【第39回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

← 前作品ページ次 →



「アニマランドでオオカミの姿になったぼくは、島の自然を破壊する「ドケドケ建設」の人間たちを、獣人のみんなと一緒にやっつけた。だけど、ぼくが本当は人間だと言わなかったせいで、ネコの獣人「ココ」を傷つけてしまったんだ。そこへ現れたドケドケ建設の社長「トン・カバチョ」の魔神・マッハブルコンボスの手には、獣人たちの宝物である「龍樹の種」が握られていた。種を人質にして、島のみんなをいじめようとするトン・カバチョを許せなかったぼくは、ヒミコたちと協力して龍樹の種を取り返したんだ。怒ったトン・カバチョがぼくらに襲い掛かってきたんだけど、ココと仲間の獣人たちが助けてくれた。すると突然、龍樹の種が光を放ったんだ! ハッキシ言って、今日もおもしろカッコいいぜ!」

第20話「咲き誇れ、奇跡の龍樹!」Aパート

 龍樹りゅうじゅ の種から放たれた淡い光に、ぼくの全身は優しく包み込まれた。
 辺りの風景は、ぼんやりと時が止まったように変化している。

「ワタルよ……」
「龍神丸……!」 

 やっぱり龍樹の種が、龍神丸の欠片だったんだ!

「異なる種族との障壁を越え、強い『絆』を生み出す……それこそが、救世主の姿」

 龍神丸の残した言葉が、ぼくの心に響いてくる。

「種族を越えた……絆」 
「お前が求めるなら呼ぶがいい。神部七龍神がひとり、激龍げきりゅう の力を借りたその名は   」 

 龍神丸の欠片のひとつである新たな魔神の名が、自然とぼくの口を突いて出る。

「りゅう……げき……まる……」

 ぼくは背中の『七魂の剣』を引き抜き、気合を入れて頭上に掲げた。

龍激丸りゅうげきまる           っ!!!」

 七魂の剣先から放たれた光が龍の形になり、天高く駆け昇る。
 燃え上がる炎の色をした激龍げきりゅう が太陽と重なった瞬間、猛烈な光が放たれた。
 辺りを覆う光が空中の一点に集約すると、そのひと塊の輝きがだんだん魔神の姿に変化していく。
 太陽のようにキラキラ輝く大きな翼、鋭く尖った真っ赤な頭部、両肩には黄金の龍激砲りゅうげきほう    これが激龍の力を宿した魔神、『龍激丸りゅうげきまる』なんだ!
 ぼくは大きく両手を広げ、龍激丸りゅうげきまる の額に吸い込まれていく。
 真っ暗闇の中、落ちていく先には激龍げきりゅう の姿が見える。
 人間の姿に戻ったぼくは、激龍げきりゅう の大きな頭に着地し、5本の指でしっかりと角を掴むことで、龍激丸りゅうげきまると心をひとつにした。

「よし! いこう、龍激丸りゅうげきまる !」

 雲ひとつない青空で、龍激丸りゅうげきまる がふたつの大きな翼を力強く広げる。

「なんだ、あの魔神は……!?」
「きっとこの島を救いに来てくれたのよ!」
「頼む、トン・カバチョを倒してくれーっ!」 

 地上では、龍激丸りゅうげきまるの姿を見た獣人たちが沸き立っていた。
 ぼくはその中に、真剣な表情でじっとこちらを見上げるココを見つけた。 

「待ってて、ココ……必ずこの島を救ってみせるから!」

 静かに決意を口にしたぼくのところに、トン・カバチョの怒鳴り声が届く。

「カバ野郎……俺を見下ろしてんじゃねぇ!!!!!」

 マッハブルコンボスの両肩に備えられたランチャーから、四発のミサイルが一斉に発射された。
 ミサイルはそのまま不規則に空中を舞い上がり、猛スピードで龍激丸りゅうげきまる に向かってくる。
 それを見たぼくは、すぐに龍激丸りゅうげきまる に声をかけた。

龍激砲りゅうげきほうで撃ち落とすんだっ!」

    ダダダダダダダダダダダッ!!!

 両肩に伸びる二本の龍激砲りゅうげきほうから、炎のように真っ赤な光弾が次々と飛び出していく。

    ドン! ドドンッ!! ドーーーーーーンッ!!!

