【第45回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

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第22話「激闘! 結婚? 風雲ブリキン城!」Bパート

 まだ心の整理がつく前に、司会が大きな声で俺を招き入れる。

『ここで暫定王子として立ちはだかるのは、破竹の勢いで勝利を重ねる緑の鬼神・夏鬼丸げきまるを駆る、海火子だああああああーっ!』

    ウオオオオオオオオオー!

 歓声が渦巻く闘技場の中へと、夏鬼丸げきまるが入場する。
 闘技場の中央には、黒と黄色を基調とした色合いの見慣れない魔神が待っていた。

「本当に、虎王なのか……!?」

 俺の戸惑いをよそに、試合開始の合図が轟く。

『それでは、バトルスタートおおおおーっ!!!』

 邪虎丸を名乗る魔神は両手にソードとシールドを構え、こちらの様子をうかがっていた。
 俺は迷いを払いのけるため、自ら気合を入れる。

「たとえ、あれが虎王の魔神だったとしても……今の俺は、優勝しなくちゃなんねぇんだ!」

 夏鬼丸げきまる海流槍怒かいりゅうそうどを構え、猛スピードで邪虎丸に突進した。

「たああああああああああーっ!!!」

 邪虎丸がソードで夏鬼丸げきまるの一撃を受け止めると、聞き覚えのある声がした。

「海火子! お前なのか!?」
「くっ……ホントに虎王だったのかよ!」

 よりによって、こんな形で出会っちまうなんて……
 邪虎丸と夏鬼丸げきまるがジリジリとつばぜり合いをする中、俺たちは言葉を交わす。

「どうして、海火子がここにいるんだ!?」
「俺は聖龍妃様に話を聞いて、お前たちの後を追いかけて来たんだ!」
「なに!?」
「ワタルが大変な時に……俺がじっとしてるわけにはいかねぇだろ!」
「そういうことか。だったらこのバトル、オレ様に勝ちを譲れ!」
「なんだと……?」

    ガキ――――――――ンッ!

 邪虎丸の力に押し返され、夏鬼丸げきまるが大きく後退する。

「ワタルは今、この城の地下牢に捕まってる。アイツを助けるために、オレ様は優勝しなきゃなんないんだ!」
「そんな……っ!」

 まさか、ワタルがそんな目にあってたなんて…… 
 邪虎丸はタイガーソードを構え、間髪を入れずにこちらへ向かって来る。

「くらえ、海火子っ!」

 振り下ろされた邪虎丸のソードを夏鬼丸げきまる海流槍怒かいりゅうそうどで弾き返す。

「海火子! オレ様の話がわからないのか!」
「だったら、ワタルは俺が助ける!」

 夏鬼丸げきまるが横に振るった海流槍怒かいりゅうそうどを、邪虎丸がシールドで受け止めた。

「お前は負けたフリをしてくれ!」
「オレ様が負けるだと!?」

 邪虎丸がシールドを使って、夏鬼丸げきまるを押し込んでくる。

「いったい、どういうつもりだ!」
「こっちも優勝しなきゃなんねぇんだよ!」

 夏鬼丸げきまるも力を込め、俺たちは押し合いになった。

「この世界に飛ばされて、さまよい困っていた俺を、助けてくれた人たちがいる! あのふたりが結婚するためにも、ここで恩返ししなきゃ……海の男の名がすたる!!!」

 夏鬼丸げきまるが渾身の力を込めて、邪虎丸をかち上げる。

「ふざけんな!」

 今度は邪虎丸の頭突きが、夏鬼丸げきまるを襲った。

「く……っ!」
「負けたフリをするのは、お前だ! オレ様の方が強いんだからな!」
「なにぃ!?」

    ガキーン! ガキ――――――ン!

 夏鬼丸げきまる海流槍怒かいりゅうそうどと邪虎丸のタイガーソードが、何度も何度もぶつかり合う。

「強いのは俺だ!」
「いや、オレ様だっ!」

 互いに一歩も引かない攻防が続くうち、俺たちの負けられない気持ちが、どんどん熱を帯びていく。

「俺だ!」
「オレ様だ!」

    ウオオオオオオオオオオーッ!!!

 観客たちの大歓声が、闘技場を包み込む。
 退くわけにはいかねぇ。これは俺たちの……プライドをかけた戦いだ!

