【第29回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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「逆さ創界山を旅していたぼくたちは、ゴーストタウンというオバケが暮らす町にたどり着いた。この町ではドロロンパっていう悪いオバケが、朝から晩までみんなを驚かせてるんだって。もしかしたら、いなくなっちゃった虎王と先生もそいつのせいで……? 話を聞いたぼくとヒミコは、ドロロンパを懲らしめるために月下の館に向かったんだ。ドクロ型の魔神に乗って現れたドロロンパを相手に、ヒミコと幻神丸が大活躍! あとちょっとのところまで追いつめたんだけど、最後の最後でドロロンタワーに逃げられちゃったんだ。ぼくたちは今度こそドロロンパを倒すために、急いで後を追いかけた。ハッキシ言って、今日もおもしろカッコいいぜ!」

第15話「ホントに怖~い、ドロロンタワー!」Aパート


 ――ヒュ~……バサバサッ!

 ぼくは背中に生えたコウモリの羽を広げ、夜の闇が広がる空を飛んでいた。

「キャハハハ! たかいたか~い!」

 ヒミコはぼくに抱えられて、空の旅を楽しんでいる。

「ドロロンタワーって、どこなんだろう?」
「ワタル、おもろいもんみっけたのだ!」
「え? おもろいもの?」

 ヒミコが指さした方向を見てみると、遠くで広がる森の奥にひときわ目立つ白い塔が立っていた。
 今までゴーストタウンの色んな場所を見てきたけど、あそこまでの高さがある建物はなかった。
 自分で『オドロキング』と名乗っちゃうドロロンパなら、一番目立つ高い塔が好きそうだ。

「きっとあれが、ドロロンタワーだよ!」
「レッツらゴーゴー!」

 ぼくは大きく羽を動かし、急いで白い塔へと向かった。

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 ぼくたちは地上に降りて、白い塔の前までやって来た。
 扉の上にはご丁寧に『ドロロンタワー』と書かれた大きな看板がかかっている。

「やっぱり、ここだったのか!」

 ぼくは首が痛くなるくらいに顔をあげて、塔のてっぺんまで見上げた。
 塔の周りは巨大な龍が巻き付くように彫られていて、迫力満点だ。

「ずいぶん派手で、でっかい塔だなぁ~!」
「いりぐちもでっかいのだ!」

 ぼくは大きな鉄製の扉に近づいて、手を当ててみた。

「うわぁ、重そう……どうやって開けるんだろう?」

 ぼくが考えているとヒミコが突然、扉に向かって話しかけた。

「おーばけさーん、おーばけさーん、 おこんばんは~。いーれーてー!」
「ヒミコ、そんなこと言ったって開くわけ……

 ――ゴゴゴゴゴゴゴ……

 大きな扉が、ぼくたちを誘い入れるように勝手に動き出した。

「開いちゃったよっ!」

 本当に入って大丈夫なのかな?
 いきなりドロロンパが出てきたりして……

「キャハハハハっ、おっじゃまっしま~す!」

 ぼくの不安をよそに、ヒミコは元気よく塔の中へ走って行った。
 こうなったら、ぼくだって入らないわけにはいかない。

「よ、よーし、 行くぞーっ」

 ぼくは自分を奮い立たせて、塔の中に入った。
 そこにはいくつかある覗き窓から月の光が差し込んでいるだけで、足元がとっても見づらい。

「う、うわぁ、暗いなぁ……

 ぼくの声が、石で出来た塔の中に冷たく響き渡った。

 ――ギィィィィ……ドーン!

 後ろで、扉が大きな音を立てて閉まった。

「あれ? どうなってんのっ!?」

 ぼくは慌てて扉まで駆け戻った。

「くぅ……!!!」

 一生懸命に押してみても、扉はビクともしない。

「だ、だめだ。閉じ込められたみたい……」

 どうしよう……ちょっと怖くなってきちゃった。

「ワタル、ワタル! ここ見てみるのだ」

 ヒミコが床から飛び出た小さな赤いボタンを指さしながらぼくに言った。

「なんだろう……なにかのスイッチかな?」
「『押しちゃダメダメ!』って書いてあるのだ」

 まったく、外の看板もそうだけどずいぶんまぬけな場所だなぁ。

「こんなの押すヤツなんて、さすがにいないよなぁ? ヒミコ――」
「ほれ、ぽちっち~!」

 話してる途中で、ヒミコがボタンを押しちゃった!

「うわぁ!」

 ぼくはとにかくその場で身構えた。

「……あれ?」
「なーんも起きんね?」

 たしかに、別になんの異常もないみたいだ。

「そんなこと、ある??」

 ぼくが気を付けながら様子を見ていると……

 ――パカーンッ!

 ヒミコの足元の床が、いきなり抜けてしまった!

