【第46回】魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

← 前作品ページ | 次 →


第23話「輝け、聖龍の力!」Aパート

「ブリキン城というヘンテコなお城にたどり着いたぼくたちは、ブリキントンの恰好をしていなかったせいで、地下牢に入れられてしまったんだ。このお城の城主・オレ=ドレッド王は、いまお城で開催している魔神のバトルトーナメントに優勝出来たら、どんな望みでも叶えてくれると言ってきた。優勝すれば自由になれる……龍神丸を呼べないぼくの代わりに、虎王とシバラク先生がバトルトーナメントに参加することになったんだ。残されたぼくとヒミコは、地下牢に捕まっていたオリスカンという騎士に出会った。オリスカンが言うには、このお城にはとんでもない『秘密』が隠されてるらしい。それを調べるために、ぼくたちはヒミコの忍術でこっそりと地下牢を抜け出したんだけど、お城の闘技場では邪虎丸と夏鬼丸が戦っていたんだ! ふたりのバトルを気にしながらも、ぼくたちが城の地下室にたどり着くと、そこではオレ=ドレッド王が超巨大な魔神・ゴーストンの復活をさせようとしていた。だけど制御を失ったゴーストンは地下室を飛び出し、闘技場にその姿を現したんだ! ハッキシ言って、今日もおもしろカッコいいぜ!」

 闘技場を埋め尽くしていた観客たちは、突如として現れたゴーストンを見てパニック状態になっていた。

「みんな、早く逃げて!」

 大声で闘技場の観客たちに呼びかけるぼくの隣で、オレ=ドレッドは呆然と立ち尽くしていた。

「な、なんということだ……」

 オリスカンがドレッド王に、厳しい口調で問いかける。

「ドレッド王、あれはいったいなんなのですか!」

 オレ=ドレッド王は苦し気に視線を落とし、語り始めた。

「この城に古くから伝わる書物に、いくつもの魔神のエネルギーを合わせることで、誰にも負けない魔神が出来ると書いてあったのだ。だから、ワシは……」
「まさか、そのためにバトルで負けた魔神たちを溶かしてたの!?」

 ぼくの問いかけにドレッド王は小さく頷き、声を絞り出すように答えた。

「ワシはただ……最強の魔神を作りたかっただけなのだ……」

    ドカ ―――――――― ンッ!!!

 ゴーストンがその大きな右腕を振るって、城壁を叩き壊した。
 早くゴーストンを止めないと、とんでもないことになる!

『あいや、しばらくっ!』

 シバラク先生の力強い声が聞こえ、ぼくたちは真下に見える闘技場へ目をやった。
 闘技場の中央で戦神丸が二刀を両手に構え、ゴーストンへ向かって猛然と駆けていく。

『野牛シバラク流、バツの字斬り!!!』

 颯爽と飛び上がった戦神丸は、素早く二刀を振るってゴーストンの大きな右腕を斬り落とした。
 ぼくとヒミコが先生の活躍に、声を上げる。

「凄いや! さすが先生!」
「キャハハハハ! おっさん、かっこいいのだ!」

 これでもう大丈夫と思ったのも束の間、ゴーストンの右目が不気味に赤く光ると、斬り落としたはずの右腕が、みるみるうちに再生してしまった。

「そんな……っ!」
「言ったはずだ、あれは最強の魔神だと……」

 オレ=ドレッド王は、ばつが悪そうに眉をひそめた。

『シバラク! 今度はふたりで行くぞ!』
『あい、わかった!』

 虎王の掛け声に、邪虎丸と戦神丸がゴーストンに突進していく。

    オォォォォォォォォーン……!!!

 ゴーストンは不気味な声を上げながら大きな右腕を振るい、邪虎丸たちを弾き飛ばした。

『『うああああああああーっ!!!』』

 邪虎丸と戦神丸は、闘技場の壁に激突してしまった。
 ふたりともなんとか立ち上がったけど、相当なダメージを受けたのは間違いなさそうだ。
 それを見ていたオリスカンが、オレ=ドレッド王に詰め寄る。

