割りばしの先には、こんもりとしたでっかい雲の綿あめができている。

「ワタル、はんぶんこなのだ!」

 ヒミコは笑顔でぼくの前に、雲の綿あめを向けて来た。

「それじゃあ……いただきます……」

 ぼくが恐る恐る口に入れたその時、口いっぱいに優しい甘さが広がった。

「うわぁ! 甘ぁ~い!!!」
「ニャハハハ! うんめーなぁー!」
「うん!」

 ――バクバクバクバクッ!!!!!

 ぼくとヒミコは夢中になって雲の綿あめを食べた。
 美味しい綿あめのおかげで、疲れた体がみるみる元気になっていく。

「ふぅー! ヒミコ、ごちそうさま!」

 ヒミコは満面の笑みで大きくなったお腹をさすっている。

「まんぞくじゃ~、まんぞくじゃ!!!」

 まったく、ヒミコにはいつも助けられてる気がするな。
 気づくとぼくの顔を月明かりが照らしていた。見上げるとぽっかりと開いた雲の隙間から満月が顔を出している。

「きれいだなぁ……」

 夜空に浮かぶ満月の美しさに見とれていると、月の光は地上まで差し込んでいた。

「えっ? なにあれ!?」

 真下に広がる森の中に、さっきまでなかったはずの大きな建物が見えた。
 それはまるで、月明かりの中にキラキラと浮かんでいるようだ。

「月下の館……そうか、月明かりの下に現れる館のことだったんだ!」

 どうりで曇り空の下では見つからないわけだよ。

「よしヒミコ、行ってみよう!」
「ニャハハハ! 次いってみよーっ!」

 ぼくは館に向かって飛んでいった。

「とーちゃくなのだっ!」
「うわぁ……」

 これは洋館というよりも、お城のような巨大な建物だ。
 所々ボロボロだけど、月明かりの中でキラキラと輝くその様子はまるでおとぎ話のようだった。

「この中に、ドロロンパがいるかもしれないのか……」

 考えながら館を見つめていると、ぼくは思わず身震いしてしまった。

「ハッキシ言って、おどろおどろしいぜっ!」

 ホントは悪いオバケなんかに会いたくない。だけど、困っているゴーストタウンのみんなを放ってはおけない。
 ぼくは怖い気持ちを抑えるように、両手をぎゅっと握りしめた。

「待ってよ、ヒミコ~っ!!!」

 ぼくはヒミコに続いて、館の中へ足を踏み入れた。
 暗闇の中、ぼくの背中の方で扉が閉まるようなきしんだ音が聞こえた気がした。

(つづく)


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著者:小山 真


次回11月6日更新予定


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