「あれま?」
「ヒミコ掴まれ!」

 ダメだ、間に合わない! ヒミコはぼくの目の前でストーンと落ちていく。

「ヒミコ ―――――― っ!」
「キャハハハハハハハ……!」

 ヒミコは穴の下に広がる暗闇の中へ吸い込まれてしまった。

「そんな……」
『ケホホホ……ケホホホホ……
「この声は……ドロロンパ!」

 どれだけ周りを見ても、ドロロンパの姿はない。
 その笑い声だけが塔の中を不気味に響き渡っている。

『ミーのドロロンタワーへようこそ、コウモリボーイ。やかましい娘っ子は、ミーの落とし穴で捕まえたでロンパ』
「どこにいるんだ、ドロロンパ! 今すぐヒミコを返せ!」
『ケホホ……ミーなら屋上にいるでロンパ……

 ドロロンパはぼくをからかうように声を弾ませた。

『だ、け、ど! このタワーにはミーの考えたびっくりどっきりサプライズがたくさん仕掛けてあるロンパ。それにビビらず、一人で登って来られるかなぁ~?』
「サプライズだって? そんなの気にするもんか!」
『ケホホホ…… 強がっていられるのもせいぜい今のうち…… ビックリしすぎて、おもらししないようにねぇ~?』

 ドロロンパの声は、だんだんと遠くにいってしまう。

「待て、ドロロンパ!」
『ケホホホホホ……

 その笑い声がゆっくりと闇の中に溶けて行った。

「く……っ!」

 今はとにかく、ドロロンパがいる屋上に向かうしかない。
 絶対にヒミコを助けなくちゃ!

 「ドロロンパめ! 今すぐ行って、やっつけてやる!」

 ぼくが改めて気合を入れて歩き始めたその時……

 ――バサバサバサバサ!

 大きな羽の音と共に、暗闇の中からコウモリの大群が飛び出して来た!

 「ひぃぃぃ~!」

 慌ててしゃがみこんだぼくの頭上をコウモリの大群がやかましく通り過ぎて行った。
 ドロロンパはさっき、びっくりドッキリサプライズがたくさんあるとか言ってたけど……こういう怖いことがたくさん起きるってことだよね?

「……ま、 負けないぞ~……

 ぼくはなんとか気合を入れて、もう一度立ち上がった。

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「こ~わくなんか~ないもんね~! かかってこ~いこ~い、ドロロ~ンパ~♪」

 ぼくは長い長い螺旋階段を上っていた。
 怖さを紛らわせるには、とにかく大きな声で歌うのが一番だ。

「しっかし、この階段いつまで続くんだろ……

 ぼくが顔を上げたその時、ぼくのほほに冷たいものがピタッと張り付いた。

「ひええええ~! つべたあああ~!」

 ん? この四角くて生臭いプルプルした塊は……

「こんにゃくぅ!?」

 びっくりドッキリサプライズとか言って、めちゃくちゃ地味じゃないか。

「でも、これくらいだったら大丈夫だな」

 ――グニャニャ~ン!

「え? なにこれ??」

 階段が急にプルンプルンのツルッツルに……って!

「こんにゃくになってる~!?」

 これもドロロンパのサプライズなのか!

「う、うわぁ~!!!!」

 必死にバランスを取ろうとしても、こんにゃくの階段はプルプルのツルッツルで難しい。

「こんなんじゃ、上の階に行くなんて無理だよ~!」

 ぼくはこんにゃくの階段の上でジタバタともがいた。

 ――バサバサッ!!!

 必死にもがくうちに、自分の羽の音に気が付いた。

「そうか……今のぼくは、コウモリボーイだったんだ!」

 すぐに羽を動かして宙に浮かんでみると、こんにゃくの階段もなんてことなかった。

「へへ~ん! 楽勝楽勝~っ!」

 ぼくはこんにゃくの階段を下に見ながら、颯爽と上の階へ飛んで行った。

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 こんにゃくの階段を無事に通り抜けたぼくは、大きな棚が並ぶ部屋にたどり着いた。
 見ると、その中にはたくさんの古い人形たちが飾られていた。

「うわぁ~不気味な所だなぁ……」

 ぼくは思わず寒気がして、ブルっと震えてしまった。
 まるで人形たちに見られているみたいで、イヤ~な感じがする。

「こんなところ早く抜けて、屋上に行かなきゃ」

 ぼくはとにかく前だけを見て、奥に見えている出口へ急いだ。

 ――カタカタカタ……

「え……?」

 ぼくは背後で響いた小さな音に立ち止まった。
 だけど、さっきの音はもう聞こえてこない。

「……気のせいかな?」

 今は余計なことは考えないで、出口に向かおう。

 ――カタカタカタ……!!!

「ひぃ!!!」

 間違いない、さっきの音だ……!

「ウシロ……ミテ……?」
「う、うしろ……?」

 恐る恐る振り返ると、女の子の人形がじっとぼくを見ていた。

「オニイチャン…アソボ……?」
「どど、どうして人形が…さっきまで棚にいたのに……」
「アハハハハ……!!」

 女の子の笑い声をきっかけに、他の人形たちも次々に立ち上がり始めた。

「アハハハ!」「ニョホホホ!」「キャハハハハ!」「ブヘヘヘヘ!」

 部屋の中は、人形たちの笑い声で一杯になった。

「どひぃ~~~っ!」

 人形たちは怖がるぼくに笑顔で駆け寄って来る。

「アソボ、アソボ ォォォ!!」
「ぼ、ぼく抜きで遊んでぇ~~~っ!」

 ぼくは大慌てで部屋を抜け出し、出口の扉を閉じた。

「はぁ……はぁ……ビックリしたぁ~!」

 こんなサプライズが続くと思うと、なんだか不安になってきちゃった……
 だけど、ヒミコはまだドロロンパに捕まってる。ぼくが助けないでどうするんだ!

「負けるな! がんばれ、戦部ワタル!」
「おお、そこにいるのはワタルではないか!」

 ぼくは思わず、自分の目を疑った。
 いなくなっていた、シバラク先生がそこにいたんだ。

(つづく)


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著者:小山 眞


次回3月5日更新予定


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