「王よ、あの化け物を止める方法はないのですか!?」
「無理だ……制御の杖が壊れてしまった以上、もはや何も出来ぬ」

 力なくそう言うオレ=ドレッド王に、オリスカンはより強い口調で言った。

「ここで食い止めなければ……城の者たちや、国の民はどうなるのです! 強き力とは、みなを守るためにあるのではないのですか!」
「…………」

 オレ=ドレッド王は返す言葉もなく、黙ってしまった。

『ワタル!』

 海火子の声と共に、夏鬼丸げきまるが飛んできた。
 ぼくは思わぬ再会にうれしくなって、声を返す。

「海火子……本当に海火子なんだね!」
『ああ、元気そうで安心したぜ!』
「海火子さん、なぜあなたが魔神に……?」

 オリスカンの問いかけに、海火子は遮るように言った。

『詳しい話はあとだ。とにかく、お前たちもすぐに避難しろ!』

 海火子の言葉にオリスカンはハッとなって、辺りを見回した。

「そうだ……イズー姫は今、どこに!? 」
「イズーなら王の間にいる!」

 オレ=ドレッド王は、すがる様に夏鬼丸を見上げた。

「どうかイズーを……娘を助けてくれ!」

 ドレッド王に続いて、ぼくも海火子に声をかけた。

「海火子、姫やみんなを安全な場所まで連れてってあげて!」
「ワタルはどうするんだ?」
「ぼくは闘技場を見てくる。逃げ遅れた人がいるかもしれないから!」
『わかった。無茶だけはすんなよ!』

 ぼくは海火子の言葉に頷き、闘技場の観客席に続く階段を駆け下りた。

「誰か! 誰かいませんかー!?」

 観客席の間を走りながら、必死に叫ぶ。すると、ぼくの耳に虎王たちの声が聞こえて来た。

『タイガーソード!』
『野牛シバラク流、バツの字斬り!』

 闘技場を見ると、邪虎丸と戦神丸が左右に分かれてゴーストンへ飛び掛かり、両腕を同時に斬り落とした。

『これでどうだ!?』
『さすがにダメージがあるに違いない!』

 虎王たちが声を上げた瞬間に、ゴーストンの右目が不気味に赤く光った。

「まただ……!」

 ぼくが見入っている間に、ゴーストンの斬られた右腕は再び元に戻ってしまった。
 それを見た虎王と先生が、悔しそうに声を漏らす。

『ダメだ……何度斬っても再生しやがる!』
『どうやって倒せばよいのじゃ……!』

    オォォォォォォォォーン……!!!

 ゴーストンは不気味にえて、右腕の機関銃を乱射した。
 ぼくは観客席の柱の陰から、ゴーストンの動きをじっと見つめた。

「アイツの再生には……なにか秘密があるはずだ!」

 ゴーストンが傷を再生させる時は、必ず右目が赤く光っていた。
 もしかして、あの目には力が……

「助けてくれー!!!」

 声に振り向くと、観客席の中央に瓦礫の山があった。

「ここだ! ここにいるぞーっ!」
「あれは……っ!」

 瓦礫の隙間から、男の人が手を振っているのが見える。
 ぼくはすぐにその場に駆け寄り、大きな瓦礫に手をかけた。

「今助けます! ぬううううう……」

 どれだけ力を込めても、瓦礫はピクリとも動かない。

「くっそぉ~!」

    ダダダダダダダダダダ……!

 機関銃の音に振り向くと、ゴーストンの放った弾丸が城壁を打ち砕いた。
 ぼくが動けず固まっているうちに、頭上からは大きな瓦礫が迫る!
 
「……っ!」

    ガキ ――――――― ン!!!

 どこからともなく飛んできた邪虎丸が、身を挺してぼくたちを瓦礫から守ってくれた。

「虎王……助かったよ!」
『ワタルだったんだな! 地下牢から出れたのか!』
「うん! 色々話したいところだけど、まずはこの人を助けてあげて!」
『よし!』

 邪虎丸が瓦礫をどかすと、中に閉じ込められていた男の人が出て来た。

「あ、ありがとう……っ!」

 男の人はぼくたちにお礼を言って、逃げて行った。

    オォォォォォォォォーン……!!!

 不気味な声に振り向き、ぼくはもう一度ゴーストンを見つめた。
 やっぱりあの右目は、ゴーストンの再生と関係がある気がする。
 ぼくは虎王に向かって声をかけた。

「虎王、お願い! 邪虎丸の背中にぼくを乗せて!」
「なんだって!?」
「ぼくにいい考えがあるんだ!」 

 危険だけど、やってみる価値はあるはずだ……あの右目を壊せば、ゴーストンの再生を止められるかもしれない!

(つづく)


← 前作品ページ | 次 →


著者:小山 眞


次回10月22日更新予定


©サンライズ・R


関連コンテンツ


◀ 『覇界王~ガオガイガー対ベターマン~』下巻が本日発売!書き下ろし外伝の冒頭を特別掲載!

カテゴリ