「「どっちが強いか、勝負だ!!!」」

「虎王さんと海火子さんの戦いが盛り上がっておりますが、ワタルくんたちもようやく地下牢を抜け出したみたいですよ! さーて、そっちに戻りましょー!」

 「みなさん、急ぎましょう!」

ブリキントンの鎧に身を包んだオリスカンに案内され、ぼくたちはお城の長い廊下を走っていた。

「ワタル、これかっこいいねぇ~!」

 実はヒミコとぼくも、オリスカンに言われてブリキントンの鎧を着ていた。
 カッコいいかはわからないけど……これを着ていれば、そう簡単には見つからないはずだ。
 しばらく走り続けて廊下を抜けた時、そこには大きな円形闘技場が広がっていた。
 大勢の観客たちが白熱した様子で見つめる先に、二体の魔神が戦っている。  それを見たぼくは、思わず立ち止まった。
 一体は虎王の乗る邪虎丸。そして相手は緑色の機体に黄金の輪っかを背負った   

夏鬼丸げきまる!? ってことは、海火子と虎王が戦ってるの……!?」

 隣でヒミコが、嬉しそうに飛び跳ねた。

「ヒッコちゃーん! ヒッコちゃーん!」
「海火子……なぜ彼が!?」
「オリスカン、海火子のことを知ってるの?」
「ええ、彼とは先日   

『脱獄だー! あの者たちを逃がしてはならんぞーっ!』

 大きな声に振り向くと、城の兵士が大勢で辺りを探し回っていた。
 虎王と海火子のことは気になるけど、ここで捕まっちゃったら意味がない……

「急ごう、オリスカン!」
「はい、この先に地下室へ続く階段があります!」

 オリスカンの後に続いていくと、観客席の裏手に『王以外の立ち入りを禁ずる』という看板が下げられた、小さな階段があった。
 階段を下りて、迷路のような細長い通路をいくつも曲がっていくと    ひときわ大きな扉の前にたどり着く。
 オリスカンは立ち止まり、複雑そうな顔でぼくたちに言った。

「私の魔神が溶かされた部屋は、この扉の向こうです……」

 この部屋を見れば、ブリキン城に隠された『秘密』にたどり着けるかもしれない。

「せ~のっ!」

    ギギイイイイイイ~……ッ!

 ぼくは緊張しながら、オリスカンと一緒に重い扉を押し開けた。
 その部屋の中は薄暗くて不気味な、大きな水槽のようなものがあった。

「あれは……?」

 そこには、不気味に輝く骸骨のような魔神が入っている。
 オリスカンはそれを見ると、おびえた様子で声を上げた。

「いつの間に、こんなものが……!?」

 ぼくたちは、恐る恐る水槽に近づいた。

『お前たち、なにをしている!』

 振り向くと、部屋の奥でオレ=ドレッド王がとても怖い顔で立っていた。

「ここは王以外、立ち入り禁止の場所だぞ!」

 オリスカンが鋭い眼差しをオレ=ドレッド王へ向け、ハッキリとした口調で問い詰める。

「王よ、お答えください。これはいったいなんなのですか!?」

 オレ=ドレッド王はオリスカンににじり寄り、手に持っていた水晶の杖を振り上げた。

「ええい! 黙れ、この無礼者がっ!」

 オレ=ドレッド王が振り下ろした水晶の杖を、オリスカンがかわしたその時   

    ガシャーーーーーン!!!

 水晶の杖は水槽に当たり、粉々に砕け散ってしまった。
 オレ=ドレッド王はそれを見ると、一変して焦り始めた。

「し、しまった……!」

 ぼくが水槽を見ると、水槽の中にある骸骨のような魔神の右目が不気味に赤く光った。

    ゴゴゴゴゴゴゴ……
 
 地鳴りと共に城全体が揺れはじめ、巨大な水槽に大きくヒビが走る。
 オレ=ドレッド王は恐怖した様子で、声を震わせた。

「ま、まずい……制御できん!」

 どんどん揺れが大きくなり、遂に天井がガラガラと崩れ始めた。

「ここにいたら危ない! 早く外へ!」

 ぼくたちは激しい揺れの中、慌てて部屋を飛び出した。
 急いで階段を駆け上がり、再び闘技場の観客席に出ると、大勢の観客たちが悲鳴を上げて逃げまどっていた。

「!? あれは……!」

 地鳴りと共に観客席の一部を突き破り、超巨大な魔神が姿を現した。
 黄金の骸骨の頭、ライフルの右腕、ダンプカーのようなボディ、いくつもの魔神がひとつになった巨体。
 あの姿、あの異様さは、忘れたくっても忘れられない。そう、アイツの名前は    

「ゴーストン……!!!」

(つづく)


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著者:小山 眞


次回9月24日更新予定


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