【第41回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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第20.5話「咲き誇れ、奇跡の龍樹 ~その時、クラマは~」

 俺は空神丸に乗り、アニマランドの上空を猛スピードで飛んでいた。

「ったく、面倒なことになっちまったぜ……!」

 『龍樹の種』は、ボンクラーラが親父に渡しちまったらしい。
 あれは、ミミたち獣人の大切にしてきたもんなんだ……なんとしても、俺が奪い返す!
 俺が決意を新たにしたその時、前方の空が夕焼けのようなオレンジ色に染まっているのに気が付いた。

「どうなってんだ? まだ真っ昼間だってのに……」

 じっと目を凝らして見ると、空中にキラキラと美しい輝きを放つ物体が浮いていた。

「あれは……?」

 はるか遠くで輝く物体から、打ち上げ花火のように光の筋が舞い上がり、上空で四方八方に分かれ始めた。

「止まるぞ、空神丸っ」

 ひとまず様子を見るため、空神丸を真下に見える岩場に着陸させた。
 俺が再び顔を上げると、そこには衝撃の光景が広がっていた。

「すげぇ……!」

 光の粒が、まるで雨のように島中に降り注いでいる。

    ゴゴゴゴゴゴゴ……

 今度は地鳴りのような轟音が、辺り一帯を包み込んだ。

「う、ウソだろ……???」

 ドケドケ建設のヤツらが島中に敷いていたコンクリートの下から、次々と木が突き破って出て来る。
 それだけじゃない、いくつも建っていた高層ビルは倒れ、その代わりに大木があっという間に聳え立った。

「島の自然が、復活したってのかよ!?」

 とにかく、光の発生した場所でとんでもないことが起きてるってのは間違いない。
 これは、トン・カバチョが持って行った『龍樹の種』となにか関係があるのか……?
 だが、自然を壊しまくってたドケドケ建設のヤツらが、こんなことをするとは思えない。
 俺は頭の中で湧き起こる様々な疑問を振り払うかのように、空神丸に声をかけた。

「ここでじっとしててもしょうがねぇ! 行くぞ、空神丸!」

 俺の言葉を受けた空神丸は、岩場から勢いよく飛び立った。

「鬼が出るか、蛇が出るか……どうせなら、ワタルの手がかりだけでも欲しいところだがな」

 気持ちははやるが、あそこまで行くにはまだしばらくかかる。
 期待と不安の中で飛行を続けていると、俺の体を異変が襲った。

「なに……っ!?」

 みるみるうちに、俺の体が薄らいでいく。

「どうなってんだ……!」

 手を確かめてみても、先まで透けて見えている。
 俺は混乱しながら、思わず声を上げた。

「もしかして、このままこの世界から消えちまうってのか!?」

 まだ龍樹の種も取り戻せてない、ワタルたちとも会えてない。
 なにもかも、中途半端だってのに!

「くっ……くそぉ ―――――――――― っ!!!」

 自分の体になにが起きたのか、この後どうなるのかもわからないまま、俺の体は霧のように消えていき  

(つづく)


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著者:小山 真


次回7月30日更新予定


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