 放たれた光弾は次々と命中し、ミサイルをすべて撃ち落とした。

「いいぞ、龍激丸りゅうげきまる !」
「よそ見は厳禁だぜ、カバ野郎っ!」 

 マッハブルコンボスは背中に搭載されたブースターを点火させ、一瞬のうちに上空まで飛び上がった。
 一直線に迫ってきたその巨体は、龍激丸りゅうげきまる に強烈なタックルを炸裂させた。

「うわあああああああー!!!」

 弾き飛ばされた龍激丸りゅうげきまる は、制御出来ないまま宙を舞う。
 そこにマッハブルコンボスが、ブースターを再点火させて追撃してきた。 

「ドケドケドケドケ~!」

 マッハブルコンボスは何度もブースターを点火させ、空中で龍激丸りゅうげきまる に様々な角度からぶつかって来る。

「ほーれ、一発! 二発!! 三発ぅーっ!!!」
「くぅ! うああっ!! ぐあああーっ!!!」
「ガハハハ! マッハ攻撃のメインディッシュをくれてやるぜ!」 

 ぼくが顔を上げた時には、すでにマッハブルコンボスが真っ赤なハンマーを構えていた。

「こいつも喰らいな、カバ野郎!」

 マッハブルコンボスの振り下ろしたハンマーが龍激丸りゅうげきまる に直撃した。

「うわあああああああー!!!!!」

 今まで以上の容赦ない一撃に、龍激丸は地表へと叩き落された。

「わ、ワタル!!」

 ココたちのすぐそばに墜落した龍激丸を、ぼくはなんとか起こそうとする。

「く…負けるもんか……!」
「大丈夫……なのか? ワタル……!」

 心配そうな表情で近寄ろうとしたココの姿に、ぼくは咄嗟に声を上げた。

「来ちゃだめだ!」
「え……!?」

 ようやく半身を起こした龍激丸りゅうげきまる の目の前に、上空からマッハブルコンボスがドスーンと大きな音を立てて着地した。

「どうしたカバ野郎、これでお終いか?」
「く……っ!」

 ココたちをかばうため、 地面に片膝をついたまま龍激丸りゅうげきまる の両手を広げた。

「安心して、ココ……トン・カバチョには、もうこの島の自然を壊させないから!」
「ワタル……っ!」
「そいつは無理だぜ、カバ野郎!」

 マッハブルコンボスが龍激丸りゅうげきまる の顔を、まじまじと覗き込んだ。

「自然はひとつ残らず、この俺がぶっ壊すっ!!!」

 マッハブルコンボスがいきなり龍激丸りゅうげきまる の顔を掴み上げた。
 あまりの力に、龍激丸りゅうげきまる の顔が軋む。 

「ど、どうしてそんなに自然を憎むんだ……っ!」
「俺はな……とにかく『虫』が嫌いなんだよ!」 

 わなわなと震える声でトン・カバチョは話し続ける。

 「子供の頃、急に近付いてきた小さな虫けらにビビっちまったことがある……それ以来、俺のあだ名は『ビビりのカバちゃん』になっちまったんだ! お前にわかるか、この辛さがよぉ!」

 まさか……虫が怖いってだけで、こんなことを?

「そんなの、自分勝手すぎるよ!」
「うるせぇ! とにかく俺はこの島の自然を全部ぶっ壊して、虫一匹さえも住めねぇような楽園を作り上げてやるんだよ……っ!」  

 マッハブルコンボスは更に力を込め、龍激丸りゅうげきまる の顔を掴む。 

「ガハハハハ! てめぇをぶっ壊した後は、この島をもっともっとめちゃくちゃにしてやるぜっ!」

 龍激丸りゅうげきまる の顔にマッハブルコンボスの指がめり込んでくる。

「ううう……っ!」

 必死にあがいても、マッハブルコンボスの手を振りほどくことは出来ない。
 ダメだ、このままじゃ龍激丸りゅうげきまる が……!

(つづく)


← 前作品ページ次 →


著者:小山 眞


次回6月18日更新予定


©サンライズ・R


関連コンテンツ


【第40回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸 ▶

◀ 【第71回】MIKA AKITAKA'S MS少女NOTE【書籍受注中!】

カテゴリ